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がん対策情報センター

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あなたの病院は対応できていますか?-視聴覚障害のある患者さんへの対応について考えてみよう-

日時:2016年2月25日(土曜日)14時から16時
場所:堺市立健康福祉プラザ

 

平成28年4月より、障害者差別解消法が施行され、医療機関でも障害のある人に対して適切な対応をとることがより一層求められています。ただ、医療機関は特定の障害に関する専門機関ではないため、対応のノウハウがなく対応に苦慮している機関も多いことが推察されます。


堺地域では、平成26年度より公共図書館と医療機関、福祉機関、行政および国立がん研究センターの多分野機関が協働し、視聴覚障害者に対する、がん情報普及のための情報提供講座を開催してきました。これまでの活動の中で、視聴覚障害のある方たちに対して、各機関でどのように支援ができるのか、蓄積できたノウハウを皆さまと共有し、よりよい支援につなげることを目的とした研修会を開催しました。

まず司会の八巻知香子室長(国立がん研究センターがん対策情報センター)が、この事業の参加機関や取り組みの目的を紹介した後、堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターの原田敦史館長(同点字図書館)からの障害のある人が医療機関を利用する際の困難や、医療機関に求められる配慮についての講義に移りました。

講義風景

原田館長からは、視覚障害や聴覚障害は「情報障害」と呼ばれることもあること、同点字図書館の岩井前館長ががんに罹患(りかん)した際、視覚障害があったために点字や音声で最新の医療情報を得ることができず、自分で情報を確認することができなかったこと、この困難をなんとか解決したいという想いがこの事業の背景にあることが紹介されました。

その上で、障害者差別解消法は、大別して

  1. 障害を理由に差別的取り扱いや権利侵害をしてはいけないこと、
  2. 社会的障壁を取り除くための合理的な配慮をすること、
  3. 国は差別や権利侵害を防止するための啓発や知識を広めるための取り組みを行わなければならないこと、

が定められていることが具体例を交えて解説されました。合理的配慮については、国が定める事業者向けガイドライン、国土交通省の「ユニバーサルデザインの考え方を導入した公共施設のガイドラン」にさまざまな具体例が示されていること、「基礎的環境整備」が求められていることが述べられました。そして、この障害者差別解消法への対応として一番大切になるのが、ニーズのある人がいた場合、その人と対話し、話し合って落とし所を決めていくことであることが述べられました。

事例紹介風景

続いて、がん診療連携拠点病院でがん専門相談員として対応する古谷緑さん(堺市立総合医療センター)、手話通訳士として患者さんの受診をサポートする宮川治子さん(同)の2人による事例紹介がありました。2人からは、聴覚障害の方の受診にあたっては、単に情報を手話に変換するだけでなく、その人が十分に理解できているのか、伝わっているのかを確認しながら対応する必要があり、そのためには医療者がチームで対応し、その人にあわせた丁寧な話し合いを重ねていくことが必要になることが具体的に紹介されました。そして、障害のある人の対応に慣れていない医療現場では困ったと感じる場面もしばしばあること、医療機関にも障害に沿った対応ができる専任スタッフが必要であると感じること、専任スタッフがいない場合には福祉機関と連携して対応することが医療者にとっても、患者さんにとっても大切だと感じることが紹介されました。会場の参加者からも、医療機関、福祉機関それぞれの立場から自分たちがこれまでに経験した難しさや、今後に生かしていきたいと感じる視点が述べられ、活発な意見交換となりました。

 

稲葉和紀係長

その後、堺市健康医療推進課の稲葉和紀係長、堺市立西図書館の浦部文子館長、堺市立健康福祉プラザの高橋三智世主任からそれぞれの機関で行なっている障害のある人への対応や健康医療情報の提供について紹介され、田村俊作名誉教授(慶応大学)による総括コメントがありました。田村名誉教授からは、今日の講義や事例紹介は、医療情報を理解するには、基礎となる知識が必要となることを痛感させられる内容であったこと、またすべての人がそれぞれ異なる知識や能力の中で必要な情報が得られるようにするためには、日常においてベースとなる基礎知識が得られる地域環境を育んでいく必要があることが指摘され、その環境づくりに向けてこの事業で試行錯誤してきた取り組みは、今後も是非この堺市においても、また全国においても続けて取り組み、発信を続けてほしいというメッセージで締めくくられました。

講演資料