AP-RDAマーカー使用法(日本語版) 

注意/マーカーのラベリングとメンブレンフィルターの準備は別途進行するので段取りに注意。

0. マーカーとして送付する内容とその保存

プラスミド(pBluescriptII)が感染した大腸菌(XL1Blue)を、LB+アンピシリン培養液で1晩37℃で培養し、グリセロール(最終濃度20%)を添加して混合し、凍結したもの。-80℃で凍結保存する。
1. 菌液の複製
96穴培養プレートに、LB+アンピシリン培養液を100μL程度加えておく。凍結保存大腸菌プレート(凍ったまま)の蓋を外し、アルミシールは剥がす。ATTO Multi-pin-blotter AB-6690 あるいはKriplankerのような相当品があれば用いると楽である。ピンは水で洗浄後、アルコールですすぎ、アルコールランプの炎でアルコールをとばして、洗浄、滅菌する。ブロッターのピンを凍った菌液に触れるようにして、新しい培養液につける。2回もやれば十分。
2. 菌液の培養
新しい菌液は37℃で一晩静置して培養する。きちんと生えれば底に白く見える菌が薄く沈んでいる。
3. 菌液のPCR
菌液をそのままテンプレートにしてPCRをかけて、プラスミド中のクローン(AP-RDAマーカー)を増幅する。菌液をそのままテンプレートにするので、Mg濃度は高めの設定である。マーカーとして、このPCR液をお送りする場合もある。このPCR液は4℃で保存する(頻繁に凍結融解しないのなら-20℃)。確認はとっていないが、下記のゲルの状態で保存するより長期保存可能と考えている。

E-coli solution                              1uL
10xPCR buffer (no Mg)                        2uL
MgCl2                               final 2.75mM
dNTP                                 each 0.25mM
T3 primer (5'-ATTAACCCTCACTAAAG-3')  final 0.4uM
T7 primer (5'-AATACGACTCACTATAG-3')  final 0.4uM
Taq                                      0.5unit
final vol.                                  20uL

PCR条件 94℃3分、(94℃30秒、56℃1分、72℃1分)35サイクル たくさん1度にPCRをかける前に、少数で試してみることをおすすめする。

4. 制限酵素BamHIによる切断
大半のマーカーは上記PCR産物をいきなりラベルしてマーカー用プローブを作製することができる(6.にすすむ)。しかし、以下に示す一部のマーカーは制限酵素により、プラスミド配列部分および余計に入った別のクローンを切り離す必要がある。 1) A47aE4L(AP47 A-B E4上)、A32bA3S(AP32 B-A A3下)のように、LまたはSの印がついたマーカー。 2) 最終的にハイブリのシグナルのポジ/ネガがきれいに分かれなかったもの。

PCR solution   7uL
10xBuffer      1uL
BamHI       5units
final vol.    10uL

37℃で3時間(〜over night)反応

5. マーカーの切り出し
上記制限酵素反応液に6 x loading dyeを2μL加え、2%低融点アガロース(Nusieve GTGなど)で泳動する。基本的に下に2本プラスミド配列部分の切れ端(アーム)のバンドがあり、その上150bp〜1500bpにマーカーのバンドがある。このバンドを切り出す。LまたはSの印がついたマーカーの場合は、マーカーのバンドが2本見えるので、Lならば上の、Sならば下のバンドを剃刀などで切り出す(下記の図の右から2番目のレーン)。トランスイルミネーターの紫外線を当てすぎないように手早く行う。切り出したゲルはそれぞれチューブに入れ、500μLのTE(8.0)を加え、30分放置後、TEをマイクロピペットで吸い出す。この操作により、ゲルからdyeなどを除く。このマーカーゲルは4℃で保存でき、半年程度ならば持つ。ハイブリダイゼーションのシグナルが頼りなくなったら、作り直すこと。
6. マーカーのラベリング
マーカーゲルは70℃程度で5分程度温めて溶かす(溶ければよい)。6μLのマーカーゲル液と11μLの蒸留水(もしくは2μLのマーカーPCR液と15μLの蒸留水)を混ぜてヒートブロックもしくは沸騰水を用いて5分間ボイルし、denatureする。Gene Images labeling kit (Amersham)を用いてラベルする。指定プロトコールの半分で十分。ゲルを含む反応なので、反応時間は長めにする(37℃で2時間インキュベート)。

Denatured DNA           17uL
solution of nucleotide   5uL
Random primer          2.5uL
Klenow fragment        0.5uL
Total                   25uL

反応後、蒸留水を100μL加え、ヒートブロックもしくは沸騰水を用いて5分間ボイルし、denatureする。氷水に漬けて強制冷却し、プレハイ後のハイブリ液に加えてハイブリを行う。

7. ハイブリダイゼーション
Gene Images detection kit(Amersham)を用いてプレハイ、ハイブリ、検出を行う。手順は添付のメーカープロトコールを参考にする。一部補足する。 我々は、ハイブリ液にサケ精子DNAをバックグラウンド防止のため加えている。サケ精子DNA添加はメーカープロトコールではオプションであるが、効果は高い。デキストラン硫酸は、1〜2%で十分である。小型のタッパーにメンブレンとハイブリ液10mLを入れて65℃で1昼夜ハイブリしている。ハイブリ反応は3昼夜まで実績があり、問題ない。洗浄・抗体反応に用いるBuffer Aは、10xを作製してオートクレーブしておくと楽である。抗体はほとんどの場合、メーカープロトコールの2/3量〜1/2量で十分。発光液を十分切ってからメンブレンを封入すること。フィルムへの露光時間は最初5〜10分で試し、シグナル強度を見て調節する。
-以降はメンブレンフィルターの準備-

A. ゲノムDNA

ゲノムDNAは肝臓などからフェノール・クロロホルムで抽出した質のよいものが望ましいが、尻尾からフェノール・クロロホルムあるいはDNA抽出機から抽出したものでも使用できる。
B. Arbitrarily primed-PCR (AP-PCR)
AP-PCRを96穴プレートで行う。

10x PCR buffer III      1 x
dNTP                0.3 mM each
AP-primer            1.5 uM
Taq polymerase      0.0625 u/uL
dH2O                     -
Genomic DNA         50 ng (20-100 ng OK)
Total volume          20 uL

PCR条件 95℃3分、(95℃1分、40℃1分、72℃2分)35サイクル。

電気泳動でPCRのかかりぐあいをチェックできるが、電気泳動をしないでいいのが本マーカーの特長なので、行わない。
各サンプルのPCRのかかり具合のチェックは、各プライマーごとに用意した、control markerを用いる。

C. メンブレンフィルターへのドットブロット
AP-PCR液を等量のdenature solution液(0.8 M NaOH and 50 mM EDTAに墨汁少々)と混合し、 Hybond-N+ ナイロンメンブレンフィルター(Amersham) にドットブロットする。dot-blotterとしては、ATTO Multi-pin-blotter AB-6690 や Kriplankerがある。UVクロスリンカーでクロスリンクし(条件は標準でよい)、6x SSCでリンスし、乾かしておく。メンブレンフィルターは乾燥暗所に保存している。
-質疑応答-

Q. 菌液保存法を具体的に

水とグリセロールを1対1で混合し、50%グリセロールを作ります。100%だと粘度が高すぎて扱いにくいからです。50%グリセロールは、オートクレーブ滅菌して室温保存しておけます。適宜滅菌的に取り出して、菌液と混合します。菌液100に対して60加えれば十分です。混ざりにくく、きちんと混ぜないと凍結後菌を起こせなくなるので、十分ピペッティングで混合してから凍結します。

Carcinogenesis Division
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