コンテンツにジャンプ
国立がん研究センター

トップページ > 広報活動 > プレスリリース > わが国の希少がん対策について専門家らの意見をとりまとめた「希少がん対策ワークショップ報告書」公開

わが国の希少がん対策について専門家らの意見をとりまとめた「希少がん対策ワークショップ報告書」公開

2014年5月26日
独立行政法人国立がん研究センター

独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター(センター長:若尾文彦、東京都中央区)は、厚生労働省委託事業「希少がん対策推進事業」の一環として、疫学者、臨床医、基礎研究者、製薬企業、患者相談支援担当者など、各領域の専門家約70名による意見交換会「希少がん対策ワークショップ」を本年2月16日に開催し、その報告書をホームページにて公開いたしました。本報告書は、がん対策情報センターがん政策科学研究部のHPからPDFでダウンロードが可能です。

「希少がん対策推進事業」とは、2012年度から2016年度までの5年間における国のがん対策の基本的方向を示す「がん対策推進基本計画(外部サイトにリンクします)」で、新たに追記された希少がん対策に対する取り組みのひとつとして実施されたものです。

希少がん対策の現状

2012年6月に第2期のがん対策推進基本計画が閣議決定され、2012年度から2016年度の5年間を対象としたがん対策の基本的方向が定められました。ここでは、第1期のがん対策推進基本計画で取り上げられていなかった項目の一つとして、希少がん対策を進めていく事が記載されましたが、「適切な標準的治療の提供体制、情報の集約・発信、相談支援、研究開発等のあり方について」は今後の検討とされました。

ワークショップの意義と報告書の概要

「希少がん」の定義も日本においては定まったものがありません。そのような状況から、本ワークショップでは、

  1. 定義・疫学
  2. 診療の現状
  3. 研究開発の課題
  4. 患者相談支援

の4つの課題について、各分野の専門家が意見交換を行いました。希少がんは、千差万別なため一律に論ずることができない側面もありますが、しかしその中から共通点を見出し対策を立てることで、制度が組み立てられることにつながります。本ワークショップが、日本の希少がん対策における臨床現場からの問題提起と議論の最初の場となり、これからの希少がん対策の鏑矢としての役割を果たしたと考えます。

  1. 疫学と定義
    希少がんの定義を検討するためには、発生数の検討が必要であり、またその前提としてがんの分類を決めなければなりません。ヨーロッパの関連学会の連合プロジェクトRARECAREでは分類法を作成し、がん登録を使って発生数を数え、年間発生数が人口10万人あたり6未満のものを希少がんと定義をしています。日本における希少がんを定義するために、日本の2種類のがん登録(33の自治体で行われている地域がん登録と、がん診療連携拠点病院で行われている院内がん登録)に同じ分類を当てはめて、年間発生率を試算して分類ごとにその結果を検討しました。参加者のアンケートではRARECAREと同じ年間10万人あたり6人未満という基準に賛成との意見が多数を占めました。しかし、対策対象となる希少がんの選定には数だけでなく、予後や有効な治療の有無など他の因子も考慮すべきという意見もありました。
  2. 診療の現状
    希少がんの診療は、特定の施設に集約化して行う必要性があると言われます。しかし、院内がん登録を使った集計では、日本では希少がん診療の集約化はほとんどなされていないことが判明しました。今後、集約化を進めるための方法について議論がなされ、制度による強制的な集約化ではなく、医療者のコミュニティの中で自発的な集約化を図るのが良いとの合意がありました。一方、集約化による予後改善効果に関するデータも不足していることから、その検証も大切であることが再確認されました。
  3. 研究開発
    研究に関しては、臨床医と基礎研究者の交流の重要性、研究開発コスト等も踏まえた薬価決定、行政の支援・薬事承認の考え方、臨床試験の方法論の提案など、多岐にわたった議論がなされました。これらはいずれも大きな課題であり、ワークショップは、問題提起の段階にとどまりました。解決のためには引き続き議論を進めていく必要があります。
  4. 患者支援
    希少がんの中では、成人T細胞リンパ性白血病(HTLV-1)の対策が先行しています。患者支援に関するHTLV-1研究班による調査では、保健所や拠点病院の相談支援センターでの相談件数は少ないことなど、制度的な設定と現実のギャップが指摘されました。今後の希少がん対策は、現状をもとに軌道修正を絶えず行うことが重要であると考えられます。また、現場の相談支援員からは、多種多様な相談が寄せられるとの報告があり、対応には高度な知識と技術が必要と考えられます。がん対策情報センターでは、がん情報サービスサポートセンターによる電話相談において、院内がん登録を用いて希少がんの実績のある施設を案内する試みを開始しています。今後は系統的に算出するシステムを開発し、都道府県拠点病院などの相談支援センターにおいても同様な情報提供が行えることを目指しています。

プレスリリース

  • 希少がん対策ワークショップ報告書公開

関連ファイルをご覧ください

内容に関するお問い合わせ

独立行政法人 国立がん研究センター
がん対策情報センター がん政策科学研究部 部長 東 尚弘(ひがし たかひろ)
郵便番号:104-0045 東京都中央区築地5-1-1
電話番号:03-3542-2511 内線番号:1637、1639
ファクス番号:03-5565-2322
Eメール:hsr●ncc.go.jp(●を@に置き換えください)

その他のお問い合わせ

独立行政法人国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
郵便番号:104-0045 東京都中央区築地5-1-1
電話番号:03-3542-2511
ファクス番号:03-3542-2545
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置き換えください)

関連ファイル

Get Adobe Reader

PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。