遺族調査報告書
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●…本調査は、2021年にがん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、腎不全、認知症、アルツハイマー病、慢性閉●…各疾患の死亡場所別では、からだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合は、病院31.3―46.1%、施●…各疾患の死亡場所別では、患者と医師の間で最期の療養場所に関する話し合いがあったと回答した割合●…本調査の対象者の死亡年である2021年は、COVID-19の流行のため、感染症患者の増加、病院や施設●…がん患者の遺族の視点では、「からだの苦痛が少なく過ごせた」と回答した割合は37.3%であり、がん●…各疾患の死亡場所別では、死別後2-3…年が経過した時点で強い悲嘆を抱えていた割合は、病院10.752B 死亡前1カ月間の患者の療養生活の質設45.8―57.9%、自宅47.8―61.8%、おだやかな気持ちで過ごせたと回答した割合は、病院35.5―47.2%、施設48.8―60.8%、自宅57.3―71.2%、望んだ場所で過ごせたと回答した割合は、病院30.9―48.5%、施設35.4―42.6%、自宅74.2―89.5%であった。病院で死亡した患者の遺族は、施設など他の場所で死亡した患者と比べて、からだの苦痛や気持ちのつらさがなく過ごせたと回答した割合が低かった。他の場所と比べて、治療や処置に伴う避けられない苦痛を感じていた可能性や、比較的症状の強い患者が療養しているなど様々な要因が影響していると考えられた。前回調査からの推移では、がんではからだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合が、特に緩和ケア病棟で減少していた。COVID-19の流行時の面会制限などの医療体制や療養場所の多様化、診療報酬改定による在宅連携の促進や平均在院日数の短縮化の影響など、複合的な理由が潜在することが考えられた。C 最期の療養場所の希望や医療に関する話し合いは、病院18.3―42.0%、施設30.8―42.2%、自宅31.8―76.9%であった。患者と医師の間で最期の療養生活の希望に関する話し合いがあったと回答した割合は、病院16.1―40.5%、施設25.1―38.3%、自宅24.7―62.7%であった。心疾患以外では、自宅死亡の場合に、病院や施設で死亡する場合よりも療養場所に関する話し合いがあったと回答した割合が高かった。前回調査からの推移では、全ての疾患で死亡場所別でも療養場所に関する話し合いがあったと回答した割合は増加していた。F 家族の介護負担感●…各疾患の死亡場所別では、介護をしたことで全般的に介護負担感が大きかったと回答した割合は、病院35.4―57.6%、施設44.0―53.4%、自宅37.4―49.1%であった。各疾患において、自宅以外の死亡場所で介護負担が大きかったと回答した割合が高かった。病院や介護施設への訪問の負担や介護の負担をより感じた家族が、患者の療養場所として自宅以外を選択しているなど、複合的な理由が考えられた。G 最近1 カ月間の遺族の強い悲嘆―26.2%、施設9.1―16.6%、自宅17.5―31.7%であった。自宅で死亡した場合、その他の場所で死亡した場合に比べて、死別後2-3…年が経過した時点で強い悲嘆を抱えていた割合が高い傾向がみられたが、疾患によって異なり、患者の年齢などの背景や死別後の期間が影響していると考えられる。塞性肺疾患、誤嚥性肺炎、老衰のいずれかで死亡した患者の遺族を対象に実施し、10,890名から回答を得た。の面会制限や行動制限、在宅死亡者の増加など、医療を取り巻く環境に変化が生じたことが、結果に影響していることが考えられる。で亡くなる患者の半数以上が何らかの苦痛を抱えていた。一方で、老衰で亡くなった方の遺族では、「からだの苦痛が少なく過ごせた」と回答した割合は52.5%であった。がん患者の苦痛緩和の目標を設定する際に、老衰の結果を参考として活用できる可能性を示唆している。前回調査の対象者の死亡年である2017―2018年からの推移を見ると、2021年はCOVID-19の流行のため、医療を取り巻く環境に変化はあったが、がん対策としての苦痛緩和の評価としては、前回調査と比べて少なくとも改善傾向にあるとは言えない結果であった。がん患者に限らず、人生の最終段階にある患者の苦痛対応については、改3.3 結語

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