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がん予防・検診研究センター
「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版」発行

2014年4月16日
独立行政法人国立がん研究センター


独立行政法人国立がん研究センター がん予防・検診研究センター(所在地:東京都中央区、センター長:津金昌一郎)は、乳がん検診の科学的根拠を示すガイドラインとして「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版」を発行しました。

本ガイドラインでは、乳がん検診の利益(死亡率減少効果)と不利益について科学的な根拠を示し、わが国で実施すべき方法を推奨として提示しています。

現在、乳がん検診においては、40歳以上を対象とした視触診とマンモグラフィによる検診が標準的な方法として実施されています。 本ガイドラインにおいては、40〜64歳に対してはマンモグラフィ単独法とマンモグラフィと視触診併用法を推奨しました。受診者にとって乳がん検診の選択肢が増えることで検診受診率の改善が期待できます。また、対策型検診において行うべき科学的根拠のある検診と不明な検診を明示することにより、自治体や個人が乳がん検診の目的である死亡率減少を達成できる検診方法を正しく選択することが出来るようになります。

本ガイドラインは、2011年〜2013年度がん研究開発費の助成により「科学的根拠に基づくがん検診法の有効性評価とがん対策計画立案に関する研究」(主任研究者:がん予防・検診研究センター検診研究部 部長 齋藤博)において作成されました。


1.背景

わが国では、1999年度からがん検診が一般財源化され、検診の実施、検査方法の選択などは市区町村の判断に委ねられています。がん検診は、科学的根拠に基づき標準化された方法を正しく精度管理し実施する必要がありますが、地域によって実施状況に差が生じています。

平成12年度厚生労働省老人保健推進費等補助金 がん検診適正化に関する調査研究事業「新たながん検診手法の有効性の評価」報告書(2001年3月、主任研究者:久道 茂)による乳がん検診ガイドラインの公表から13年が経過しており、新たな予防対策の科学的根拠を明確にすることが求められていました。

参考:がん情報サービス「がん検診について」
一般の方向け:http://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/about_scr.html がん情報サービスへのリンク
医療関係者向け:http://ganjoho.jp/professional/pre_scr/screening/screening.html がん情報サービスへのリンク


2.「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版」による奨励例

がん予防・検診研究センターのホームページで詳細をご紹介しています。 ガイドライン全文(PDF)のダウンロードも可能です。
http://www.ncc.go.jp/jp/kenshin/research_projects/index.html

1)マンモグラフィ単独法(40〜74歳)
40〜74歳を対象として、死亡率減少効果を示す相応な証拠があります。不利益については偽陽性、過剰診断、放射線誘発乳がんの発症の可能性があります。これらの結果から、*対策型検診・任意型検診としての実施を勧めます。

2)マンモグラフィと視触診の併用法(40〜64歳)
40〜64歳を対象として、死亡率減少効果を示す相応な証拠があります。不利益については偽陽性、過剰診断、放射線誘発乳がんの発症の可能性があります。これらの結果から、*対策型検診・任意型検診としての実施を勧めます。ただし、視触診が適正に行われるための精度管理ができない状況では実施すべきではありません。
注)65〜74歳については、マンモグラフィと視触診の併用法に関する証拠は認められませんでした。従って、65〜74歳には、マンモグラフィ単独検診を*対策型検診として推奨します。

3)その他の方法
40歳未満を対象としたマンモグラフィ単独法及びマンモグラフィと視触診の併用法、視触診単独法、超音波検査(単独法・マンモグラフィ併用法)は死亡率減少効果が不明なことから、*対策型検診としての実施は推奨しません。*任意型検診として実施する場合には、死亡率減少効果が不明であることと不利益について適切な説明を行うべきです。


<用語説明>

*対策型検診と任意型検診:
対策型検診とは、集団全体の死亡率減少を目的として実施するものを指し、公共的な予防対策として行われます。このため、有効性が確立したがん検診を選択し、利益は不利益を上回ることが基本条件となります。わが国では、対策型検診として市区町村が行う住民検診が該当します。
一方、任意型検診とは、対策型検診以外の検診が該当しますが、その方法・提供体制は様々です。典型的な例は、医療機関や検診機関が行う人間ドックが該当しますが、保険者による予防給付や個人による受診選択など受診形態も様々です。検診方法の選択、精度管理などの問題がありますが、個々の受診者への対応が可能となるという利点もあります。
参考:科学的根拠に基づくがん検診 推進のページ がん検診ガイドラインの考え方 http://canscreen.ncc.go.jp/kangae/kangae7.html 外部サイトへのリンク


作成委員会名簿

*( )内は主たる専門分野
大田浩司 (乳腺外科)   福井県立病院 外科医長
大貫幸二 (乳腺外科)   岩手県立中央病院 乳腺・内分泌外科 科長
笠原善郎 (乳腺外科)   福井県済生会病院 外科 部長
片山貴文 (医療技術評価)   兵庫県立大学看護学部 統計・情報系 教授
齋藤博 (消化器内科:大腸がん検診)   独立行政法人 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 検診研究部 部長
佐川元保 (呼吸器外科)   金沢医科大学医学部 呼吸器外科学 教授
佐々木清寿 (消化器内科)   聖路加国際病院 予防医療センター 内科医長
島田友幸 (乳腺外科)   秋田県厚生連 平鹿総合病院 乳腺外科 診療部長
首藤昭彦 (乳腺外科)   聖マリアンナ医科大学附属ブレスト&イメージングセンター 乳腺外科 教授
祖父江友孝 (疫学:がん)   大阪大学大学院 医学系研究科 社会環境医学講座 環境医学教室 教授
中井昌弘 (健診・検診)   公益財団法人 三重県健康管理事業センター 診療所 常務理事兼診療所長
中山富雄 (疫学:肺がん検診)   地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センターがん予防情報センター 疫学予防課 課長
服部昌和 (消化器外科)   福井県立病院 外科主任医長
濱島ちさと (医療技術評価、がん検診)   独立行政法人 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 検診研究部 室長
本荘哲 (疫学・一般小児科学)   国立病院機構 福岡病院 小児科 医長
森田孝子 (乳腺科)   国立病院機構 名古屋医療センター 乳腺科 医師

プレスリリース
がん予防・検診研究センター「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版」発行(PDF)


<この研究内容に関するお問い合わせ>
独立行政法人国立がん研究センター
    がん予防・検診研究センター 検診研究部 濱島ちさと
TEL:03−3542−2511(内線3450) E-mail:canscreen @ ml.res.ncc.go.jp

<報道に関するお問い合わせ>
独立行政法人国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
  TEL:03−3542−2511(代表)/FAX:03−3542−2545
  E-mail:ncc-admin @ ncc.go.jp
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