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老化とゲノム動態の解析



発がんのリスクは加齢に伴って上昇する。また、がん細胞ではゲノム不安定性が蓄積しているが、老化細胞でもゲノム不安定性が頻発する。これらのことは、細胞老化、ゲノム不安定性誘導、発がん、の相関を示唆している。しかしながら、「老化による発がんリスクの上昇」に関する直接の要因は不明である。そこで我々は、(1)細胞の老化過程で生じるゲノム動態の制御機構の変化、(2)老化細胞におけるゲノム安定化機構、に焦点を絞って研究を展開している。

がん細胞におけるゲノム不安定性で最も多いのは、染色体数の異常(Aneuploidy、Tetraploidy)である。最近我々は、がん遺伝子の亢進時と同様に、老化細胞に対する過剰な増殖刺激によっても、DNA複製ストレスとこれに伴うDNA損傷が生じること、この損傷がM期に持越されて細胞質分裂に異常が生じてTetraploidyが現れること、その後に細胞が不死化することを見出した(Ichijima et al., 2010)。これは老化に伴ってゲノム維持機構が不安定になることを示唆している。現在、(1)老化に伴ってゲノム維持機構が不安定になる要因、(2)細胞老化とマイクロサテライト不安定性の関係、(3)変異導入とゲノム不安定性の関係、また、がん治療への貢献を目指して(4)DNA 損傷誘導型の抗がん剤による、がん細胞の死と老化形質の誘導とゲノム動態の因果関係を解析している。