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国立がん研究センター

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若手医師・コメディカル人材の「半学半教」環境の創出

理事(教育) 末松 誠

理事(教育) 末松 誠写真

国立がんセンターは平成22年4月に独立行政法人国立がん研究センターに移行し、理事長のもとに年度計画の策定と推進が行われ、また同時にガバナンスの強化のために組織改編がなされました。新年平成24年に装いも新たに創立50周年を迎えるセンターの教育担当理事として現在取り組んでおりますのは「連携大学院の構築による若手医師のモティベーションの向上を通じたがん医学・がん医療の向上」であります。

平成23年12月にはそのモデルケースの一環として慶應義塾大学大学院博士課程との連携大学院協定の締結を行いました。この企画は嘉山理事長のイニシアチブとセンタースタッフのご協力の下に速やかに形にすることができました。国立がん研究センターに限らずnational centerには全国から大学の枠を超えた多くの優秀な人材が集まります。しかし自身の出身母体を超えてセンターに集まる若手医師やコメディカルの若手人材の悩みは「しっかりした臨床をするためには、しっかりした論理と基礎知識を職場から遊離しない形で学び、それを現場で生かしたい」「がん研究以外のライフサイエンスの中に未来のがん治療に繋がるヒントが隠れていないか?いろいろな知識を働きながら吸収したい」ということでした。大学のミッションは「答えのない問題を解決する」ことです。

センターとは至近距離にある慶應義塾大学医学部・医学研究科では平成20年度から、卒後3年から6年のいわゆる「専修医」が大学院学生を兼任する新しい制度改革を行い、基礎・臨床研究に専念する1-3年生に対して大型奨学金制度を設け、殆どの博士課程の学生さんに奨学金を給付し、実質国立の大学院と同等の学納金で博士課程に進むしくみを構築しました。今回の連携大学院は、センターで働いている若手医師やコメディカルの人材にも門戸を開き、国立がん研究センターのスタッフの先生で慶應の審査を受け認可を付与されたスーパーバイザーを主査として学位が取れるようにしたものです。また信濃町と築地でそれぞれ行われている質の高い教育プログラムによる単位認定などを可能にするべく、今年度内開講を目指して相互乗り入れのしくみを実質化していきたいと思います。

わが国の医学医療の質の向上のためには、やる気のある若手の努力が報われる仕組みと、「指導者を育成する指導者」の育成が必要です。国立がん研究センターもその例外ではありません。医師の育成数、医療崩壊の問題が議論されている昨今ですが、がん医学・医療の中心たるセンターは、「がんの成り立ちと治療戦略を徹底的に問える究理医学を実践できる医師・医療人」を育成していく使命があります。日々進歩する医学・生命科学の息吹を世界中から吸い込み、日本独自のがん研究や医療の成果を出していくことが求められます。

福澤諭吉の言葉に「半学半教」という言葉がありますが、すべてのサイエンスに携わる人々は、「一生学生、一生先生」であり、年配の方々でも若手のはつらつとした発想力に目を覚まされることは少なくありません。理事会の一員としてお仕事をさせていただきもうすぐ一年となりますが、理事会構成員の皆さんもそれは同じ思いだと確信いたしております。

国立がん研究センターが創立50周年を迎えるにあたって、先駆者が築き上げたがん研究と診療の基盤を最大限に生かしつつ、がん医学・医療を担う若い方々が新しい学問に触れ、自ら創造していける環境を気持ちも新たに創出していきたいと考えております。センター内外の先生方のご指導・ご鞭撻を今後とも宜しくお願い申し上げます。

注:このページは、平成24年1月に作成されたものであり、所属名称や役職については平成24年1月24日現在のものとなります。

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