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内分泌腫瘍における遺伝子発現の変化



(1)副甲状腺腫瘍におけるMEN1遺伝子変異と細胞周期調節遺伝子の発現
MEN1遺伝子は多内分泌腺腫瘍症1型(MEN1型)に発生する内分泌腫瘍のみならず、非遺伝性の内分泌腫瘍においてもしばしば変異が見られ、その遺伝子産物メニンの機能が消失している。正常メニンの非存在下では、caspase 8のようなアポトーシスに重要なタンパクやサイクリン依存性キナーゼ阻害因子(cyclin-dependent kinase inhibitors, CDKIs)の遺伝子発現が低下するという報告がある。我々はMEN1遺伝子の変異により正常メニンが消失した副甲状腺腫瘍とMEN1遺伝子の変異がなく正常メニンが存在する副甲状腺腫瘍におけるcaspase 8およびp27Kip1やp15Ink4bなどのCDKIsの発現を比較した。その結果、メニンのない腫瘍ではp27Kip1の発現低下を認めたが、caspase 8およびp15Ink4bは必ずしも低下していなかった。

(2)プロラクチン産生下垂体腫瘍におけるドパミン作動薬反応性とドパミン受容体発現
プロラクチン産生下垂体腫瘍の第1選択はドパミン作動薬による治療であり、血中プロラクチン値の正常化とともに腫瘍の縮小が期待できる。しかしプロラクチン産生下垂体腫瘍の約15%ではドパミン作動薬の効果が弱く、初期から手術による治療が必要となる。また、治療開始時にはドパミン作動薬の効果が見られるが、長期投与後に効果がなくなり腫瘍が増大することがある。このようなプロラクチン産生下垂体腫瘍のドパミン作動薬に対する反応性の差異は、腫瘍におけるドパミンD2受容体isoformの発現量と相関があるとする報告があるが未だ定説にはなっていない。我々は、ドパミン作動薬に対する反応性が異なるプロラクチン産生下垂体腫瘍におけるドパミンD2受容体のshort formとlong formのmRNAの発現量を検討した。その結果、当初はドパミン作動薬に反応して縮小したが、後に抵抗性を示すようになった腫瘍は、ドパミンD2受容体の発現量が非常に低いことが判明した。また、当初よりドパミン抵抗性を示す腫瘍は、ドパミン感受性がある腫瘍と比較するとドパミンD2受容体の発現量が有意に低かった。しかし、受容体のshort formとlong formの発現量の比には一定の傾向はみられなかった。このような結果から、プロラクチン産生下垂体腫瘍のドパミン反応性の差異はドパミンD2受容体の総発現量の違いで説明できることが示唆された。