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国立がん研究センター 東病院

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診療について

診察内容

当科はスタッフ医師6名を中心に、年間で約12,000件の内視鏡検査を行っています。内訳は7,000件の上部内視鏡検査、2,400件の通常下部内視鏡検査、さらに内視鏡治療を50件の咽頭・喉頭がん、200件の表在食道がん、200件の早期胃がん、1,000件の大腸腺腫・早期大腸がんに対して行っています。いずれの検査、治療も年々増加しており、国内ではトップレベルの件数を行っています。内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)の普及によって、従来外科手術を受けて臓器を摘出されていた大型の早期がんに対してもESDの適応が拡大されつつあるため、臓器を温存したままで完全にがんを切除できる患者さんは増えています。また、内視鏡治療には食道拡張術、胃瘻造設術、がん細胞に親和性の高い光感受性薬剤を使ったレーザー治療(PDT)も多数行われています。

さらに治療のみではなく、診断の面においても診断精度を上げるために、スタッフ一同日々努力をしております。内視鏡デジタルファイリングシステムも完備し、院内のコンピューターシステムに接続されたことにより、内視鏡画像が院内のどこでも見ることができます。最近では、内視鏡のシステム自体に大きな発展があり、短波長や蛍光といった目に見えない光を内視鏡の先端から発することによって、今まで見えなかったがんの別の側面をとらえることができるようになりました。がんの内視鏡診断において大きな一歩を踏み出したといえます。
当院で、2006年にNarrow band imaging (NBI) システム、2012年にBlue Laser Imaging (BLI) システムが企業と共同で開発され、現在では、世界に広がっています。もちろん当院でも毎日の診療に使用しており、主に早期がんの発見や治療前に正確ながんの範囲を決めるときに活用されています。

診療における国立がん研究センター東病院の特徴は、個々の患者さんの治療方針を決める過程にあります。外来でも入院でも担当医師個人が患者さんの治療方針を決めるのではなく、診療科内で充分に話し合うだけではなく、必要があれば他科に所属する多数の医師と集まって話し合い、総合的な判断によって個々の患者さんに合った治療を決めて行く方針をとっています(下図参照)。この方法によって、個人の偏った診断や部署ごとの方針の違いがなくなり、現在最もよいと考える治療が患者さんに提供できるのです。この点は、当院が最も誇りとするところです。また、診療においては医師だけではなく、看護師、薬剤師を含むチーム医療を行っており、個々の患者さんにとって最適の治療を提供することを心掛けています。

  1. 外来初診
  2. 各種検査
  3. 検討会による治療方針の決定
  4. 治療(内視鏡治療、外科治療、化学療法、放射線治療)
  5. 治療結果および効果に関する解析
  6. 患者さんへのフィードバック

内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

わが国において、早期消化管がんに対する内視鏡切除は根治治療として広く普及してきています。この治療法は、体への負担が少なく、臓器を温存したまま、局所のみを切除するため、その機能は保たれる、優れた治療法です。ところが、従来の内視鏡切除法(EMR)では、技術的な理由によって大きながんを一括で切除することが難しく、がんを分割して切除するために、がん細胞を取り残してしまうことがあり、再発率が約20%といわれています。一方、技術の進歩と新たに開発された内視鏡機器により、ESDが行われるようになりました。この方法は大きな早期がんでも分割せずに一括で切除することができるようになり、現在では、約半数の早期がんは、外科手術をせずに内視鏡治療で完全に治ることができます。

がん細胞に親和性の高い光感受性薬剤を使ったレーザー治療(photodynamic therapy; PDT)

PDTは、がんに選択的に集まる特殊な薬を注射した後に、がんの部分にレーザー光線を当てることによっておこる光化学反応を利用したレーザー治療です。消化器分野では胃がん、食道がんでの保険適応が認められている治療法で、内視鏡切除(EMRやESD)が難しいような早期がんに対して行われています。2015年に放射線治療後再発食道がんに対して承認されたレザフィリンは新しい光感受性物質で、従来のものと比べると遮光期間が短く、日光過敏症の頻度が少ないため、体への負担が少なくなっています。当科では、この治療に開発当初から関わっており、治療件数は国内随一です。

食道拡張術

食道がんの治療は、内視鏡治療、外科手術、化学放射線療法と多岐にわたっています。さまざまな治療によってがんが完全に治っても、一部の患者さんには食道に狭窄が残ってしまいます。すると、食事がスムーズに通らなくなったり、つかえ感が出現します。このような患者さんに対して、内視鏡下にバルーンと呼ばれている風船のような器具を使って、拡張を行います。定期的に繰り返すことにより、比較的スムーズに食事がとれるようになります。

胃瘻造設術

頭頸部や食道がん患者さんで、食事を摂るのが難しい患者さんや化学放射線療法を予定している患者さんに内視鏡を使って胃瘻を造設します。化学放射線療法により、口の中、のど、食道に炎症が起きて食事がとれなくなるため、腹壁と胃に管を通しておくことで流動食がとれるので栄養面での不安が少なくなります。管を抜いてしまうと自然に瘻孔は閉じるので、治療が終わり不必要となった場合は治療前の状態に戻ります。

大腸腺腫・早期大腸がんに対する内視鏡治療

当院では全例に拡大内視鏡を使用し、前がん病変である大腸腺腫および転移のリスクの少ない早期大腸がんを的確に診断し、切除を行っています。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が必要な大きな病変以外は、診断と同時に切除するため、多くの患者さんは入院の必要がありません。

診療実績

咽頭、食道、胃、大腸に発生する消化管がんに対する内視鏡診断・治療を主体に診療と研究を行っており、最新の検査件数は表を参照してください(表1、表2)。

表1 内視鏡Number of patients検査・治療件数
(2012年から2016年)
 2012年2013年2014年2015年2016年
上部消化管内視鏡検査 6,647 6,846 6,825 7,309 7,475
超音波内視鏡 54 43 47 43 56
内視鏡的粘膜切除 (食道) 168 220 196 196 223
内視鏡的粘膜切除 (胃) 215 203 218 185 250
内視鏡的食道拡張術 711 824 654 657 565
経皮内視鏡的胃瘻造設術 171 196 236 191 141
光線力学療法(食道) 39 32 35 23 49
大腸内視鏡検査 2,302 2,368 2,417 2,308 2,473
ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除(大腸) 912 832 903 906 1,129
内視鏡的粘膜切除(頭頸部) 46 52 49 105 118
表2 内視鏡治療症例数
(2012年から2016年)
  2012年2013年2014年2014年2015年2016年
食道 EMR 89 65 60 60 59 69
食道 ESD 79 155 136 136 137 154
EMR 3 0 1 1 9 0
ESD 212 203 217 217 172 250
大腸 EMR(注1) 834 725 913 913 906 1,024
大腸 ESD 78 98 92 92 107 105
頭頸部 EMR 7 1 0 0 3 7
頭頸部 ESD(注2) 33 51 49 49 102 111

EMR:内視鏡的粘膜切除術
ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術
注1:内視鏡的ポリープ切除を含む
注2:内視鏡補助下の経口的咽喉頭手術を含む