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先端医療開発センター

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外部評価 第3回(2011年)

1. 概要

2011年9月6日に第3回評価委員会が開かれ、臨床開発センター(現・先端医療開発センター)の各部・室およびプロジェクト研究の代表者が過去1年間の研究成果の総括ならびに今後の研究方針について口頭発表を行った。

評価委員会名簿

氏名職名
澁谷 正史 上武大学 副学長
遠藤 啓吾 京都医療科学大学 学長
下遠野 邦忠 千葉工業大学附属総合研究所 教授
山本 一夫 東京大学大学院 教授
大西 秀樹 埼玉医科大学国際医療センター 教授
中釜 斉 独立行政法人国立がん研究センター研究所 所長

2. 全体に対する評価

澁谷 正史

  • 全体はまとまった形でTRに向かってきっちり進んでおり素晴らしいと思う。
  • 築地の国立がん研究センターとともに、基金の確保がされていることが大事なことと思われる。人材の確保および基礎研究の推進も行っていただきたい。また、地域の大学との連携をもっと進めていただければと思う。産学連携的な開発が進みつつあることが素晴らしい。このような研究は、トランスレーショナルリサーチ(TR)の進め方のよいモデルになるのではないかと思われる。患者さんとのコミュニケーションは大切であり、サンプルの利用の同意を得ていることは、患者と医者・医療従事者との関係がよいことを示している。患者にTRに一緒に参加している気持ちをもってもらうことも重要だと思われる。支援室はとてもよく働いている。

遠藤 啓吾

  • 非常によくやっている。臨床研究において、新しいがん治療薬でオリジナルなものを出すことはなかなかできないが、たとえ結果として駄目であっても、ここで開発されたことをTRにもっていく努力は無駄ではない。全国的にMDの研究者が少ない。ぜひポストを増やし、待遇を改善して人材の供給源として機能してほしい。ここで研究した人たちが各地に出て、日本全体のがん研究の向上を目指してほしい。陽子線関係においても、全体に人的なものを増やしていただきたい。すべての分野でよく仕事をされている。日本の最先端の研究を行っている。

下遠野 邦忠

  • 少ない人数で最先端の研究をよく行っている。治療法の開発など、オリジナルな研究を行っている。企業との共同研究で治療法を開発するのは理想的か。企業を探す体制ではなく、企業が寄り添ってくる体制をつくる必要がある。新しいテクノロジーの開発の重要性、核医学、次世代シークエンサーなどは、このセンターのユニークなものであるので研究を推進してほしい。
  • バイオバンクの整備を行っているが、この整備には費用がかかると思われる。他の施設のバイオバンクの整備との関係をどのように考えるのか、他の施設との共同体制の問題をしっかり考える必要がある。
  • 研究評価には、これまでのような個人の論文の評価ではなく、全体のなかでどのような仕事をしたのかを評価する必要がある。体制に対する貢献度を比較する評価法があったほうがよいかもしれない。最終的には、臨床開発センターとして社会にどのようなものを発信できたのかが最も大切と思われる。

山本 一夫

  • 臨床開発センターは早期臨床や前臨床に特化した形でよく機能していると考えられる。これは、臨床開発センター全体が連携し、上手く一体となって機能しているためと考えられる。この施設では最先端の装置を持っているので、ぜひこのまま最先端研究の推進をますます進めてほしい。このためには人材の確保が大切。また、広く共同研究を進め、機器類を有効に活用することがよいのではないかと思われる。

大西 秀樹

  • 最先端の研究、臨床、社会における内容をしっかりしている。臨床治験の体制が十分にできていることが素晴らしい。積極的に仕事をされているので、そのまま医療として社会に還元していただきたい。ここで行っている内容に関して、広報が必要か。一部の発表において、専門的でわかりにくい分野があった。生物学の専門家でない人間にもわかるような説明が必要か。

中釜 斉

  • 少ない人数で特徴的な研究を行っているので、少ない人数のところではスタッフを増やす必要があると考えられる。TRを中心とした内容であるが、もっと基礎的な研究との連携を充実させたほうがよい。各部間での共同研究を進めるともっとよくなると思われる。支援室の機能がよく働いている。支援室の評価法を考える必要があるように思う。

3. 各部署に対する評価

臨床腫瘍病理部

  • Podoplanin陽性のがん幹細胞の同定など、基礎と臨床をつなぐTRを積極的に行っている。また、企業との共同研究も盛んであり、社会への還元も大きく期待できる。センターのミッション内で全体の研究、体制構築など大変よく進展しており、非常に素晴らしい研究成果が得られている。
  • バイオバンクについて、研究基盤として極めて重要である。当センターの将来にとって最も重要な業務のひとつであり、ぜひ継続して進めていただきたい。
  • 限られたサンプルを扱うにあたり、今後多くの研究者に効果的に利用してもらうための方法を検討する時期かと思う。JCOGバイオバンクの位置付け・意義については今後の課題。十分な議論を尽くしてほしい。

がん治療開発部

  • ミセル製剤による治療やCAST therapyの提唱などユニークで夢のある研究や、ドラックデリバリーシステム(DDS)の開発など、臨床研究に向けたオリジナルの高い研究が進められている。今後どのように臨床応用がなされてゆくのか、方向性を示していただけるとよいだろう。臨床的に有効か否かは未知数ではあるが、研究を続けてほしいし、成功を祈っている。

先端医療開発プロジェクト

  • 免疫療法の治療開発に意欲的に取り組んでおり、一定の成果は得られている。
  • GPC3ペプチドワクチンによるCTL療法については、肝細胞癌の臨床試験において有効性が示され、評価される。一方で、このようなアプローチが他の癌についても有効なのか、問題点があるとすればどのような点かなどの検討、また、もう少し基礎的な解析/検討が今後の展開に向けて必要ではないだろうか。

がん組織生理機能解析プロジェクト

  • 病理切片を用いたゲノムワイドの解析が精力的に行われており、大変興味深い。適格なコントロール群との比較を行えば、がん化に関する明確な示唆を与えることが期待され、楽しみである。また、低酵素環境とがん環境は当センターのオリジナルな研究なので期待している。
  • 次世代シークエンサーを用いたがんとDNA特異の関係は今後ますます重要になる。他の技術と結びつけて正確な情報を取得できるとよい。

機能診断開発部

  • PETやMRIなど高度な診断技術の開発は他の施設では出来ないものである。これらの装置を用いた先端的技術の開発は当センターが遂行する重要な役割を担っている。さまざまなアプローチをして有効性を示すことが使命と考えられるので、ソフトやハードの面から、共同研究を積極的に取り組んだらよいと思う。
  • 粒子線医学開発部とのより密な連携についても検討され、今後も日本のトップレベルの研究、開発を行ってほしい。

精神腫瘍学開発分野

  • がんのコンサルテーション、地域連携への取り組み開発が積極的であり、また、高齢者の腫瘍学に関しての取り組みには特筆すべきものがある。
  • 重要な領域と思われるが、全国的に人材が不足している。全国への普及、標準化が望まれる。医師や看護師などと共同で進めていってほしい。

粒子線医学開発部

  • 陽子線による局所制御が可能で治療に有効であることがわかる。診断技術の制度が上がればますます有効な手段になるとのことで、期待は大きい。患者にとっては最も期待される治療法であり、さらなる発展が期待される。
  • 機能診断開発部とのより密な連携について検討され、日本トップレベルの研究のもと、新しい技術の開発、粒子線治療の適応拡大および精度向上に貢献することを期待する。

臨床試験支援室

  • 臨床試験、産学連携の支援等を通して、本センターの体制を円滑に進めるための非常に重要な役割を果たしている。リサーチコンシェルジェのシステムがとてもよい。国内TR/臨床試験のモデルとなるよう着実に進めてほしい。
  • これらに対する評価体制がまだ整っておらず評価をするのは難しい。個人の業績として評価が低いのではないかと心配であるが、ぜひ個人についても高く評価してほしい。