DNAメチル化異常と発がんの関係
正常な細胞には、細胞が増える際に働くアクセル遺伝子(がん遺伝子)と細胞が増えるのを止めるブレーキ遺伝子(がん抑制遺伝子)がある。がん遺伝子の遺伝情報が変化する(突然変異など)と、がん遺伝子が働きっぱなしになる場合がある。また、がん抑制遺伝子に突然変異が入ったり、遺伝子自体がなくなってしまう(染色体欠失)と、がん抑制遺伝子が働けなくなる(図)。どちらの場合も細胞の異常な増殖を引き起こす原因となる。
1990年代に入って、突然変異や染色体欠失に加えて、DNAメチル化異常によりがん抑制遺伝子が不活化されることが知られるようになった(Ushijima, 2005)。現在まで、様々ながんで、多くのがん抑制遺伝子がDNAメチル化異常により使えない状態になっていることが報告されている。胃がんなどの一部のがんでは、がん抑制遺伝子がDNAメチル化異常によって不活化される場合の方が、突然変異や染色体欠失によって不活化される場合よりも多い(Ushijima and Sasako, 2004)。

図. がん抑制遺伝子の3つの不活化機構
がん抑制遺伝子を不活化するメカニズムとして、突然変異、染色体欠失及びDNAメチル化異常が知られている。がん抑制遺伝子の遺伝情報自体に変化がなくても、DNAメチル化異常が起きると、がん抑制遺伝子が使えなくなる。