遺族調査報告書
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Ⅲ 結果33療養生活について、患者さまはどのように感じていたと思いますか設問お亡くなりになる前の1カ月間の状況について、最も近い選択肢を1つお選びください「まったくそう思わない」「そう思わない」「あまりそう思わない」「どちらともいえない」「ややそ回答選択肢う思う」「そう思う」「とてもそう思う」「わからない」のうち○は1つ「ややそう思う」「そう思う」「とてもそう思う」の合計回答割合(%)と95%信頼区間を死亡場所別集計方法に示した。疾患全体については、人口動態統計死亡数の死亡場所比率で調節した合計回答割合の補正値と95%信頼区間を示したB 死亡前1カ月間の患者の療養生活の質死亡前1カ月間の患者の療養生活の質●全体の結果(主解析)からだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合は、疾患別の推定値では37.3―52.5%であった。〇全体の考察からだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合は、がんで最も低い37.3%であり、老衰で最も高い52.5%であった。前回調査からの推移では、がんでは、からだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合が減少していた。また、全ての疾患でご家族やご友人と十分に時間を過ごせたと回答した割合が減少していた。患者の死亡年である2021年はCOVID-19の流行時期であったため、面会制限や行動制限等の影響が考えられた。●死亡場所別の結果(副次解析)各疾患の死亡場所別では、からだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合は、病院31.3―46.1%、施設45.8―57.9%、自宅47.8―61.8%、おだやかな気持ちで過ごせたと回答した割合は、病院35.5―47.2%、施設48.8―60.8%、自宅57.3―71.2%、望んだ場所で過ごせたと回答した割合は、病院30.9―48.5%、施設35.4―42.6%、自宅74.2―89.5%であった。〇死亡場所別の考察と留意点病院で死亡した患者の遺族は、施設など他の場所で死亡した患者と比べて、からだの苦痛や気持ちのつらさがなく過ごせたと回答した割合が低かった。他の場所と比べて、治療や処置に伴う避けられない苦痛を感じていた可能性や、比較的症状の強い患者が療養しているなど様々な要因が影響していると考えられた。前回調査からの推移では、がんではからだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合が、特に緩和ケア病棟で減少していた。COVID-19の流行時の面会制限などの医療体制や療養場所の多様化、診療報酬改定による在宅連携の促進や平均在院日数の短縮化の影響など、複合的な理由が潜在することが考えられた。

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