遺族調査報告書
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5Ⅰ 総括本調査は、遺族の意見を広く収集することによって、人生の最終段階の療養生活の実態を把握し、わが国の医療や療養環境の向上につなげることを目的とした調査である。2023年度の調査では、高齢多死社会を支える医療をさらに検討するため、患者が望む治療の目標や過ごし方、療養場所の選択など、最期の療養生活についての話し合いに関する調査内容を追加した。調査結果は、過去の2018―2019年度調査の結果も踏まえて経年的な推移を把握し、国のがん対策の評価に活用される。2023年度の調査の対象は、2021年の人口動態調査死亡票情報を用いて10死因「がん」「心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」「腎不全」「認知症」「アルツハイマー病」「慢性閉塞性肺疾患」「誤嚥性肺炎」「老衰」で亡くなられた患者を母集団とした。対象者母集団は、2018―2019年度調査時の母集団よりもさらに高齢化が進み、COVID-19感染症流行の影響により、死亡場所として自宅の割合が増えていた。調査対象者は、疾患ごとに死亡場所「病院・診療所」「老人ホーム・介護医療院・介護施設」「自宅」で層別無作為抽出して選定した。対象者数は、各疾患で死亡場所別に893名とし、「がん」の場合は緩和ケア病棟の集計を考慮し、病院死亡を1,072名とした。解析は、全体で10,890名の有効回答を解析対象集団として、集計を行った。主要評価項目の集計値は、対象者の抽出方法に基づき母集団分布を代表するように重みづけした補正値を提示した。うち、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」「腎不全」は、2018―2019年度調査の結果も併せて示した。回答者の背景属性や特性の分布は、抽出方法の影響を補正した結果、全体として母集団の分布と概ね同じであった。Ⅰ 総括① 2023年度遺族調査方法概要

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