胃・食道内視鏡検査 << 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター

胃・食道内視鏡検査

内視鏡センター リカバリー室
内視鏡センター リカバリー室
1.概要
2.長所・短所
3.偶発症(有害事象)

1.概要

食道・胃内視鏡検査とは、内視鏡(ビデオスコープ)を使って食道・胃・十二指腸といった上部消化管を内側から直接的に観察する検査で、一般的に「胃カメラ」と呼ばれる検査です。検査を行うためには、まず内視鏡を口(もしくは鼻)から入れ、のど(咽頭)、食道、胃へと内視鏡を挿入していきます。使用する内視鏡は柔らかく、およそ小指ぐらいの太さ(9.8mm)です。細い内視鏡の場合は、5.9oです。内視鏡の先端から光を出すことにより、食道・胃・十二指腸の内部を観察します。がんなどの病気があった場合には、さらに病気の広がり(大きさ)や深さ(深達度)などを診断します。また必要に応じて組織生検(粘膜の一部を小さく採取)を行い、組織が良性か悪性かを顕微鏡で調べる検査(病理診断)を行うこともあります。この場合は別途費用10,800円を申し受けます。組織を採取する際には通常痛みなどはありません。

1)方法

検査を十分に行うためには、胃を空っぽの状態にする必要があります。そのため、検査前日の夕食は、午後8 時までに済ませ、以後は水分の摂取だけにしてください。しかし、個人差や手術による影響などにより食べ物が残っていることがあり、検査が十分にできないこともあります。

狭心症や不整脈、その他心血管疾患などのために、血液をさらさらにする薬(ワーファリン、パナルジン、アスピリンなど)を服用中の方は、検査前にご自身の判断でこれを休薬すると非常に危険ですので、必ず服用してお越しください。その場合でも必要であれば検査担当医の判断で組織検査(生検)を行うことがあります。また鼻出血のリスクがあるため、経鼻内視鏡も行えません。

通常は胃の動きを抑える薬(鎮痙剤)と軽い鎮痛剤(ぼんやりする程度)を使用しますが、強めの鎮静剤(眠くなる薬)を希望される方や検査施行に際し検査担当医が必要と判断した場合には、相談の上使用することがあります。

2)検査の実際

当センターでの食道・胃内視鏡検査は口から挿入する方法(経口内視鏡)と、鼻から挿入する方法(経鼻内視鏡)とがあり選択可能です。当センターのアンケート調査では経鼻内視鏡を導入後半年間で受けられた158 名のうち143 名(90%)が「楽であった」、12 名(8%)が「(経口と)変わらない」、3 名(2%)が「苦しかった」とお答えになっています。一方で、経鼻内視鏡に用いるカメラは通常の経口内視鏡に用いるカメラに比べて、画質がやや劣るという欠点もあります。また鼻腔(びくう)の広さには個人差があり、実際には経鼻内視鏡でも無痛になるわけではなく、カメラが通らず経口内視鏡に変更する場合もあります。なお、経鼻内視鏡で使用する細いカメラ(5.9mm)を経口内視鏡に用いることもできます。当センターでは導入している機械の台数に限りがあり、現在は経鼻内視鏡を希望された方全員には行えない場合もありますのでご了承ください。下記の説明もよくお読みになって、ご不明な点は検査当日の看護師による問診の際にご相談ください。

(1)経口内視鏡の手順

検査台に仰向けで横になり、のどの麻酔(スプレー)および静脈注射による鎮痙剤、鎮痛剤(場合により鎮静剤)を投与後、左横向きになりプラスチック製のマウスピースを軽くくわえていただいた後に内視鏡が挿入されます。呼吸ができなくなることはありません。食道・胃・十二指腸の内部をくまなく観察するには10 分程度かかります。検査の間は、内視鏡から空気を送り、胃を膨らませて観察します。検査中に口の中に溜まってくる唾液は飲み込むとむせますので、飲み込まずに、顔の下に敷いている紙の上に垂れ流すようにしてください。

検査後、のどの麻酔がとれるのに30 分程度かかります。飲食はのどの麻酔がとれ、飲み込む反射(嚥下反射)が正常に戻るまでお待ちください。検査後しばらくは、のどの奥が多少ひりひりと痛んだり、胃内に空気が残るために多少おなかが張ったりすることもありますが、これらの不快感は時間が経てばなくなりますのでご安心ください

(2)経鼻内視鏡の手順

検査室に入る前に別室にて両側の鼻に粘膜収縮剤を浸透させて鼻腔を拡げる前処置を行います。その後検査室にて検査台に仰向けで横になり、通りの良い鼻腔を選択しゼリー状の局所麻酔薬を流します。さらに細くて柔らかいチューブを通し通過を確認後、静脈注射による鎮痙剤、鎮痛剤を投与し左横向きになり経鼻内視鏡を挿入します。カメラがのどを通過し食道に入ってからは前述の経口内視鏡と同様に検査を進めます。

2.長所・短所

食道・胃内視鏡検査を行うことにより、病気の存在や広がり・深さを診断することが可能で、病気を見つけた際には組織生検による病気の診断が可能です。短所としては少なからず体に負担がかかること、下記のような偶発症が発生する恐れがあります。高齢の方は特に起こりやすくなりますので、大腸内視鏡検査と同日で受けないこと、他の検査方法に変えてみる、なども選択肢としてご考慮ください。また、血圧が高い方も偶発症のリスクが上昇しますので、血圧が高い方は予め主治医にご相談ください。必要に応じて降圧剤等の処方を受けていただき、安全な血圧値になってから内視鏡検診をお受けになるようにお願いいたします。詳細は当センターにご相談ください。

3.偶発症(有害事象)

食道・胃内視鏡検査に伴う危険性として、以下のようなものが挙げられます。このような危険をさけるよう細心の注意を払い、万一生じた場合にも入院治療・緊急外科手術を含め最善の対処をしますが、事前に「絶対にない」とは言い切れないものとしてご理解ください。このような重篤な偶発症は、2010年に発表された全国調査報告(2003〜2007年5年間の期間)では発生率0.005%(約2万人に1人)と報告されており、それに関連した死亡例が0.00019%(約50万人に1人)と報告されています。

1)前処置として使用する薬剤(咽頭麻酔薬・鎮痙剤・鎮静剤)によるアレルギー反応(ショック)、低血圧、低血糖、不整脈、呼吸抑制、呼吸停止、心停止など

非常にまれであり、起こったとしても一時的なものがほとんどです。しかしながら、ごくまれに緊急対応により一命を取り留めても重篤な障害が残る場合があります。これまでに使用された薬剤で具合が悪くなった経験がある場合には検査前問診時に必ず申し出てください。鎮痙剤により持病の心疾患、緑内障、前立腺肥大の悪化が起きることがあり、そのようなご病気をお持ちの方も必ず検査前の問診時に申し出てください。また、鎮痙剤や鎮静剤による影響のため、目のちらつき、眠気およびふらつきが残ることがあるため、検査当日は来院時を含めて車・バイクの運転は絶対にご遠慮ください。

2)咽頭・消化管の損傷・穿孔

のどの奥、胃と食道のつなぎ目や十二指腸などやや狭いところや内視鏡を挿入するのがやや難しい場所などでは内視鏡で傷をつけてしまうことがあります。また嘔吐反射や胃が張ることなどにより胃の中の圧が高くなることで消化管の粘膜が裂けてしまうことがあります。このような損傷で消化管が穿孔(穴があくこと)することがあり、穿孔した場合には緊急手術になることがあります。当センターでは開設以来、緊急手術を要する偶発症は一度も生じておりません。

3)出血

組織生検のため消化管粘膜を採取した後は、少量の出血が起こります。また経鼻内視鏡の場合はまれに鼻出血を生じることがあります。ほとんどの出血は自然に止まりますが、まれに多量の出血が生じることがあり、その場合には緊急に止血処置が必要になります。血を吐いたり、冷や汗が出たり、検査翌日に真っ黒な便が出たとき、また鼻出血が続く場合には、すぐにご連絡ください。なお、前述の血液をサラサラにするお薬(抗血栓薬)を継続して服用している場合には、経鼻内視鏡はできませんのでご了承ください。

4)誤嚥性肺炎

内視鏡検査の際、のどに局所麻酔を行うため、飲み込む(嚥下)反射が鈍くなります。このため、誤嚥といって飲み込んだものが誤って気管に入り、ひどい場合には肺炎に至ることがあります。検査後看護師などから、飲食ができる時間を説明致しますが、その時間になっていきなりご飯を召し上がるのではなく、まず水を少量飲んでいただき、むせないことを確認してください。麻痺している状態で固形のものを召し上がると誤嚥により窒息する恐れがあります。

5)顎関節の脱臼・歯牙損傷

検査の際にマウスピースを噛んでいただきますが、これにより顎の関節が外れたり、歯が折れるなど歯の損傷を起こしたりすることがあります。

6)その他

上記の緊急処置を要する偶発症の他にも検査後の腹部膨満感、吐き気、空嘔吐、めまいなどの比較的軽微な偶発症が起こり得ます。これら多くは検査後の休憩により自然に改善するものですが、持続する場合には必要に応じて点滴などの対応を取ります。休憩中は看護師によりしっかりと状態を観察いたします。なお、当センターではほとんどの方が食道・胃内視鏡に引き続き大腸内視鏡を受けておられますが、2005年から2009年までの期間にこのような軽微な偶発症は10,519名中307名(2.9%)に生じ、入院を要した方は2 名(全体の0.016%)でした。