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国立がん研究センター 東病院

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診療について

診療内容と実績

主に担当する診療は肝臓がん(原発性、転移性)、胆道がん(胆嚢、胆管)、膵臓がん、十二指腸がんなどに対する手術です。その他、上腹部にできた特殊な腫瘍(GISTや後腹膜腫瘍)などの外科的切除も担当します。年別症例数の推移は表1のとおりで年間通じて非常に多くの手術を行っております。

治療方針については初めての外来受診が当科であっても必ずしも手術ということにはなりません。内視鏡検査や画像検査(CT、MRI、超音波検査など)を行ったうえで、放射線診断科による進行期を含めた正確な診断のもと、内科・外科の合同カンファレンスにて一人一人の患者さんの検査結果を検討しながら治療方針を決定しています。例えば、膵臓がんの診断で手術加療をすすめられて当科を受診されても当院での詳細な検査によって広範囲な腫瘍進展が確認されれば、根治切除不能と判断し肝胆膵内科医のもとで化学療法の方針となることがあります。

入院されてからの周術期(術前から術後)管理はクリニカルパスを用いて行っています。現在私達が担当するほとんどの術式にこのクリニカルパスを導入し、肝切除術では術後1週間から10日程度で、膵臓の手術では2週間程度で退院されています。

私達は5人の診療スタッフによって月曜から金曜日まで外来診療を行っています。食事や水分が通りにくい方、黄疸がでている方など、病状の進行によっては初めて受診される場合でも迅速に対応させていただきます。

表1 年別症例数の推移

図1 年別症例数の推移

診療疾患

肝細胞がん

B型肝炎やC型肝炎を原因として発生することが多いのがこの肝細胞がんです。肝細胞がんは時として径が10センチメートルを越えるような大きな腫瘍として発見されるときがあります。このような場合も全身状態、肝機能から判断して手術に耐えられると判断されれば、積極的に手術加療を行っています。大きな主腫瘍に加えて、他にも肝臓内に多数の小さい肝細胞がんが認められるような場合も、大きな腫瘍に対しては手術以外の治療効果があまり期待できないため、減量切除という手術でまず主腫瘍を切除し、その後肝動脈塞栓術などを組み合わせるような治療も行っています。

転移性肝がん

大腸癌肝転移を中心に胃がん、膵神経内分泌腫瘍の転移を含め年間50例から70例の転移性肝癌切除を行っています。肝転移は大腸癌で最も高頻度に認められる遠隔転移形式ですが、肝切除が可能な場合、根治が期待可能であり術後5年以上ご健在の方が半数近くいらっしゃいます。根治切除不能な大腸癌肝転移であっても化学療法が効いて小さくなった場合、切除が可能になる場合があります。当院ではこの様な手術を今までに100例以上行っています。また、再発減少目的に術後補助療法の臨床試験を行っており、治療成績の向上を目指しています。

胆道がん、十二指腸がん

胆汁の流れる所、胆管に生じるがんを総称して胆道がんといいます。胆道がんは肝内胆管がん(胆管細胞がん)、肝外胆管がん、胆嚢がん、ファーター乳頭部がんに分けられます。このファーター乳頭部は十二指腸にあり、十二指腸がんに対しても診療を行っています。胆管がんのうち肝門部領域胆管がん(肝門部胆管がん)は、非常に難易度の高い手術が必要ですが、当科ではこうした手術も年間10例以上行っています。さらに、胆管がんが肝臓内から膵臓内まで広範囲に及んでいるような場合も、肝臓の手術に加えて膵頭十二指腸切除術を行うような拡大手術にも対応しています。
一方で、詳細な画像診断のもと腫瘍の存在範囲が比較的限局していると思われるような場合は、患者さんへの負担ができるだけ小さくなるような胆管と胆嚢だけを切除して再建する肝外胆管切除術や、十二指腸がんに対しても悪性度の低いがんであれば膵臓を温存する膵温存十二指腸切除術というような縮小手術も積極的に取り組んでいます。胆道がんの術後については現在再発予防目的に術後補助療法に関する臨床試験も肝胆膵内科と協力して行い、治療成績の向上に努めています。

膵がん

膵がんは、早期発見が難しく根治が難しいがんの一つです。膵臓以外の他臓器に転移がなく、まわりの主要な血管に浸潤がない場合、外科切除を行うことで、「根治」の可能性があります。膵頭部に腫瘍がある場合は「膵頭十二指腸切除」、膵体部に腫瘍がある場合は「膵体尾部切除」を行います。いずれも難易度の高い手術ですが、2016年の実績としては「膵頭十二指腸切除」71例、「膵体尾部切除」28例と多くの手術を行っています(表2)。

膵がんに対しては手術だけでなく抗がん剤や放射線療法を組み合わせた「集学的治療」が有効とされており、当院では肝胆膵外科・肝胆膵内科・放射線科で連携をとりながら患者さんの診断・治療に当たっています。全科合同の会議で患者さん一人ひとりの状態をじっくり検討し、診断や治療方針の決定を行っています。患者さんの状態によっては必ずしも手術が優先ではなく、まずは抗がん剤治療や放射線治療で腫瘍を小さくしてから手術に向かう治療も、有効な場合があります。手術の後も、抗がん剤を行うことで「根治」の可能性が高まるとされています。

膵がんと診断された時点で膵臓以外の他臓器に転移を認める、あるいは膵臓周囲の重要な血管にがんの浸潤が認めるような多くの場合、外科的切除の適応ではありません。しかし近年は抗がん剤治療や放射線治療によって腫瘍が小さくなり切除できた方もいらっしゃいます。当科では、このような診断された時点では外科的切除適応が難しい状況の方に対しても「切除可能境界型(ボーダーライン)膵がん」に対する「術前化学療法」あるいは「術前化学放射線療法」の有効性を検証する多施設共同臨床試験を行うなど治療成績向上を目指して頑張っています。

膵がん以外の膵腫瘍についても、膵管内乳頭腫瘍(IPMN)に対する手術は160例以上、神経内分泌腫瘍(NET)に対する手術は50例以上行っており、また、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、充実性偽乳頭腫瘍(SPT)などの比較的まれな腫瘍の手術経験も数多くあります。膵腫瘍に対しても、開腹手術だけでなく腹腔鏡手術も行っていますので、お気軽にご相談ください。日本神経内分泌腫瘍研究会によって行われているNET患者登録事業にも協力しています。

GIST、肉腫や後腹膜腫瘍

当科では他の診療科と協力して消化管GISTの手術(主に肝転移)も積極的に行っています。消化管のみに存在するGISTはそれぞれの当該診療科において適応を考慮し外科的切除を行うことになりますが、当科では主に肝転移などを有する進行GISTの患者さんに対しまして腫瘍内科医と連携を密にとり、耐性をもった病変のみ切除するサルベージ(救済)手術、減量手術も行っています。
また肉腫や後腹膜腫瘍についても関係診療科と協力しながら外科的切除を行っています。

手術治療

肝臓、胆道(胆管や胆嚢)、膵臓、さらには十二指腸やファーター乳頭部といった部位に発生する、いわゆる肝胆膵のがんは多くが難治性です。また解剖学的にも隣接する臓器が多く、重要血管が近傍に位置することから腹部手術の中でも難易度の高い手術が多いことも特徴です。しかしながら当院ではこうした難易度の高い肝胆膵のがんに対する手術におきましても、豊富な手術経験を持つスタッフ(日本肝胆膵外科学会認定、肝胆膵外科高度技能指導医)による質の高い手術を行っています。

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術はお腹に小さな穴を5-6か所程度あけて行う手術で、傷が小さく体への負担が少ないと評価され拡がりつつあります。

当科では保険診療として認可されました肝胆膵外科領域の腹腔鏡下肝切除術や、腹腔鏡下膵切除も行っています。肝胆膵領域の手術は一般的には大きなお腹の傷となることが多いですが、腹腔鏡下手術は従来の開腹手術よりも傷が小さくて済みますので、術後早期の痛みは少なく、肝切除の場合、術後5-7日程度で退院されています。
当科では保険診療として認可されました腹腔鏡下肝切除術や、腹腔鏡下膵切除術を行っています。難易度の高い腹腔鏡下での亜区域切除、1区域切除、2区域切除以上といった肝切除術や腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術といった術式を行うにあたっても、当科は症例数等の施設基準を満たし関東信越厚生局より認可を受けています。習熟したスタッフ(日本内視鏡外科学会技術認定医)によって、これまで腹腔鏡下肝切除は通算300例以上、腹腔鏡下膵切除は膵体尾部切除(尾側膵切除)を中心に通算40例以上行っています。しかしながらこのような腹腔鏡下手術は全ての患者さんに行える術ではなく、安全面を考慮しつつ、疾患や腫瘍の大きさなどによって適応を判断しています。ご希望があればご相談ください。

年別主要手術件数としては肝胆道系のがんに対する肝切除術、腹部手術の中でも難易度の非常に高い胆膵がん系に行われます膵頭十二指腸切除術、そして前述しました腹腔鏡下肝切除術、膵体尾部切除術は表2のとおりです。

表2 年別主要手術件数

表2 年別主要手術件数