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2022年のがん診療連携拠点病院等におけるがん診療の状況

院内がん登録2022年登録例集計 公表
2022年のがん診療連携拠点病院等におけるがん診療の状況

2024年1月25日
国立研究開発法人国立がん研究センター


国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は、国が指定するがん診療連携拠点病院等(以下、「拠点病院」という)と小児がん拠点病院(以下、「小児拠点」という)、その他のがん診療を行う院内がん登録実施施設(以下、「拠点外病院」という)において、2022年1月1日から12月31日の1年間にがんと診断または治療された患者さんの院内がん登録データを収集し集計、報告書にまとめ、ウェブサイトで公表しました。

国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」報告書ページ(外部サイトにリンクします)

結果のポイント

  • 2018年から2022年の過去5年間を通して、院内がん登録データの提出があった拠点病院451施設と小児拠点6施設、その他の拠点外病院292施設、計749施設を対象に、2022年における日本のがん診療について分析を行いました。

  • 2020年から2022年診断例の院内がん登録数は、2018-2019年診断例の2カ年平均登録数と比較したところ、2020年診断例は95.6%と減少、2021年診断例は101.1%と微増、2022年診断例は102.3%と、登録数はゆるやかに増加していました。

  • がん検診推奨部位(胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部)を、発見経緯別に検診発見例と非検診発見例に分け、2022年診断例を2018-2019年診断例の2カ年平均登録数と比較したところ、検診発見例は大腸では横ばい、胃、肺、子宮頸部では減少、乳房では増加していました。

  • がん検診推奨部位のがんである胃がん、大腸がん、非小細胞肺がん、乳がん、子宮頸がん、に加えて膵臓がんにおける病期別登録数について、2022年診断例を2018-2019年診断例の2カ年平均登録数と比較したところ、胃がん、大腸がん、乳がんはほぼ変化がなかったが、非小細胞肺がん膵臓がんではI期の割合が増加していました。子宮頸がんは、0・I期の割合が減少しており、これは検診発見例の減少が一因の可能性もあるため、検診受診率と精密検査受診率の推移の確認が今後必要です。

  • 2007年診断例より院内がん登録が開始されて以降、2020年診断例で初めて減少しました。2019年までの推移を考慮すると、登録数は2021年に続き2022年診断例も、2020年の減少分が増加したと考えることは難しく、今後も同様に登録数や病期の推移についての分析を継続しつつ、全国がん登録等の他のデータでの確認も必要です。

がん登録

がんの罹患(病気にかかること)や転帰(最終的にどうなったか)という状況を登録・把握し、分析する仕組みで、がんの患者数や罹患率、生存率、治療効果の把握など、がんを取り巻く状況を把握し、がん対策の基礎データとして必要な仕組みです。がん対策を推進するためには、正確ながんの実態把握が必要であり、その中心的な役割を果たすのが「がん登録」です。がん登録には、院内がん登録と全国がん登録の2種類があります。(厚生労働省がん登録「がん登録とは」から一部引用)

院内がん登録

国が指定するがん診療連携拠点病院等を中心に、全国約850病院で行われているもので、各施設でがんの診療を行ったすべての患者さんのデータを、全国共通のルールに従って登録するものです。そのデータを国立がん研究センターで1つにまとめて集計・分析・管理する仕組みで、2007年からはじまりました。収集・集計によって得られた診療実績を用いて、医療の実態把握を行い、質の向上を図ることや、患者さんの医療機関選択に資する情報を提供しています。

全国がん登録

全国の病院(一部診療所を含む)の義務として行われているもので、各施設でがんと診断されたすべての患者さんのデータを、全国共通のルールに従って登録するものです。そのデータを国で1つにまとめて集計・分析・管理する仕組みで、2016年からはじまりました。収集・集計によって得られた罹患数・率は、国および都道府県のがん対策に活用されています。

院内がん登録2022年全国集計

概要

院内がん登録データを用いて、新型コロナウイルス感染症の流行下におけるわが国のがん診療の実態について、国が推奨するがん検診の対象部位である、胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部を中心に分析した結果を報告します。

集計方法

収集対象

2023年6月時点の拠点病院456施設、小児拠点6施設、拠点外病院397施設において、2022年1月1日から12月31日までの1年間にがんと診断または治療された症例を収集対象とした。

集計対象

2023年9月15日までに院内がん登録データを提出した、拠点病院456施設、小児拠点6施設、拠点外病院389施設の計851施設1,103,824例を集計対象とした。

特別集計の集計対象

拠点病院451施設、小児拠点6施設、拠点外病院292施設 計749施設5,112,915例
2018年から2022年の5年間を通して院内がん登録データの提出があった拠点病院451施設と小児拠点6施設、拠点外病院292施設の計749施設5,112,915例を集計対象とした。

特別集計の集計項目

  1. 症例区分別登録数の推移
  2. 診断月別登録数の推移
  3.  発見経緯別登録数の推移
  4. UICC TNM分類総合病期別登録数の推移
  5. 治療関連登録数の推移
  6. 参考(長期的な登録数の推移)

特別集計の結果

2022年診断例を2018-2019年診断例の2カ年平均登録数(以下、「2カ年平均登録数」または「2カ年平均」という)と比較したところ、2020年診断例は96.0%と減少していましたが、2021年診断例は101.0%、2022年診断例は102.3%と、ゆるやかに増加していました(図1)。(報告書P115)

<図1>2018-2019年の2ヵ年平均と2020年、2021年、2022年の登録数との比

 20240125_figure_01.png

2020年1月から2022年12月までの3年間に、新規にがんと診断された登録数の推移を同期間の新型コロナウイルス感染症月別新規患者数の推移とあわせてみると、最も減少したのは最初の緊急事態宣言が発出された2020年4月から5月で、2020年7月から8月と3回目の緊急事態宣言が発出された2021年5月と7月、2022年7月にやや減少していた。初回の緊急事態宣言に加えて、新型コロナウイルス感染症の新規患者数が急激に増加する頃に、新規がん登録数が減少しやすい可能性が考えられるが、2022年1月頃など必ずしもそうではない場合もあり、感染症がある状況への慣れなど様々な原因が複合して影響していることが考えられます(図2)。(報告書P116)

<図2>2020-2022年の診断月別登録数の推移(2018-2019年の2ヵ年平均と比較)

 20240125_figure_02.png

発見経緯別に検診発見例と非検診発見例に分け、2022年診断例を2カ年平均登録数と比較したところ、検診発見例は100.3%、非検診発見例は102.5%であった。これをがん検診推奨部位別に検診発見例の登録数をみると、胃は2022年も減少傾向が継続し、大腸は2021年からほぼ横ばい、乳房は2021年に続き2022年も増加していました。肺と子宮頸部は2020年に減少、2021年に増加しましたが、2022年に再び減少に転じていました(表1)。(報告書P122-126)

<表1>発見経緯別がん検診発見例登録数の2018-2019年2ヵ年平均登録数との比

がん検診推奨部位 2020年 2021年 2022年
77.2% 87.8% 86.4%
大腸  86.7%  95.9% 95.6%
 肺  88.5%  98.7% 96.9%
 乳房(女性)  89.7%  106.1% 110.5%
 子宮頸部  87.5%  98.3% 91.2%

部位別総合病期別登録割合について、2022年診断例を2018-2019年2カ年平均登録数と比較したところ、胃がん、大腸がん、乳がんの病期別登録割合にほぼ変化はありませんでした。肺がんにおける主な組織型の1つである非小細胞肺がんと膵がんではI期の割合が増加、子宮頸がんでは0・I期の割合が減少していました。子宮頸がんの0・I期の割合の減少は、表1で示した検診発見例の減少が一因となった可能性が考えられます(表2)。(報告書P127-129)

<表2>部位別病期別登録割合(2018-2019年2ヵ年平均登録数と比較)

  0期 I期 II期 III期 IV期
非小細胞肺がん -0.2% 2.2% -0.5% -0.8% -0.5%
子宮頸がん -0.6% -0.9% 0.1% 1.2% 0.3%
膵臓がん 0.3% 6.8% -3.1% -2.4% -1.8%

参考として、2015年から2022年の8年間継続して院内がん登録データの提出があった施設に限定して登録数の推移を観察すると、2015~2019年にかけて全がんの登録数は増加していたが、2020年に減少しました。その後、2021年は2019年と同程度、2022年は2021年とほぼ同程度の登録数でしたが、少なくとも2020年に減少分が上乗せされている様子は見受けられませんでした(図3)。(報告書P138)

<図3>2015年-2021年の年間登録数の推移

 20240125_figure_03.png

ただし、本報告で用いている院内がん登録は全てのがん患者数を把握しているものではなく、新型コロナウイルスが存在しなかった場合の登録数の推移を正確に予想することも困難であり比較検討の方法は確立していません。そのため、少なくとも全国がん登録等の他のデータでの確認は必要であり、院内がん登録でも今後の登録数の推移を引き続き確認する必要があります。


注1)「2カ年平均登録数」「2カ年平均」とは、2018年-2019年症例の2カ年登録数の平均を指す

注2)がん検診推奨部位とは、胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部を指す

注3)発見経緯とは、何がきっかけで「がん」がみつかったかを登録する項目。今回は、がん検診・健康診断・人間ドックを検診発見例、自覚症状などを非検診発見例として集計

お問い合わせ先

院内がん登録全国集計について

国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所
がん登録センター 院内がん登録分析室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線1600) E-mail:hbcr_analysis●ml.res.ncc.go.jp(●を@に変更してください)

その他全般について

国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
担当:がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線 3548)
TEL:03-3542-2511(代表) E-mail:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に変更してください)

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