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国際共同プロジェクト「国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC)」
胃がん、胆道がんプロジェクト日本で始動
臨床開発につながる国際貢献に期待

2015年1月29日
独立行政法人国立がん研究センター

独立行政法人国立がん研究センター(理事長:堀田知光、東京都中央区、略称:国がん)は、国際共同ゲノムプロジェクト「国際がんゲノムコンソーシアム」(International Cancer Genome Consortium:ICGC 、www.icgc.org 外部サイトへのリンク)において、現在、担当している肝細胞がんに加えて、胃がん、胆道がんのプロジェクト(プロジェクト責任者:研究所 がんゲノミクス研究分野長 柴田龍弘)を新たに立ち上げます。本プロジェクトの開始により国際協調のもと、日本においてはアジアで多くみられる3つの難治がん種について包括的なゲノム解読を行い、有効な治療や予防のための臨床開発とさらなる国際貢献を目指して参ります。


1.国際がんゲノムコンソーシアムにおける日本の役割

「国際がんゲノムコンソーシアム」は、世界各国を通じて臨床的に重要ながんを選定し、国際協力で少なくとも各500例の包括的かつ高解像度のゲノム解析を行い、がんのゲノム異常の包括的カタログを作成、網羅的がんゲノム情報を研究者間で共有および無償で公開することでがんの研究および治療を推進することを目的に2008年に発足しました。現在、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、南北アメリカの17か国が参画し73のがん種についての大規模ゲノム研究プロジェクトが精力的に遂行されています。

わが国には、特に日本・アジアに特徴的ながんの解明に関して国際貢献が望まれており、国立がん研究センター、理化学研究所、東京大学が共同で、肝細胞がんを対象としたプロジェクトを行っています。そしてこれまでに、重要なゲノム異常の同定(Nature Genetics 2012 外部サイトへのリンク、2014)や、日本人特有の発がん要因の存在の推定に成功(2014年11月3日リリースNature Genetics 2014 外部サイトへのリンク)するなど大きな成果をあげています。

ICGC参加国並びに進行中のプロジェクト

国際がんゲノムコンソーシアムにおける国立がん研究センターのこれまでの研究成果と貢献


2.新たに始動する胃がん、胆道がんプロジェクトへの期待

新たに始動する胃がんは、日本において罹患数が最も高いがん種です(地域がん登録全国推計値2010年 がん情報サービスへのリンク)。ヘリコバクターピロリ菌感染に伴う慢性胃炎が重要な発がん要因として知られていますが、それだけでは説明できない症例(若い女性に見られるスキルス胃がん等)もあり、より包括的な解析が必要です。本プロジェクトでは、組織型・疫学的背景を踏まえた大規模なゲノム解析を行うことで、分子治療・診断開発を目指した日本人特有のゲノム異常の同定や、ヘリコバクターピロリ菌感染以外の発がん要因の解明を目指します。

一方、胆道がんはすい臓がんに続く難治ながんであり、日本を始めとする東アジアで特に頻度が高いがんです。近年では、印刷業従事者を中心に胆道がんが多発し大きな社会問題にもなっており、国立がん研究センター研究所(研究所長:中釜斉)においてもこれまで積極的に研究を進めてきました。とりわけ、がんゲノミクス研究分野(分野長:柴田龍弘)で同定した新規FGFR2融合遺伝子(2013年11月21日リリース)を標的とする臨床試験が計画されるなど、その成果は高く評価されています。今回更に徹底的な解析を行い、更なる治療標的の同定とその臨床開発を進めます。また、同じく胆道がんのプロジェクトを開始したシンガポールとも協力することで、国際共同研究による多様な人種・疫学背景との関連を含めた発がん要因の解明といった解析も期待されます。

胃がん、胆道がんのゲノムプロジェクトは、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター並びに東京大学先端科学技術研究センターと連携し進めて参ります。


3.ゲノム解読の現状と国際協調の必要性

がんのゲノム解読は、がん細胞に特異的なゲノムを標的とした抗がん剤(分子標的薬)の開発において欠かせない基礎となる研究で、より多くの症例を用いた解読による精度の高いゲノム異常の同定が求められます。一方で、多くのがんでは全体の10%以下の症例でしか見られない低頻度な異常がたくさん見られることが明らかになっており、それぞれのがんのゲノム異常全体を理解するためには数百例といった大規模な解析が必要であることも分かってきています。そのため、国際的な協調は不可欠であり、日本においてもアジアに多いがん種を中心とした国際貢献が求められています。


4.国立がん研究センター研究所長コメント

国立がん研究センター研究所長の中釜斉は、今回のプロジェクト開始にあたり次のように述べています。
「ゲノム解析技術の進歩により、がんのゲノム解読は近年急速に進んできました。国立がん研究センターは、2008年に開始された国際がんゲノムコンソーシアムの発足時からのメンバーとして、肝炎ウィルス感染による肝臓がんのゲノム解読を精力的に推進してきました。これまでの成果として、肝臓がんの治療標的となる候補分子の同定や、肝臓がん発症における日本人固有な発がん要因の解明に資する大きな研究成果を挙げることが出来ましたが、今後、日本人を含むアジア人に高発する胃がんや胆道がんのゲノム解読を進めることにより、これらの難治がんに対する新たな治療薬や予防法の開発を目指すことになります。がんゲノム解読において、アジアにおけるリーダーシップを引き続き示すとともに、がん克服に向けた国際的な取り組みにおいて大きな貢献を果たせるものと期待しています。」



プレスリリース:
国際がんゲノムコンソーシアム胃がん・胆道がんプロジェクト始動(PDF)



<報道関係からのお問い合わせ先>

独立行政法人国立がん研究センター
〒104−0045 東京都中央区築地5−1−1 TEL:03−3542−2511(代表)

研究所 がんゲノミクス研究分野 分野長
東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター ゲノムシークエンス解析分野 教授
柴田 龍弘

企画戦略局 広報企画室
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