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国立がん研究センター

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国立がん研究センター企画戦略室の現状と今後

国立がん研究センター企画戦略室 室長 成田 善孝

企画戦略室について

国立がん研究センター企画戦略室 室長 成田 善孝写真

企画戦略室は、独立行政法人化後、平成22年5月10日に理事長直轄の組織として発足しました。企画戦略室の使命は、国立がん研究センターのみならず、国内外のがんについての情報を広く集め、さまざまな問題点を分析し企画・立案を行うことです。そのためには、まずセンターの全ての職員のさまざまな声と知恵を集めることが重要です。

  1. 世界最高の医療と研究を行う
  2. 患者目線で政策立案を行う

この理念を達成するべく、企画戦略会議は、ほぼ週1回、センター内外のさまざまな問題についての議論が嘉山理事長のもと行われます。成田、加藤雅志副室長、福田隆浩医局長、木下貴之元医局長ら企画戦略室のメンバーと中釜研究所長、木下平東病院長、大津東病院臨床開発センター長、依田企画経営部長、丸口看護部長、高見人事部長、長岡財務経理部長、石井理事長秘書の他、問題提起者や各種の委員会委員、関係者も出席して問題解決のための議論が行われます。毎回膨大な資料が用意され、大学の文化系のゼミナールのようなものです。平成22年5月から平成23年3月までの会議では、約400項目の案件について議論が行われました。

All activities for cancer patients !

新生国立がん研究センターの使命の1つに「がん難民をつくらない」ということが掲げられましたが、"がん難民" とは、がんが進行して抗癌剤等の積極的な治療が受けられなくなり、主治医から見捨てられたと感じるときや、現在自分が受けている医療に満足できないと感じるときに使われる言葉で、患者と医療スタッフとのコミュニケーションや情報共有の不足も原因の1つです。独法化においては、まず医療の原点に立ち戻り、「最先端の研究も、日常の診療も、職員や患者の活動を支える事務的作業も、全ての活動はがん患者の為にある」というスローガンのもと、職員の結束は強まり、職員各自が知恵を出し合って国立がん研究センター改革が進められました。国民が望む独法化とは、人件費や無駄の削減によるコストの低下ではなく、「アクティビティーを上げること」という嘉山理事長の考えに基づき企画戦略室はさまざまな企画・立案を行っています。

産官学との連携と情報公開

NCCのシンボルマークの意味は、(1)臨床 (2)研究 (3)教育であり、東京大学、慶應大学はじめ多くの大学との連携や、製薬企業などと包括的共同研究契約をすすめています。さまざまな教育・研究機関や企業から信頼され、共同研究による成果をあげるためには、NCCが現在できること・今後進むべき方向をアピールすることも大切です。そのために、センターの職員はもとより、専門家、関係省庁、報道機関、患者などを招き、ゲノムコホートやがんワクチン開発のために、国家戦略としてのがん研究シンポジウムを開催し、今何が足りないのか、どう解決すべきか熱い議論が交わされました。また先進的な発見や診療情報・治療成績・理事会資料はもちろん、医療事故などあらゆる情報公開がすすめられました。報道関係者を国民の目としてとらえ、企画戦略室、広報室が関係者とともにさまざまな資料を用意して公開記者会見が行われ、職員も常に緊張感をもって各個人の使命を果たしてきました。

国立がん研究センターが今後持つべき機能について

日本のがん研究予算は、約400億円程度であり、米国の4000億円(50億ドル)の約1/10です。NCIは法律により、National Cancer Program(NCP)を策定し、がん研究の全責任と、がん対策の立案に対するNCIの責任と義務が規定されています。またNational Cancer Advisory Board(NCAB:国立がん諮問委員会)のもと、国のがん研究の企画と開発、予算案の作成を行い大統領に直接訴えることができます。NCIは、がん予防・診断・治療に必要なデータを世界中から収集・解析し、研究用人材の育成はもちろん、将来米国に役立つ可能性があれば世界中の研究の支援を行っています。大規模予防研究のみならず、巨大な製薬企業であるかのように、研究用薬剤の製造と提供を行い新薬の開発も行っています。

米国NCIを参考に、国立がん研究センターが今後もつべき機能について、メディカルイノベーション室の藤原副院長、山本国際交流室長とも議論を重ねています。今後、医療現場・国民目線のがん対策を中長期的に戦略立案し、国内外の疫学情報やさまざまながんに関係するデータを収集して、がん研究を統括していくことが必要です。企画戦略室は、今後その機能を果たすべく常に科学的検証を行いながら、新規研究課題設定や研究支援・進捗管理のための予算配分機能も意識しながら、センター内の意見を集め整理していきます。国立がん研究センターが、真に日本のがん医療・研究をリードしていくためには、がん医療・研究の司令塔である理事長のもと、何よりも職員自らがNCCの使命を自覚し、さまざまな意見の交換を続けていくことが重要と思います。

注:このページは、平成24年1月に作成されたものであり、所属名称や役職については平成24年1月24日現在のものとなります。

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