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先端医療開発センター

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外部評価 第1回(2009年)

1. 概要

2009年7月13日に第1回評価委員会が開かれ、臨床開発センター(現・先端医療開発センター)の各部・室およびプロジェクト研究の代表者が過去1年間の研究成果の総括ならびに今後の研究方針について口頭発表を行った。

評価委員会名簿

氏名職名
澁谷 正史 上武大学 副学長
下遠野 邦忠 千葉工業大学附属総合研究所 教授
山本 一夫 東京大学大学院 教授
大西 秀樹 埼玉医科大学国際医療センター 教授
遠藤 啓吾 群馬大学大学院 教授
中釜 斉 国立がんセンター研究所 所長

2. 全体に対する評価

総評

  • 全体を通して、がんの基礎研究ではさまざまな最先端の優れた成果を挙げており、申し分ない。今後、トランスレーショナルリサーチ(TR)を推進するには、それぞれの研究者の知識・技術を結集させることがより効率的であり、共同研究の積極的なサポートなどの方策を考えたらよいと思う。
  • 国立がんセンターだからこそ、日本、そして世界から大きな期待をもって求められていることがある。世界のがん研究のハブとして、チャレンジングな試みを今後も模索し続けてほしい。

澁谷 正史

  • 国立がんセンター東病院でしかできないことを進めている。TR、臨床試験および基礎研究を行っていることはよいと思う。アメリカのNCIなどでは、もっとシステマティックにTRや臨床研究が進んでいるようだが、どのようにしたらよいと思われるのか検討していただきたい。一般に対する啓蒙・宣伝が必要。血管新生阻害剤などは、ベンチャー企業が頑張り臨床的エビデンスを出すことで、世界中で使われるようになった。第III相試験までしっかり行うためには、患者へのメリットが示せるような薬が必要か。治療によって治った具体例などを宣伝し、新規治療法の臨床試験参加者の増加を図ってはどうか。

下遠野 邦忠

  • 臨床へのTR研究をしているのはよい。がん微小環境などのキーワードで全体をプロジェクトとしてまとめるとよいのでは。何か一課題を上手く使ってout-putを出したほうがよいし、モデルができると次に進みやすい。可能性のあるものに集中し、できるだけ早く体制を整備する必要がある。

山本 一夫

  • 基礎研究はよくなされている。プロジェクト研究の組み合わせなどにより、全体で行う研究開発を進めたほうがよいと思われる。国立がんセンターならではの臨床サンプルを基礎研究者へ提供できるようにしてほしい。アカデミックでのシーズを有効に検証できるような体制をつくってもらいたい。

大西 秀樹

  • 国立がんセンターで培った素晴らしい仕事を外部にもっとアピールすべきである。広報部を上手く利用する必要がある。

遠藤 啓吾

  • TRを上手くやろうとしている。モデルをひとつでも出す必要がある。陽子線治療に関しては、外部に対してアピールが大切。日本語のパンフレットや治癒が得られた患者の紹介などが必要か。

中釜 斉

  • 臨床へのTR体制ができるとよりよいものができる。ドラッグデリバリーシステム(DDS)とイメージングなど、もっと臨床医と共同で研究を進める必要がある。

3. 各部署に対する評価

臨床腫瘍病理部

  • がんの発生・進展にかかわる基本的な事柄について、独創的な研究・発展を行っているところが評価できる。研究テーマを絞ってもよいと思うが、成果を見ながら臨機応変に対応できる体制があればよい。臨床に結び付く糸口が見出され、総力を結集した成果として今後の展開が期待される。

がん治療開発部

  • 早期がんの診断法、薬物療法のDDSの開発を行っており、すでに臨床応用も行っていることで将来性が期待できる。局所的な治療が可能な早期癌においては早期発見のための診断法を、また全身的な治療の必要な進行・再発がんに対しては、ミセルやリポソームに加え、SN-38などのナノテクノロジーとの融合技術を用いたDDSによる治療と、標的を明確にし、それぞれの問題点を考慮してさまざまな手法を開発している点で優れている。

先端医療開発プロジェクト

  • GPC3ペプチドワクチンは興味深い。一方で、これまで多くのがんペプチドワクチンが臨床につながらなかったことも事実である。それらとどの点が違うのか、問題を明らかにしてほしい。今後もっと多数の患者での検証が期待される。

がん組織生理機能解析プロジェクト

  • がんの発生を代謝の異常から解明しようとしているところが独創的で興味深い。環境要因による特性は、後天的に獲得した性質であるとともに可逆的であることから、状況が変化すれば腫瘍選択性は低くなる可能性をどうクリアするのかなど、臨床応用に向けてさらに検討してほしい。今後は研究面での発展が臨床面で実用的かどうかを検証していく必要があるだろう。

機能診断開発部

  • 機能イメージングという興味深い研究を最先端の機器を駆使し、最先端の診断を行うさまざまな模索をしており、本センターならではの研究である。得られつつある技術が臨床の場でどのように応用が可能になるか興味がある。今後の進展に期待したい。恵まれた施設環境なので、共同研究等もさらに行うようにすべきであろう。

精神腫瘍学開発分野

  • 心のケアの問題に対して科学的に解明する努力に加えて、地域介入にも精力的に取り組んでいる。がん患者にとって重要な問題について精力的に取り組み、それを現場に役立つプログラムを作成しているところが評価できる。日本における当該分野の中心的役割を果たしている。

粒子線医学開発部

  • 腫瘍にフォーカスしてエネルギーを集中できる「陽子線」を用い、最先端の治療方法の確立を目指す研究は、センターの看板的存在と思われる。ほかでは真似できないアプローチであり、実際の症例を積み重ねながら率先して研究を進めてほしい。強度変調放射線治療 (IMRT) との違いなど、粒子線治療は将来の有用な治療方法のひとつになり得る可能性を秘めているので、着実な成果が求められる。

実験動物管理室

  • 動物管理室としての勤務に加えて、radiation後の皮膚の問題はがん医療における大きな問題であり、それに対する治療の探究は臨床上意義がある。今後、基礎研究を着実に進めてほしい。

臨床試験支援室

  • このようなサポート体制は、より迅速なTRを目指すためには必須であり、大変有効であると思う。日本全体としても非常に重要な体制と思われる。また、メディアに対しても十分情報を流す必要がある。