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国立がん研究センター 中央病院

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診療について

診療について

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当院で移植をご希望の患者さんへ

造血幹細胞移植は、化学療法では治りにくい白血病やリンパ腫の患者さんに対しても治癒(完治)をもたらす可能性がある強力な治療法です。超大量の化学療法や全身放射線照射などの前治療(移植前処置)に加えて、同種移植後はドナーの免疫力で腫瘍細胞を攻撃します。しかし、一方では、合併症も多く、中には命に関わる場合(移植関連死亡といいます)もありますので、化学療法のみで治癒(完治)の可能性が高い場合には勧められません。また移植も万能の治療法ではなく、適切なタイミングを逃すと完治が困難となる場合があります。

白血病・リンパ腫に対する移植適応の考え方

どのような病気に対してどのタイミングでどのような移植を行った方がよいかの判断は難しい場合も多くあります。化学療法などと比較して「移植を行う有用性がある・妥当性がある」、「移植をお勧めする」ということを、「移植適応がある」と呼びます。病気の種類や進行具合、再発のリスク、どのようなドナーがいるかによって移植適応は大きく異なり、血液・移植医の間でも意見が分かれることもよくあります。当院における移植適応の基本的な考え方についてポケット版のハンドブックを作成し、移植患者さんを紹介いただいた担当医の先生方へ配布しています(【移植適応の考え方:2015年8月改訂】は以下関連ファイルをご参照ください)。

ただし腫瘍増殖のスピード、年齢、臓器機能や全身状態、感染症の合併などさまざまな要因によって、移植適応は変わってきますので、初診あるいはセカンドオピニオン外来を受診していただき、個別に相談されることをお勧めします。毎週月曜日に移植科のスタッフ全員と当院の血液腫瘍科医師も参加する移植カンファレンスを行い、ご紹介いただいた患者さんごとに、移植適応や移植以外の新しい治療法も含めて検討しています。

当院で移植をご希望の患者さんやセカンドオピニオンをご希望の患者さんは、まず初診予約受付(03-3547-5130)まで直接、お電話ください(FAXによる診療申し込みは不要です)。造血幹細胞移植科では、移植科スタッフ医師が直接お電話で対応させていただき、受診日時を決定します。

受診日までに紹介元の担当医による診療情報提供書をご準備ください。また診察前の書類記入に時間がかかる場合がありますので、予約時間の30分から60分前にご来院ください。患者さん本人が来院できない場合は、ご本人からの承諾書が必要です。なお、セカンドオピニオンを目的とした「がん相談対話外来」の費用は60分間で26,250円となります。移植適応に関してはさまざまな考え方があるため、他院での移植を考えておられる患者さんについても、セカンドオピニオンを受け付けています。お気軽にお問い合わせください。

当院での移植の流れ

1.入院まで

初診外来では、まず担当スタッフがこれまでの治療内容の確認、移植のメリットと危険性についての説明をさせていただきます。ドナーに関しては、患者さんと家族内候補の方とのHLAの一致度などに応じて、血縁者間あるいは非血縁者間移植を選択します。骨髄バンク・臍帯血バンクへの登録やコーディネートおよび血縁ドナー候補の調整については、専属の山崎移植コーディネーター(HCTC、内線7459)がお手伝いします。 個々の患者さんの病状、ドナーの有無などに応じて、HLA一致血縁者間移植、骨髄バンクドナーからの移植、あるいはHLA半合致血縁者間移植や臍帯血移植の中から、一人一人の患者さんに合った移植方法を決めます。これらの決定に際しては、 移植治療そのものが該当の患者さんにとって最善の治療となりえるのかも含め、移植専門スタッフに加えて血液腫瘍科医師、看護師、薬剤師も含めたカンファレンスを毎週開き、さまざまな角度から十分に意見を出しあいます。

移植日がある程度決まった段階(骨髄バンクからの移植:1ヵ月から2ヶ月前、その他の移植:2週から4週前)で、移植のプレオリエンテーションをご家族と一緒に受けていただきます。ここでは専門の看護師が、下記のパンフレット(写真左:自家移植用、写真中:同種移植用)を用いながら移植の流れや生活上の注意点をマンツーマンで1時間半かけてご説明していきます。また、移植治療によって生じる症状などにより身体だけでなく心にも強いストレスがかかることがあります。過度なストレスによって精神的な症状が起こった場合には、移植の治療成績にも影響することが知られておりますので、よりストレスなく治療を受けていただくことを目的として、「心のケアチーム」が、移植を受ける前から患者さんやご家族にお会いして、サポートの準備を始めさせていただいております。疾患や移植のタイプにより異なりますが、通常、移植の2週から3週間前に入院していただきます。移植の担当医は、紹介元の担当医と密に連絡を取りながら、数日前から前日までにご自宅または紹介元の担当医へ入院日をご連絡します。

移植患者さん用パンフレット
病院ごとに指導内容が異なる場合がありますので、ご自身の担当医・スタッフへご確認ください!

2.入院中

入院後は、まず全身の状態を把握するために検査を行います。その後に、どのような前処置を用いるかなど移植予定表を作成し、担当医から患者さんとご家族に詳しくご説明し、同意書にサインしていただきます。

入院中の治療は、移植科の全スタッフでそれぞれの患者さんの治療方針について検討の上、各担当医・副担当医が中心になって診療に当たらせていただきます。月曜日と金曜日に行っているチームカンファレンスなどでは、看護師や他のメンバーも参加して、患者さんの状態や治療法について意見を出しあっています。前処置中の吐き気や、 移植直後の口内炎の痛み、感染症による発熱など、治療の副作用による苦痛を可能な限り取り除けるよう重点的に取り組んでいます。

白血球などの造血が回復してから退院できるようになる目安は、食事量が増えてきて、内服薬への変更が可能となり、移植片対宿主病(GVHD)やサイトメガロウイルス感染などの合併症がコントロールできていることです。経過が順調であれば、同種移植の場合は移植後2ヶ月程度、自家移植の場合は移植後1ヶ月程度で退院が可能となります。外泊の前に、看護師が退院後の生活・食事の注意点を上記のパンフレット(写真右:同種移植を受けた方へ:退院後の生活)を用いながらご説明するオリエンテーションをご家族と一緒に受けていただきます。

3.退院後

退院後も、当初は原則として週に1回、外来に通っていただきますが、次第に通院の間隔はあいてきます(当院への通院が困難な遠隔地の患者さんは、地元の担当医と連携を取りながらフォローしていきます)。退院後もさまざまな合併症がおこる可能性がありますので、何か困った症状が出てきた場合には、12B移植病棟へお電話ください。症状に応じて、担当医(または他のスタッフ)が折り返し対応させていただきます。同種移植後は免疫力が低下しているため、仕事などへの復帰は、通常は免疫抑制剤が減ってきた時期や移植後1年を目安としてご説明しています。

また2012年4月より、移植後長期フォローアップ(Long-term follow-up: LTFU)外来を開設しました。研修を受けた専門の看護師が、移植患者さんとご家族のGVHDや移植後の暮らしに関する悩みへの対処法を一緒に考えていきます。

Long-term follow-up: LTFU)外来

当院の移植治療の特徴

12B移植病棟は26ベッドあり、NASA規格クラス100の個室が6つ、クラス5000の個室が6つあります(クラスの数字が少ないほど空気の清浄度が高い)。病棟全体がクラス10000以下の清浄度に保たれているため、患者さんは治療中でも廊下を歩くことができ、比較的制約の少ない生活を送ることができます。

1ヵ月間の移植件数は7件から10件前後で、緊急の移植が必要な場合もすぐに対応することが可能です。ただし移植までの抗がん剤治療や、移植後再発に対する治療は、原則、紹介元の担当医にお願いしています。小児患者さんに対する自家末梢血幹細胞移植は12A病棟で行っており、同種移植に関しては小児腫瘍科と造血幹細胞移植科の医師と12B病棟スタッフが協力しながら行っています。

病棟カンファレンス風景

さまざまな合併症のリスクを有する造血幹細胞移植を安全に行うには、チーム医療体制が非常に大切です。当院では看護師・薬剤師・管理栄養士・移植コーディネーター(Hematopoietic Clinical Transplant Coordinator: HCTC)・技師・臨床試験コーディネーター(Clinical Research Coordinator: CRC)などの医師以外のコメディカル部門が充実しており、国立がん研究センターの理念・使命である「職員の全ての活動はがん患者のために:All Activities for Cancer Patients」を実践しています。12B移植病棟の看護師は小林看護師長以下24名(日勤帯は9名から10名、夜勤帯は3名)です。移植後合併症として問題となる皮膚や口腔のケア、腸管GVHD合併時の食事、感染対策などに対して、豊富な経験を基にして質の高い看護を提供しています。退院後の生活に関する相談は、移植後長期フォローアップ(LTFU)外来で対応しており、患者さん・ご家族に対して症状に応じた指導や個別的なサポートを行っています。専属の薬剤師チームは、免疫抑制剤をはじめとする薬剤の投与量調節や副作用対策のアドバイスを行います。金医師と、管理栄養士・薬剤師・看護師による栄養サポートチーム は、移植患者さんの日々の栄養状態をフォローするとともに、血糖調節や栄養管理に関する臨床試験を行っています。山崎HCTCは、骨髄バンク・臍帯血バンクと担当医・紹介医・患者さんとの間の橋渡しを行いながら、血縁者間移植においてもドナーと患者さんのサポートを行います。またリハビリ室の理学療法士や相談支援センターのソーシャルワーカーも病棟へ来て対応してくれます。毎週金曜日の病棟カンファレンスでは、移植科の医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・コーディネーターHCTCなど多くのスタッフが集まり、入院している全患者さんの治療方針について話し合っています。また、自家移植患者さんや同種移植ドナーさんからの末梢血幹細胞採取や、その他の移植用細胞の処理・保存・検査は、輸血管理室臨床検査技師、臨床工学技士、移植科メンバーからなる移植細胞調製部門が担当しており、質の高い移植治療をサポートしています。

移植患者さんが不安感やストレスで困った場合には、清水科長をはじめとする精神腫瘍科の「心のケアチーム」が移植前面談からご相談にのり、精神的なサポートを細やかに行っています。それ以外にも、放射線治療科、消化管内視鏡科、放射線診断科(IVR)、歯科、皮膚腫瘍科、眼腫瘍科、婦人腫瘍科、頭頸部腫瘍科、脳脊髄腫瘍科、骨軟部腫瘍科、総合内科、緩和医療科、臨床検査科、輸血療法科、病理科、麻酔科・集中治療科など多くの他科・他部門と協力しながら移植治療を行っています。

当院では、新しい移植の方法を開発していくために臨床試験を積極的に行っていますが、プロトコール以外の通常の移植も行っています。GVHDや感染症などの合併症対策には特に力を入れており、初回同種移植後の合併症による死亡リスクは2008年以降、1割以下まで低下しております(図左)。それを反映して、治療後の生存率はこの15年で改善を認めております(同右)。ただし患者さんの年齢・全身状態、原疾患やそのコントロール状態、移植の種類によって治療成績は大きく異なります。

左図:年次別非再発死亡割合、右図:疾患別全生存割合

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