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国立がん研究センター 東病院

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診療について

診療内容

私たち大腸外科(大腸骨盤外科)は、主に大腸がんの外科治療を担っています。当科は泌尿器・後腹膜腫瘍科(関連リンクをご覧ください)ともに一緒のグループで診療にあたり、大腸および骨盤内の悪性腫瘍病変全般に対する外科的治療に対応できるようになっています。私たちの専門分野は結腸・直腸がんであり、特に排便機能、排尿機能、および性機能といったさまざまな機能に関連する直腸がんを中心とした骨盤内悪性腫瘍を積極的に扱っています。また肛門や膀胱を失う可能性のある手術において根治性および機能温存を重要視した新たな手術を取り入れています。そして術後機能障害に対してはできる限り、最先端の外科的研究を駆使した機能温存、再建あるいは臓器温存を心がけています。

診療実績

大腸がんの年間手術件数は約500例以上で増加傾向にあり、特に直腸がんの比率が高いのが当科の特徴です。その主な理由は、直腸がんに対する新たな肛門温存手術を日本でいち早く取り入れ、その機能温存治療を求めて来院する患者さんが年々増えてきたことによります。この手術は従来の方法では、永久人工肛門を余儀なくされてきた肛門に近い直腸がんに対して、括約筋の一部を切除して肛門を温存しながら、がんを取り除く手術(図1に示すように内肛門括約筋切除を伴う直腸切除:ISR)を行います。当科ではこのISR手術をこれまでに日本で最も多く行ってきた実績があり、今なお症例は増加傾向にあります。このISR手術法による肛門温存率は約95%におよびます。しかし本治療方法はいまだ標準治療とは言えない段階ですが、その中間における治療成績や残存排便機能については容認される状況を示しています。今後のさらなる長期の評価を要する段階であります。

2015年手術件数

結腸がん N=170

腹腔鏡下:146
開腹:24

  • S状結腸切除
    総数 62
    腹腔鏡下手術 60
  • 右(半)結腸切除
    総数 54
    腹腔鏡下手術 52
  • 回盲部切除
    総数 21
    腹腔鏡下手術 17
  • 結腸部分切除
    総数 14
    腹腔鏡下手術 10
  • ハルトマン
    総数 1
    腹腔鏡下手術 0
  • 低位前方切除
    総数 1
    腹腔鏡下手術 1
  • 左(半)結腸切除
    総数 5
    腹腔鏡下手術 4
  • 人工肛門造設
    総数 7
    腹腔鏡下手術 0
  • その他
    総数 5
    腹腔鏡下手術 2

直腸がん N=226

腹腔鏡下:188
ロボット:7
開腹:31

  • 低位前方切除
    総数 99
    腹腔鏡下手術 87
    ロボット手術 6
  • 経肛門的括約筋間直腸切除
    総数 56
    腹腔鏡下手術 53
    ロボット手術 0
  • 高位前方切除
    総数 24
    腹腔鏡下手術 23
    ロボット手術 1
  • 腹会陰式直腸切断
    総数 22
    腹腔鏡下手術 20
    ロボット手術 0
  • ハルトマン
    総数 4
    腹腔鏡下手術 3
    ロボット手術 0
  • 局所切除
    総数 2
    腹腔鏡下手術 0
    ロボット手術 0
  • 骨盤内臓器全摘
    総数 1
    腹腔鏡下手術 0
    ロボット手術 0
  • 人工肛門造設
    総数 12
    腹腔鏡下手術 0
    ロボット手術 0
  • その他
    総数 7
    腹腔鏡下手術 2
    ロボット手術 0

図1:ISR

当科では2015年までに約500人以上の患者さんにISRを主とした究極的な肛門温存手術を行い、その臨床成績を学会および論文等で広く報告してきました。今後ともこのような根治性を低下させない様々な機能温存手術におけるオピニオンリーダーとしての役割を自覚し、患者さんの高い満足の得られるようなより安全な手術療法の安全な普及に向けて積極的に取り組んでいこうと考えています。

また当科の二つ目の特徴は、腹腔鏡手術の症例を多く手がけてきたことです。腹腔鏡手術は進行がんに対して安全性が十分確立された治療ではないため、日本では従来の傷の大きい開腹手術との比較を行う臨床試験が現在行われています。一方で海外からの報告の結果では、腹腔鏡手術は傷が小さく術後の痛みも少ないばかりでなく、開腹手術と同等の治療成績が示されてきました。日本での臨床試験の結果はまもなく報告されますが、欧米と同様の結果が期待されています。この手術方法の将来性は大変に有望であり、この手術を希望される患者さんには積極的に行ってまいりました。最近ではより高度な腹腔鏡手術の技術改良(より傷の数が少ない、傷が小さい)とその習熟によって、対象疾患は直腸がんを含む大腸がん全体に及ぶようになり、当科における良好な治療成績をさまざまな学会や論文で発表してきました。

当科の三つ目の特徴は、治療メニューが豊富である点であります。手術治療だけでなく、放射線治療、化学療法などを加えた集学的治療を各診療科の専門医との連携をとりながら治療成績の向上のために積極的に行っています。

治療成績

直腸癌手術例の臨床病期別生存曲線

直腸癌手術例の臨床病期別生存曲線画像1

直腸癌手術例の病理病期別生存曲線

直腸癌手術例の病理病期別生存曲線画像2

結腸癌手術後の病期別生存率

結腸癌手術例の臨床病期別生存曲線画像3

結腸癌手術例の病理病期別生存曲線

結腸癌手術例の病理病期別生存曲線画像4

我々の治療方針に関して相談したい方は、セカンドオピニオン外来もございますので気軽にご相談ください。
常に最新の医療を提供できるよう、全員で努力しています。