嗅神経芽細胞腫 << 国立がん研究センター

嗅神経芽細胞腫(きゅうしんけいがさいぼうしゅ)


1.嗅神経芽細胞腫について
2.症状について
3.診断について
4.治療について

1.嗅神経芽細胞腫について

嗅神経芽細胞種嗅神経芽細胞腫は、鼻の中の上方に存在する嗅上皮から発生するめずらしい腫瘍です。鼻副鼻腔腫瘍の2〜3%を占め、100万人当たり0.4人に発症します。若年から高齢者まで幅広い年代で発症しますが、20歳代、60歳代に発症のピークがあります。発症に性別差、人種差は特にありません。

2.症状について

比較的ゆっくり発育する腫瘍であり、初期では無症状ですが、鼻づまり、鼻出血などで発症することが多いです。腫瘍の増大に伴い、嗅覚障害、頭痛、目の動きの障害などが生じることもあります。

3.診断について

腫瘍から組織を採取し、病理学的に診断を行います。ファイバースコープおよび、CTなどの画像検査により病気の範囲を把握することが大切です。

4.治療について

治療は、手術による完全切除に加え、術後放射線治療が基本となります。手術は腫瘍が鼻の中の最上方(頭蓋底)に存在するので、脳外科的な開頭手術を要する頚頭蓋経顔面腫瘍切除術(craniofacial resection)が選択される場合があります。近年では早期病変に対しては、鼻内内視鏡を併用した侵襲が少ない手術を行うこともあります。浸潤性が高い腫瘍ですが、手術治療の後に放射線治療を行うことで、再発の危険性を低下させます。

切除不能例、遠隔転移例に対する治療の中心は薬物療法です。現時点では定まった治療法はありませんが、これまでの研究より、シスプラチンを中心とする薬物療法(シプラチン+エトポシド療法 や シスプラチン+イリノテカン療法など)またはシクロフォスファミドやビンクリスチンを中心とする薬物療法(VDC、VAC、VC)*などが用いられています。局所治療として、薬物療法の後に放射線治療または手術を施行することもあります。

治療後は、定期的な経過観察が必要です。再発時期は最初の数年が最も多いですが、10年以上経過した後に、再発する可能性あり長期間経過を追っていく必要があります。

注,
V; vincristine (ビンクリスチン)、D: doxorubicin (ドキソルビシン)、C: cyclophosphamide (シクロフォスファミド)、A: actinomycin-D(アクチノマイシンD)



執筆協力者
吉本 世一 希少がんセンター 頭頸部腫瘍担当 吉本 世一(よしもと せいいち)
国立がん研究センター中央病院
頭頸部腫瘍科
松本 文彦 国立がん研究センター中央病院 松本 文彦(まつもと ふみひこ)
頭頸部腫瘍科
小林 謙也 国立がん研究センター中央病院 小林 謙也(こばやし けんや)
頭頸部腫瘍科