腺様嚢胞がん << 国立がん研究センター

腺様嚢胞がん(せんようのうほうがん)

1.腺様嚢胞がんについて
2.症状について
3.診断について
4.腫瘍の特徴と治療について

1.腺様嚢胞がんについて

腺様嚢胞がん(せんようのうほうがん、adenoid cystic carcinoma、ACC)は、分泌腺から発生する悪性腫瘍でまれな腫瘍の1つです。頭頸部領域に発生することが多く(頭頸部領域において1〜2%程度の頻度)、耳下腺や顎下腺などの大唾液腺や口腔内、鼻腔に発生します。40−60歳代に多く、男女比は同等か、やや女性に多いとされています。

2.症状について

症状は腺様嚢胞がん特有の症状はなく、発生した部位に応じた症状が出現します。

大唾液腺(耳下腺、顎下腺) 腫瘤(しこり)の自覚
鼻腔 鼻閉、鼻出血
口腔・咽頭 違和感、嚥下・構音(こうおん)障害(話しにくさ、食べにくさ)

3.診断について

腫瘍から組織を採取し病理学的に診断を行います。触診や視診、CTなどの画像検査により病変の範囲を把握することが重要です。

4.腫瘍の特徴と治療について

・腫瘍の増大速度は比較的遅い
・周囲組織への浸潤傾向が強い
・遠隔転移の頻度が比較的高い

化学療法と放射線療法に関しては有効とした報告もありますが、未だ一定の見解は得られておらず、治療の中心は手術です。腫瘍の増大速度は一般的にはゆっくりですが、周囲組織への浸潤傾向が強いので十分な安全域をつけた切除が必要です。しかし、顔面や頸部といった限られた範囲なので、術後の後遺症を考慮して術式を決定する必要があります。そのため、病変の状態によっては追加で放射線治療を行う場合もあります。

また近年では重粒子線治療が有効との報告もありますが、長期的な合併症など不確実な部分も多く一般的な治療とはなっていません。

治療後は長期の経過ののちに再発をきたすケースもありますので、長期間の通院による定期チェックが必要です。


執筆協力者
吉本 世一 希少がんセンター 頭頸部腫瘍担当 吉本 世一(よしもと せいいち)
国立がん研究センター中央病院
頭頸部腫瘍科
松本 文彦 国立がん研究センター中央病院 松本 文彦(まつもと ふみひこ)
頭頸部腫瘍科
小林 謙也 国立がん研究センター中央病院 小林 謙也(こばやし けんや)
頭頸部腫瘍科