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胆道がんで国内初
分子標的薬開発に向けた臨床研究開始

中央病院、東病院のほか全国多施設で実施、治験の早期実現を目指す

2014年6月6日
独立行政法人国立がん研究センター


独立行政法人国立がん研究センター(理事長:堀田知光、東京都中央区、略称:国がん)は、胆道がんにおいて国内初となる分子標的薬の開発に向けた多施設共同の臨床研究を開始いたしました。

本研究は、昨年11月に公表した当センター研究所がんゲノミクス研究分野柴田龍弘分野長らによる胆道がん(肝内胆管がん)の治療標的となる新たな融合遺伝子FGFR2の発見に基づく臨床研究で、FGFR2融合遺伝子陽性胆道がんの臨床病理学的、分子生物学的特徴を明らかにするための観察研究です。この観察研究を基に、実際に阻害剤を投与できる臨床試験(治験)の実現を目指します。 対象となるのは、胆道がん(肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がん)の患者さんで、本年3月より中央病院(病院長:荒井保明、東京都中央区)と東病院(病院長:西田俊朗、千葉県柏市)で実施しており、今後順次関東26施設からさらに全国の施設でも開始予定です 。


1.背景

胆道がんは国内の年間罹患者約2万人、死亡者数約1.8万人という膵がんに次いで予後の悪い難治がんです。さらに、希少なため大規模な臨床研究が難しく、適応のある抗がん剤も6剤のみで、近年承認が相次いでいる分子標的薬も現在までに有効性が示されていないアンメットメディカルニーズの高いがんです。

融合遺伝子とは、遺伝子の変化で、がんの発生原因と考えられるものもあります。そのため、融合遺伝子をよく調べることで発がんの仕組みが分かるだけでなく、治療のターゲットとすることでがんの治療開発にもつなげることができます。例えば、肺がんでは、2-7%でALK融合遺伝子が陽性とされていますが、ALK融合遺伝子陽性の肺がんは、非喫煙者で、若い傾向があるという特徴が分かっており、ALK融合遺伝子陽性の患者さんを見つけるのに役立っています。また、慢性骨髄性白血病や、肺がんの一部では既に融合遺伝子を標的とした分子標的薬の効果が確認されており、日常のがん診療の現場で治療が行われています。



2.今後の展望

胆道がんのうち肝内胆管がんは15-30%を占めます。FGFR2融合遺伝子は、肝内胆管がんの約14%に認められており、胆道がんの治療開発に役立つ可能性があると期待されています。今後、多施設共同研究により、FGFR2融合遺伝子が肝内胆管がん以外の胆道がん(肝外胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がん)でも見られるのか、FGFR2融合遺伝子が見られる胆道がん患者さんはどのような特徴を持っているのかが明らかになると、FGFR2融合遺伝子の有無を確認する検査を特にお勧めできる患者さんが想定できるようになります。

国立がん研究センターは、今回の共同研究と合わせて、FGFR2融合遺伝子を標的とした治療薬(FGFR阻害薬)の臨床試験(治験)を行うことにより、新しい治療法を胆道がん患者さんに届けられるよう準備、調整を行っています。また2014年4月現在、中央病院および東病院ではいくつかのFGFR阻害剤の第 I 相試験*が進行中で、条件が合えばこの第I相試験に参加することが可能な場合もあります。 国立がん研究センターは、研究開発型の独立行政法人として、大学や民間企業が取り組み難い課題に挑むべく、研究と臨床の相互連携により、難治希少がんの診断や治療の開発を重点課題として取り組んでいます。

胆道がんで国内初 分子標的薬開発に向けた臨床研究開始 図

*第 I 相試験とは
がん種を問わず患者さんに参加いただき、副作用のチェックや投与量を決定する事を目的とした治療薬開発の研究です。人体に薬を投与する最初のステップのため、研究的側面が強く、全身状態の安定している方しか参加できません。また、参加された患者さんの安全性を数人ずつ確認する必要があり、時期により登録を中断していることも多く、希望すれば参加できるわけではありません。今回計画した研究とこれらの第 I 相試験は提携関係を結んだものではないため、この研究に参加された方が優先的に第I相試験に入れるわけではありません。

参考:2013年11月21日プレスリリース:
胆道がん(肝内胆管がん)の治療標的となる新たながん遺伝子を発見
胆道がんの現状(PDF

プレスリリース:
胆道がんで国内初 分子標的薬開発に向けた臨床研究開始(PDF)



<この臨床試験に関するお問い合わせ>
独立行政法人国立がん研究センター中央病院
肝胆膵内科 森実 千種(もりざね ちぐさ)
    電話:03-3542-2511(代表)
  ※上記では患者さんおひとりおひとりの病状や治療などについてのお問い合わせは承っておりません ※臨床研究や第I相試験などに関しては医師からの問い合わせのみとさせていただいておりますので、参加のご希望などがありましたら現在の主治医にご相談ください

<その他のお問い合わせ>
独立行政法人国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
  TEL:03−3542−2511(代表)/FAX:03−3542−2545
  E-mail:ncc-admin @ ncc.go.jp
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