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希少がんセンター

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肉腫(サルコーマ)

種類別の肉腫

肉腫が発生する部位や小児などの種類別に詳しく解説しています。

肉腫(サルコーマ)とは

肉腫(サルコーマ)は、全身の骨や軟部組織(脂肪、筋肉、神経など)から発生する悪性腫瘍の総称です。日本語では肉腫、英語ではSarcoma(サルコーマ)と呼ばれます。肉腫の腫瘍としての特徴は、その希少性(まれなこと)と多様性(多種多様なこと)にあります。胃がんや肺がんなどの上皮性悪性腫瘍(より狭い意味で「がん」と呼ばれます)に比べて肉腫の発生頻度は極めて低く、悪性腫瘍全体に占める肉腫の割合は約1%に過ぎません(表1、2)。このようにまれな腫瘍であるにも関わらず、肉腫は若年者から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんの全身のさまざまな部位・組織から生じるため、その症状や必要とされる治療、治療効果もさまざまです(図1)。このような特徴から、専門施設でない場合、しばしばその診断や治療に難渋し適切な治療を行うことが困難なことも少なくありません。

このような肉腫に対して良好な治療成績を得るためには、内科、外科、小児科、放射線科、病理科など肉腫の診断と治療に精通した専門家が、診療科の枠を越えて緊密に連携し、各々の患者さんの病態に最も適した集学的治療を行うことが極めて重要です。そのため、世界的に主要ながんセンターには、肉腫(サルコーマ)センターが設置され、初期治療から進行期まで専門家チームが一貫した治療を行うことにより、優れた治療成績が得られるようになっています。

表1 日本全国の骨腫瘍登録数

表1
全国骨腫瘍登録(2006年から2010年)より
注:骨の肉腫

表2 日本全国の軟部肉腫登録数

表2
全国軟部腫瘍登録(2006年から2010年)より

図1 さまざまな肉腫(サルコーマ)の肉眼写真

図1

国立がん研究センターにおける肉腫(サルコーマ)グループ

国立がん研究センターは、これまでもわが国で最も多くの肉腫(サルコーマ)患者さんを治療する施設として、各診療科が積極的に診療に努めてきました(図2、表3)。その治療成績は世界的にもトップレベルですが、さらに成績を向上させ、すべての肉腫患者さんに、最良かつ最新の医療を提供することを目的として、希少がんセンターの中に肉腫(サルコーマ)グループが組織されました。

肉腫(サルコーマ)グループでは、国立がん研究センターの2つの病院(中央病院、東病院)の肉腫専門家が、さまざまながんの専門スタッフと連携して、肉腫の診断から治療まで一貫した、世界の最先端に立つ医療を提供します。PETやMRIなど最新の画像診断技術と遺伝子診断を含む詳細な病理学的検討に基づく正確な診断を行い、治療方針を決めます。十分な根治性を確保しながら、より機能障害を少なくすることを目指した外科手術、現在最も有効とされている標準的治療から新規治験薬まである薬のラインアップの中から、各々の患者さんに最適な薬剤を選んで行う化学療法、陽子線をはじめとする高精度な機器を活用した放射線治療など、高度かつ先駆的な医療を駆使して、患者さんひとりひとりに合った治療を行います。

また、希少がんである肉腫に対して、基礎研究からトランスレーショナル研究、国際共同治験まで、最先端の研究、治療開発を病院と研究所が一体となって推進します。その成果はいち早く患者さんに還元するとともに、肉腫研究の国際的拠点として、国内外に広く情報を発信します。そして、これらの診療や研究の実施を通して、肉腫の医療・研究を担う良質な人材を育成します。

図2 骨肉腫の治療成績(生存率)

図2

表3 骨肉腫の治療成績(患肢温存率)

表3

肉腫(サルコーマ)カンファレンス

肉腫(サルコーマ)グループでは、肉腫の診断と治療に精通した各領域の専門家が、診療科の枠を越えて緊密に連携し、それぞれの患者さんの病態に最も適した集学的治療を行います。そのための検討の場として、肉腫(サルコーマ)グループの医師がすべて参加する肉腫(サルコーマ)カンファレンスが定期的(月1回)に開催され、ひとりひとりの患者さんの治療法について多角的な検討が行われます。

カンファレンス風景

肉腫(サルコーマ)グループにおける臨床試験・治験

国立がん研究センターの肉腫(サルコーマ)グループは、希少がんである肉腫に対して、わが国で最も多くの臨床試験・新規薬剤の治験を実施しています。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)、骨軟部肉腫治療研究会(JMOG)、日本ユーイング肉腫研究グループ(JESS)、日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)などの中心メンバーとして、肉腫に対する多施設共同臨床研究に参加するとともに、国立がん研究センターの早期・探索臨床研究センター(EPOC)、企業などと協力した国内・国際共同治験、医師主導治験を積極的に推進し、肉腫に対する新たな治療法・医薬品・医療機器を開発しています。

これまでに国立がん研究センターの肉腫(サルコーマ)グループが中心となって開発に携わった抗がん剤としてはパゾパニブ(®ヴォトリエント;GlaxoSmithKline)があります。また、現在開発中の薬剤として、エリブリン(®ハラヴェン;Eisai)、トラベクテジン(大鵬薬品工業)などがあります。

川井 章
  • 希少がんセンター 肉腫(サルコーマ)グループ 川井 章(かわい あきら)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科