|
(独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター 発信)
|
| |
|
司会 北海道がんセンター 乳腺外科 田村 元
|
| 領域リンパ節を含む乳がん術後の補助放射療治療(post mastectomy
radiotherapy)については適応基準、照射野の範囲、術前化学療法がなされた症例での適応基準など議論がある。また各種ガイドラインに適応症例への補助放射線治療が勧められているが、全身療法が進歩してきた現状において局所治療である放射線治療が果たす役割について明らかにしていく必要がある。このようなテーマについて考察したい。 |
| |
| 1.乳がんの術後補助放射線治療−特にPMRTについて− |
| (ビデオを見る) |
|
京都大学医学部附属病院 放射線科 光森通英
|
|
乳房切除後放射線治療(PMRT)の理論的根拠とは以下のようなものである。すなわち、「乳切後の全身補助療法で遠隔臓器の微小転移巣を根絶することが期待できるが、相対的に残存腫瘍量が多い原発巣周辺領域(胸壁および周辺リンパ節領域)では術後補助療法として薬物療法だけでは不十分であり、放射線治療による上乗せ効果がある。」
しかしながらその有用性を示した臨床試験には、PMRTなしの群で局所領域再発率が高すぎるという批判があり、同様の理由でわが国においてPMRT実施の頻度が極めて低いことが厚生労働省Patterns
of Care studyでも証明されている。(それにしても薬物療法の臨床試験で生存率が5%向上したという報告が出た途端に一斉に新しい治療が標準治療だと叫ぶ「乳腺専門医」が生存率に10%近い差があるPMRTを無視しているのは奇妙な現象である)
種々の臨床試験において、乳がん術後の放射線治療が照射野内の再発率を1/3に減少させることはほぼ一貫した観察事実であるが、もともとの再発リスクが小さい対象群では同じ局所再発抑制効果も有意な生存率向上に結びつかない。PMRTの臨床導入に当たってはやみくもに欧米の臨床試験のeligibilityにこだわることなく、このようなPMRTの理論的根拠と放射線治療の効果を理解した上で自施設の治療成績に照らした対象の決定が必要であろう。我々の施設では乳切後放射線治療無しで局所領域再発率が30%程度であった群、すなわち転移リンパ節個数10個以上
and/or T4 and/or 切除断端陽性をPMRTの対象としている。
|
| |
| 2. 当科の症例から検討した、領域リンパ節を含む術後照射の適応と有害事象 |
| (非公開) |
|
北海道がんセンター 乳腺外科 田村 元
|
領域リンパ節を含む術後照射は、ASCOやNCCNのガイドラインで4個以上のリンパ節転移例に勧められているが、日本人での検討は少ない。またリンパ節転移3ヶ以下の場合やサイズが大きい症例での適応については一定の見解が得られていない。
副作用としては、腕の浮腫、可動域の低下、放射性肺炎などが予想されるが、これについての報告も少なく当科の症例より適応、有害事象について検討する。
|
| |
| 3.乳がん同側鎖骨上窩リンパ節転移例に対する集学的治療おける放射線治療の重要性 |
| (ビデオを見る) |
|
北海道がんセンター 放射線科 明神美弥子
|
| 遠隔転移を伴わない同側鎖骨上リンパ節転移例の治療方法を考えることは、対象となる症例の治療法を明確にするばかりでなく、局所進行がんや局所再発がんの集学的治療モデルとして重要なヒントを与える可能性が考えられる。このような症例に対して、照射の重要性は指摘されながらも、局所療法(放射線治療と外科治療)に関する具体的内容の検討は十分行われていない。同側鎖骨上リンパ節転移を有する局所進行新鮮症例、および、局所制御後の同側鎖骨上リンパ節単独再発例を対象とした分析から放射線治療の意義について検討する。 |