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希少がん研究分野

希少がん研究分野では連携大学院生を受け入れています

大学院(修士、博士)の教育の目的

大学院では、生涯にわたる研究活動の基礎となる力を培うことを目的としています。誰も気づいていなかった重要な問題を発見し、他の人がとらないアプローチを設定し、そのための手法を選択し(ときには手法を開発し)、問題を解決する、という一連のプロセスを行うためには、それぞれのステップに必要な技術を身に着ける必要があります。音楽や絵画などの芸術が我流の技術やひらめきではプロのレベルに達しないように、研究にもたしかな技術が必要です。実験手技はもちろんですが、情報を取り入れたり、成果を発表したり、周囲とコミュニケーションをとったり、といった技術も必要です。大学院では、研究に必要なそのような技術を身に着けていただきます。

大学院でもう一つ身に着けていただきたいことは、研究に対する姿勢です。誰もできなかったことに挑戦するときには、何かしらの抵抗が必ず存在します。抵抗は、外部だけでなく自分の中にも存在します。そのような抵抗は逆風になるだけではなく、むしろ研究の推進力になることもあります。内外の抵抗とうまくつきあい難しい問題に取り組む姿勢を、身に着けていただきたいと思います。

受入れ可能な大学

希少がん研究分野・分野長の近藤格は2001年から国立がんセンターに奉職し、40名以上の学生を指導してきました。現在(2020年7月)、長崎大学(博士課程)および東京医科歯科大学(修士課程)から学生を受け入れていますし、最近までは慶應義塾大学(博士課程)からも受け入れていました。また、連携大学院の制度以外でも大学院生を受け入れています。現在(2020年8月)、千葉大学、長崎大学、東京医科歯科大学の大学院生が研究に参加しています。それぞれの大学の状況(講義や試験など)や専門職としてのキャリア(臨床医の方など)に対応しています。

大学院での目標

研究室では次のような項目をマイルストーンとして意識していただきます。研究を生業とする人はもちろんのこと、博士課程・修士課程を修了したあと研究職以外の分野に進む人にとっても役に立つことです。

(1)研究計画書を自分で作成することができるようになること

設定する課題の重要性、今までに行われてきた研究の概説とその問題点、研究課題の優位性・独自性、アプローチの妥当性、予測される問題点と成果、などを客観的な根拠に基づき論理的に文章にする技術を学んでいただきます。この技術は、プレゼンテーション、論文作成、倫理審査のための研究計画書の作成、研究費申請書の作成などに役立ちます。

(2)実験手技を指導できるレベルまで習得すること

他人に技術を教えることができるようになって一人前です。日々の実験を通じて、実験の具体的な手技、実験計画の立て方、問題に直面したときの考え方、データのまとめ方、などを学んでいきます。そして、指導を通じて自己の研鑽を図ります。

(3)論文を批判的かつ建設的に読む技術を取得すること

論文は完成された作品ではなく、間違いもあれば足りない点も多々あります。どちらかと言えば、及第点に達しない論文の方が多いのが現状です。それらを批判するのは簡単ですが、それだけでは足りません。批判するだけではなく、自分だったらこの研究をどのように改善できるのか、自分だったら次に何をするのか、という建設的な意見を語れるようになっていただきます。そのような技術を取得することで、論文はよりよい情報源となります。

(4)論文作成、学会発表の技法を高いレベルで習得すること

論文は書式の決まった定型文書です。どのような構成で論文が書かれているかを理解すれば、執筆という作業は短時間で行うことができるようになります。また、書き方の作法を身に着けることで、論文執筆の指導を的確に行うことができます。泥縄式にそのつど書き方を考えていたのでは効率がわるいですし、後進を指導できるようになりません。学会発表も同様で、本質的なルールを身につけることで、上手な学会発表ができるようになります。日々の抄読会や議論を通じて論文作成や学会発表の基本を習得していただきます。

日々のスケジュール

月曜日から金曜日まで毎日朝8時より1時間の抄読会を行っています。抄読会では、大学院生以上の持ち回り制で、症例報告や重要な臨床研究、機能解析や実験技術の改良まで、さまざまなテーマの論文を取り上げます。論文を立体的に読むことができるようになっていただきたいと考えています。論文を題材に意見を交換することで、意思疎通を図っています。

研究ディスカッションは随時行っています。

特筆する成果

前身となる研究室から始まる希少がん研究分野では、2004年よりほぼ毎年、所属する臨床医や学生が国内外の学会でポスター賞や奨励賞、若手奨励賞やトラベルアワードを受賞しています。詳しくは、「学会賞など」をご覧ください。

研修終了後の進路

臨床医の方は、一般病院や大学病院そしてがんセンターで勤務される方がほとんどです。大学で後進の指導にあたっておられる方が数多くおられます。中には海外へ研究留学される方もおられます。海外から留学に来られた方の中には、帰国後さらに研鑽を積んで教授に就任された方もいます。医学部以外の大学院生については、海外の大学(ルンド大学、スウェーデン)、製薬企業、診断薬会社などさまざまな領域で活躍されています。研究に携わる方については、論文作成、学会発表、研究費の申請などを引き続き一緒に行っていただいています。

かつて在籍された方々のインタビュー記事は下記をご覧ください。