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平成29年度外部評価委員会 評価結果

概要

2017年7月31日に外部評価委員会が開催され、下記の評価事項について病院長の外、副院長及び事務部長から総括及び今後の方針等の口頭発表を行い、外部評価委員から事項毎に評価が行われた。

評価検討事項

病院概要報告発表者
国立がん研究センター東病院の概要 -2017年- 病院長 大津 敦
評価事項発表者
東病院全体の診療実績について 副院長 林 隆一
経営状況について 事務部長 宮下 克己
研究実績および臨床研究中核病院としての病院機能 副院長 土井 俊彦
医療安全について 副院長 小西 大
連携大学院を含めた教育・人材育成に関する取り組み 副院長 秋元 哲夫

外部評価委員会名簿(五十音順)

氏名職名
大河内 信弘 委員 筑波大学附属病院 外科長
竹内 勤 委員 慶應義塾大学病院 院長 (欠席)
東條 克能 委員 東京慈恵会医科大学附属柏病院 院長
徳久 剛史 委員 千葉大学 学長

評価結果

評価事項A委員B委員C委員平均前年度
評価
(1) 東病院全体の診療実績について 5 5 5 5.0 4.7
(2) 経営状況について 4 2 4 3.3 4.0
(3) 研究実績および臨床研究中核病院としての病院機能 5 5 4 4.7 4.3
(4) 医療安全について 4 4 4 4.0 4.3
(5) 連携大学院を含めた教育・人材育成に関する取り組み 5 5 4 4.7 4.0
平均 4.6 4.2 4.2 4.3 4.3

【凡例】 5:優れている 4:良い 3:普通 2:やや劣っている 1:劣っている

各評価事項に対する意見

東病院全体の診療実績について

  • 病床利用率92.8%、平均在院日数12.5日は診療の内容を考慮しても非常に高く評価される。
  • 年度始めに28年度の目標値を作成(設定)して欲しい。
  • 過去5年の診療実績の推移を拝見すると、初診患者数、1日平均外来患者数、1日平均入院患者数が順調に増加し、一方、平均在院日数が短縮している点は病院運営の観点から極めて良好な状況だと思う。
  • この点に関しては、化学療法が年々外来に移行していることが、大きく寄与していると思う。
  • 今後は、当方の病院が日本でも先駆的に取り入れているPFM Systemを導入すればさらなる改善が期待されると思うので検討いただきたい。
    注:Patient Flow Management System
  • 麻酔科の不足は日本の医療界全体の問題である。いかに一定数の麻酔科医を確保できるかという点は今後も継続する大きな課題である。
  • 本年3月には、特定機能病院の承認を受けることができて素晴らしい。
  • 外来診療では患者数も増加してきており、外来化学療法患者の数も増加してきている。
  • また、入院診療に関しても平均入院患者数、在院日数、病床稼働率など素晴らしい実績をあげている。これらの実績内容からして、外来診療、入院診療ともに申し分ない。
  • 小児陽子線治療に関しては、保険収載されたことから着実に治療件数を増やしている。
  • さらにNEXT棟のオープンに伴い、通院治療センターにおける化学療法の件数の増加は目覚ましいものがある。
  • しかし、手術室が8室から12室に、内視鏡手術室も6室から16室に増えたにもかかわらず、前年度指摘したように、常勤の麻酔医の人数がネックとなり、手術件数はあまり増加していない。
  • この点は多くの病院で問題となっており、何らかの対策が必要である。

経営状況について

  • 前年度末に当該年度の収入及び支出の見込みを設定し、それに対してどうであったかの説明をして欲しい。
  • 陽子線建替の積立金は充分か。
  • 経営収益が年々増加していることは大変喜ばしいことだが、一方、これと比例して特殊材料費、薬品費などの支出も増加するので、今後、貴院にとってコストマネジメント対策が極めて重要になる。
  • この点に関して、昨年度まで予算立てを施行していなかったことは、大きなマイナス面だと思う。
  • 今年度から医療コンサルティング会社が経営面に加わったことは大きな進歩だと思う。
  • 病院経営の基盤は、いかに一定以上のキャッシュフローを維持するかという点も重要であり、今後の年毎のきめの細かい予算立てが必要になる。今後の対応に期待する。
  • 経営に関しては、これまでの様々な経営改善努力により、外来収益の大幅な増加など、医療収益の改善傾向がみられる。
  • また、治験収入などの外部予算の獲得も増加したことにより、総収支は10億円以上の黒字となったことは素晴らしい。
  • しかし、NEXT棟などの大型投資の支払いが始まることによる財政悪化が懸念される。
  • すでにボストン・コンサルティングなどとの協働により、経営改善の取組みをスタートさせおり、来年度に向け経営状況の改善に向けた取組の効果が大いに期待されるところである。
  • 特に、次年度からは、これまでになかった予算案を作成することになったようなので、必要以上の過剰投資を防ぐためにも、予算案を作り計画的に実施していくようにすることが望ましい。

研究実績および臨床研究中核病院としての病院機能

  • 医師主導治験数が日本一多く、AMEDの研究費獲得も8億であり、充分国の研究機関として役割を果たしている。
  • この領域に関しては貴院の実績は群を抜いており、ただ敬意を表するのみである。特に臨床治験の実績には目を見張るものがある。
  • 臨床研究の管理・支援体制に関しては、他の病院にとって参考になる点が限りなく存在している。
  • 臨床研究中核病院としての体制整備とともに、特定機能病院の承認を受けたことにより臨床研究の実施体制の整備が急速に進んでいるようであり、治験課題数や国際共同治験数などが順調に伸びている。また、研究論文数も増加傾向にあり、素晴らしい。
  • 公的研究費の獲得状況では、AMEDともに共同研究による収入も増えている。
  • しかし、文部科学省の科研費などの取得件数と金額は、研究者数からすると決して多いとは言えない。この点は、更に充実させてほしい。

医療安全について

  • バーコード認証未実施数が減少しているにもかかわらず、患者誤認の報告がされているので、この数を減らすよう努力されたい。
  • 医療安全対策は、感染対策と並んで、健全な病院運営における二つの大きな柱である。この点、貴院においては、医療安全管理に関する研修にも積極的に取り組んでおり、評価できる。
  • 転倒転落発生率・患者誤認防止・個人情報保護に対しても、積極的に取り組んでいる点は評価される。
  • ただし、医療安全管理に関する報告、いわゆるヒヤリハットの報告者職種の割合で医師からの報告件数が全体の10%程度という点に問題がある。
  • これは貴院のみならず当院でも経年的に大きな課題として取り上げられており、是非、積極的な対策構築に取り組んでいただきたい。
  • 貴院の最大の特徴の一つである、未承認薬あるいは適応外の使用についての医薬品安全管理は極めて大きな問題だと思う。全国の病院の規範となる体制を構築して欲しい。
  • 特定機能病院として医療安全管理体制の整備は順調に進んでいる。院内感染対策も機能しているようである。さらに職員研修なども着実に実行されている。

連携大学院を含めた教育・人材育成に関する取り組み

  • 連携大学院数が46名おり、修了生を出していることは、この制度が有機的に機能していると評価される。
  • 今後は外科医が学位を取得できるような体制の整備を期待する。
  • 全国の医療機関の中でも圧倒的に恵まれた研究環境に立脚した、教育・人材育成の取り組み内容については意見を挟む余地はない。
  • 当方も連携大学院に加えて頂き、大変感謝していると同時に、この制度をより一層発展させていく所存であるので、よろしくお願いする。
  • 薬剤師レジデント制度も貴院ならではの独創的な制度で高く評価される。
  • これからの医療には良質なチーム医療がますます重要になる。この視点から他職種合同のFD研修を施行され職種間の壁を取り払う試みを施行していることは、大変重要なことと評価する。
  • レジデント制度で、医師ばかりでなく、薬剤師のレジデント制度を行っているのは評価される。しかし、その参加者数が増えていない点は、何か工夫が必要なのではないか。
  • その意味でも、新たに連携大学院として慈恵医科大学を加えたことにより大学院生数が増加することが期待される。
  • さらに、来年からは、明治薬科大学とも薬学専攻で開始する予定であることは、素晴らしい。研究病院としてだけではなく、教育病院としても頑張ってもらいたい。

国立がん研究センター東病院全体に対する意見

  • 病院の目標を継続と新規に分け、それぞれの達成度について述べて欲しい。
  • 数値を示す際、前年度実績、見込値、実績で示して欲しい。4~5年前の数値は必要な所だけでよい。
  • 手術室をフル稼働させるための看護師確保はできているか。
  • 医療安全の研修会(必須)の一部に、安全管理で報告のあった事例を提示する、又は、医薬品管理、医療機器管理、感染対策等の各部門から、5分程度で必要事項を説明しては如何か。
  • 前年度と比較し大幅な黒字化は大いに評価できる。数字から見て、今後、運営費交付金が減らされても充分経営が成り立つと思われるが、今後の積立金として欲しい。
  • 上記の各項目に記載させて頂いた内容に尽きる。
  • 我が国の医療界を代表するNational Centerでありながら、積極的に問題点・課題を抽出して、その解決策を図っている姿勢は高く評価できる。
  • ただし、経営戦略に関する取り組みに関しては大学の得る収入の9割が医療収入に依存する私立医科大学に比較すると、かなり遅れていると言わざるを得ない。
  • 多くの国立大学も独立法人化してから病院経営に真剣に取り組んでいるが、是非、より積極的な取り組みをして欲しい。
  • 臨床研究中核病院としての体制整備とともに、特定機能病院の承認を受けたことにより臨床研究の実施体制の整備が急速に進んでいるようであり、治験課題数や国際共同治験数などが順調に伸びている点が素晴らしい。
  • また、NEXT棟のオープンに伴い、外来診療収入などで医業収益を増やしてきており、経営改善の努力が著しいことなど、昨年から比較すると素晴らしい改善結果だと思う。
  • しかし、来年度からNEXT棟などの償還が始まるようであり、キャッシュ・フローが大きくマイナス影響を受けるようである。そこで、次年度からは会計予算案を作成し経営改善に役立てるということなので、大いに期待している。
  • 新築の償還やキャッシュ・フローなどが、がん研究センター全体として考えられているため、なかなか分かりにくい面がある。東病院単独のキャッシュ・フローなどが分かると良い。
  • 外科の手術件数などは、麻酔医数がネックになっているようであり、日本全国に共通の課題である。現時点で出来ることは、麻酔医にとって、より魅力的な職場環境の整備しかないように思う。
  • また、病院長の概要説明で提案されている「2017年度のおもな目標」に、東病院におけるこれからの必要な項目が網羅されており、分かりやすい。出来れば各論の説明に、それぞれの項目(特に5、6、7の項目に対する)の対策案が示されると更に良かった。

更新日:2017年10月1日