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-小児がん中央機関による2回目の報告-

院内がん登録2018-2019年 小児AYA集計報告書公表
-小児がん中央機関による2回目の報告-

2023年11月15日
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センター

厚生労働省より小児がん中央機関として指定されている、国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)と国立がん研究センター(所在地:東京都中央区築地、理事長:中釜斉)は、全国のがん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院等をはじめとするがん専門施設、地域のがん医療を担う施設において実施されている2018年および2019年の院内がん登録データを、小児および思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult; AYA、以下、AYA世代)に特化した集計を行い、報告書にまとめウェブサイトで公表しました。

国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(報告書)

結果のポイント

  •  国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターに収集されている2018年および2019年診断例のうち、0歳から40歳未満の83,516例(前回83,489例)を集計対象としました。
  • 小児がんの集計対象は、女児(45.2%)よりも男児(54.8%)の登録数がやや多い傾向であり、その一方でAYA世代のがんの集計対象は、女性(74.8%)のほうが男性(25.2%)よりも登録数が多い結果でした。
  • 全登録数に占める初回治療開始例の登録数をみると、小児がんで68.0%、AYA世代のがんで75.8%となっており、その他の年代を含めた院内がん登録全国集計の平均よりやや低い傾向(2018年例79.0%、2019年例78.6%)でした。
  • 小児がんでは、白血病が30.4%と最も多く、次いで脳腫瘍が23.0%で、男児、女児別にみてもほぼ同様の結果でした。また、白血病、神経芽腫、網膜芽腫、腎腫瘍、肝腫瘍は1歳から5歳未満に最も多く、それぞれ腫瘍全体の38.5%、52.4%、53.3%、60.0%、52.2%を占めていました。
  • AYA世代のがんでは、男性、女性別にみると、15歳から20歳未満では患者数にほぼ差はありませんが、20歳以上では年齢階級が上がるとともに女性の割合が増加していました。また、男性では癌腫が36.9%と最多で、胚細胞性他、脳・脊髄腫瘍、リンパ腫、白血病が8.5から14.3%の割合でみられたのに対して、女性では癌腫が38.0%であり、次いで脳・脊髄腫瘍が3.3%でした。
本集計報告書は、国際的な定義に則った小児がんおよびAYA世代のがんの統計解析となっていることが特徴です。本報告書が、わが国の小児がんおよびAYA世代のがん診療の実態を正しく把握するための資料として広く活用されることを期待するとともに、がん患者さんとそのご家族や医療機関等が、治療などを目的に医療機関を選択する際の資料のひとつとして活用されるよう、小児がん中央機関としてこれからも継続して取り組んでいきます。

 

小児がん、AYA世代のがんについて

小児がん

小児がんとは、0歳から15歳未満の小児がかかる様々ながんの総称です。小児が罹患するがんの種類は成人と違いがあり、なかでも白血病が最も多く、他にリンパ腫、脳腫瘍、神経芽腫、胚細胞腫瘍などが主ながんの種類としてあげられます。

AYA世代のがん

AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、15歳から40歳未満を指します。AYA世代は、子どもから大人への移行期も含まれるため、小児で罹患することが多いがんと成人で罹患することが多いがんの両方の種類が存在します。そのため、AYA世代に多いがんの種類は、年代によって違いがあります。

 

本集計の概要

全国のがん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院等をはじめとするがん専門施設、地域のがん医療を担う施設において実施されている2018年および2019年の院内がん登録データを、小児がんおよびAYA世代のがんに特化した集計・分析を行い、今回2回目の報告となります。

 

収集対象と収集方法

当該年の院内がん登録全国集計報告書に記載の「I.全国集計調査方法1.収集の対象と方法」を参照してください。

 

集計対象 小児がん6,898例、 AYA世代のがん76,618例 計83,516例

国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターに収集されている2018年および2019年診断例のうち、以下の条件を満たすデータ、小児がん6,898例、 AYA世代のがん76,618例、計83,516例を集計対象としました。
  • 悪性新生物<腫瘍>及び上皮内癌(性状コード3,2)、また脳腫瘍の局在コードがC70.0, C70.1, C70.9, C71.0, C71.1, C71.2, C71.3, C71.4, C71.5, C71.6, C71.7, C71.8, C71.9, C72.0, C72.1, C72.2, C72.3, C72.4, C72.5, C72.8, C72.9, C75.1, C75.2, C75.3の良性及び良性又は悪性の別不詳(性状コード0, 1)、消化管間質腫瘍,NOS(組織型8936)の良性又は悪性の別不詳(性状コード0, 1)、卵巣の境界悪性腫瘍(性状コード1)の一部
  • 0歳から40歳未満
 

小児AYA集計

結果概要

  • 国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターに収集されている2018年および2019年診断例のうち、0歳から40歳未満の83,516例(前回83,489例)を集計対象としました。
  • 小児がんの集計対象は、女児(45.2%)よりも男児(54.8%)の登録数がやや多い傾向であり、その一方でAYA世代のがんの集計対象は、女性(74.8%)のほうが男性(25.2%)よりも登録数が多い結果でした(表1)。
  • 全登録数に占める初回治療開始例の登録数をみると、小児がんが68.0%、AYA世代のがん75.8%となっており、その他の年代を含めた院内がん登録全国集計の平均よりやや低い傾向(2018年例79.0%、2019年例78.6%)でした(表1)。
表1小児がん、AYA世代のがんの集計対象者内訳
小児がん、AYA世代のがんの集計対象者内訳

小児がん集計方法

集計対象483施設4,688例 (前回 469施設4,534例) 

  • 0歳から15歳未満までの「自施設診断・自施設初回治療」、「他施設診断・自施設初回治療」の自施設初回治療例データ483施設4,688例を集計対象としました。
  • 国際小児がん分類(International Classification of Childhood Cancer:ICCC)第3版/WHO2008改訂版に基づき集計しました。

集計結果

  • 白血病が30.4%と最も多く、次いで脳腫瘍が23.0%であった。男児、女児別にみてもほぼ同様の結果でした(表2)。
  • 0歳から1歳未満では変換不能が25.0%であり、次いで白血病18.3%、脳腫瘍16.2%、神経芽腫10.5%でした。1歳から5歳未満と5歳から10歳未満では白血病が最多で39.3%と34.5%、次いで脳腫瘍が多く18.5%と29.4%を占めていました。10歳から15歳未満では脳腫瘍25.7%、白血病24.3%と、わずかだが脳腫瘍が白血病より多い結果でした。
  • 白血病、神経芽腫、網膜芽腫、腎腫瘍、肝腫瘍は1歳から5歳未満に最も多く、それぞれ腫瘍全体の38.5%、52.4%、53.3%、60.0%、52.2%を占めていました。
表2小児がん自施設初回治療例のがん種内訳
小児がん自施設初回治療例のがん種内訳 

注1)がん種の性別、年齢階級別の詳細情報は、報告書の表3-1-1から表3-2-2(11から14ページ)を参照ください

AYAがん集計方法

集計対象860施設58,062例 (前回 844施設58,837例)

  • 15歳から40歳未満までの「自施設診断・自施設初回治療」、「他施設診断・自施設初回治療」の自施設初回治療例データ860施設58,062例を集計対象としました。
  • AYAがん分類(AYA Site Recode/WHO2008改訂版)に基づき集計しました。

集計結果

  • 癌腫が最も多く37.8%、脳・脊髄腫瘍が4.9%でした(表3)。癌腫の内訳をみると、乳癌が最も多く26.5%、次いで子宮頚部・子宮癌が19.7%でした。
  • 男性、女性別にみると、男性が13,346例、女性が44,716例であり、女性が全体の約77%を占めていました。男性では癌腫が36.9%と最多で胚細胞性他、脳・脊髄腫瘍、リンパ腫、白血病が8.5から14.3%みられたのに対して、女性では癌腫が38.0%であり、次いで脳・脊髄腫瘍が3.3%でした(表3)。
  • 男性、女性別に癌腫の内訳をみると、男性では、結腸・直腸癌が最も多く28.1%、次いで甲状腺癌が14.4%、女性では、乳癌が34.2%と最も多く、次いで子宮頸部・子宮癌が25.4%でした(図1)。


表3 AYA世代のがん自施設初回治療例のがん種内訳
AYA世代のがん自施設初回治療例のがん種内訳

注2) がん種の性別、年齢階級別の詳細情報は、報告書の表4-1-1から表4-2-2(16から20ページ)を参照ください。

図1 AYA世代のがんの癌腫の内訳、男女別


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用語の説明

がん 

ひらがなの「がん」は、癌(癌腫)、肉腫、造血器腫瘍の悪性腫瘍全体を指します。

癌または癌腫


漢字の「癌」または「癌腫」は、上皮性悪性腫瘍を指し、上皮細胞から発生する悪性腫瘍に限定して使用されます。また、上皮に留まる悪性腫瘍を「上皮内癌」、上皮から脂肪や筋肉、血管等へ浸潤する悪性腫瘍を「浸潤癌」と呼びます。

がん種


がんの種類のことを指します。

注3)スライド資料「2018-2019年 院内がん登録小児AYA集計 報告」の15ページも参照ください。

お問い合わせ先

小児AYA集計報告書について

国立開発法人 国立成育医療研究センター
小児がんセンター 小児がんデータ管理科
〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1
電話番号:03-3416-0181(代表)

E-mail:nch-cca●ml.res.ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)

院内がん登録関連について

国立研究開発法人 国立がん研究センター
がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録分析室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線1600)

E-mail:hbcr_analysis●ml.res.ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)

広報窓口

国立開発法人 国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1
電話番号:03-3416-0181(代表)

E-mail:koho●ncchd.go.jp(●を@に置き換えてください)

国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線 3548)
電話番号:03-3542-2511(代表) 

E-mail:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)

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