聴器がん << 国立がん研究センター

聴器がん(ちょうきがん)

1.聴器がんについて
2.症状について
3.診断について
4.治療について

1.聴器がんについて

聴器とは聴覚に関する臓器のことで外耳、中耳、内耳に分類されます。聴器がんとは聴器に発生するがんのことですが、その頻度は非常にまれで100万人に1人程度の割合で発生し、頭頸部領域のがんの1-2%程度を占めています。発生する場所としては外耳が最も多く、次に中耳であり、内耳のがんはほとんど見られません。がんの場所が深部に位置すればするほど治療前に診断がつきにくいという特徴があると言えます。良性疾患として治療を受けた後に、実際はがんだったとわかるケースもしばしば見られ、診断が難しい疾患の1つとしてあげられます。がんの種類としては扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)がん情報サービスへのリンクが約70%と最も多く、腺様嚢胞がん(せんようのうほうがん)基底細胞がんがん情報サービスへのリンクと続きます。

聴器がんについて 図

2.症状について

耳だれ、耳出血、耳痛、聴力低下や耳閉感、腫瘤(こぶ)形成、顔面神経麻痺などが主な症状です。聴器がんは非常にまれであり、良性疾患でも同様の症状が出現することから、診断を誤りやすい疾患と言えます。進行する症状がある場合には、耳鼻咽喉科で精査を受けることが重要です。

3.診断について

それまでの経過をよく確認したうえで頭頸部領域の診察を行い、がんが疑わしい場合には画像検査を行います。通常はCT検査を行いますが、必要に応じてMRIやPET-CTを追加して病変の広がりや深さなどの進展範囲を調べます。最終的な診断には、病変の一部を生検することが必須です。一回の生検では診断がつかないこともあるため、症状が長く続いたり疑わしい場合には繰り返し生検することが大切です(病理診断を参照)。

4.治療について

聴器がんは非常にまれな疾患であるため、各施設の報告が少数例であること、さらに病変の広がりも患者さんによって多彩であることから、その他のがんと比べると明確な治療戦略が定まっていないのが現状です。現在では外科的切除を中心とした治療が一般的となっており、化学療法や放射線療法は補助的な意味合いで選択されます。手術不可能なケースにおいては、最初から化学療法・放射線療法を行うこともあります。

手術は外耳道の骨を切除するだけで済むケースもあれば、顔を動かす神経や顎の関節を一緒に切除しなければいけないこともあります。さらに大きな切除を必要とする場合は、開頭手術(側頭骨(そくとうこつ)亜全摘)になることもあります。手術においては腫瘍を残さないことが治療成績や治癒率に大きく関わるため、大きな腫瘍であればあるほど切除範囲が大きくなり術後の機能障害も大きくなってしまいます。腫瘍の進展範囲を正しく診断して適切な切除を行うことが重要となります。


執筆協力者
吉本 世一 希少がんセンター 頭頸部腫瘍担当 吉本 世一(よしもと せいいち)
国立がん研究センター中央病院
頭頸部腫瘍科
松本 文彦 国立がん研究センター中央病院 松本 文彦(まつもと ふみひこ)
頭頸部腫瘍科
小村 豪 国立がん研究センター中央病院 小村 豪(おむら ごう)
頭頸部腫瘍科
小林 謙也 国立がん研究センター中央病院 小林 謙也(こばやし けんや)
頭頸部腫瘍科