● 本調査は、わが国のがん患者が人生の最終段階の療養生活をどのように過ごしたか、その全体像を記述● 5死因「がん」「心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」「腎不全」の結果は、2018―2019年度と2023年度● 患者に関する設問の回答結果は、遺族による代理評価の結果である。調査票は、患者と死別後25―37● 2023年度に使用した調査票は、回答のしやすさを向上するため、調査実施前に行った遺族へのインタ● 施設で死亡した患者は、病院など他の場所で死亡した患者と比べて、高齢である割合が高く、日常生活● 自宅で死亡した患者は、必ずしも医師の訪問診療を受けていない場合があることに注意する必要がある。● 死亡場所のうち「緩和ケア病棟」の特定は、遺族の回答をもとに判断しているため、実際の死亡場所と● 調査に回答した遺族の続柄は、施設で死亡した患者の遺族は、子が多かった。これは他の場所と比べて● 2018―2019年度と2023年度調査結果の推移は、COVID-19の流行や診療報酬の改定など社会的変化7Ⅰ 総括1)結果を解釈するうえでの留意点したものである。本結果は全体を重視して解釈すべきものであり、最期の療養場所について、どこで死亡することが良い・悪いと単純に比較・判断することは困難である。例えば、「介護施設で死亡した患者は、もともと痛みなどの症状が少なかったので、医学的な介入を必要とせず入院することがなかった」など、療養場所によって患者のもともとの病状が異なる可能性がある。そのため、療養場所の違いを考察する際には病状や本人の治療への希望などに留意し、注意深く考察することが必要となる。の調査結果の推移を示した。過去の調査結果からの推移を考察する際には、対象患者の死亡年(2017―2021年)の社会的な変化に留意する必要がある。例えば、2021年はCOVID-19の流行により、病院や施設の面会制限や在宅療養者の増加など、医療体制が通常と異なっていた。また、2018年および2020年の診療報酬の改定により、緩和ケア病棟の在院日数の短縮化など、社会的な影響を踏まえた考察が必要である。か月が経過したご家族宛に送付したため、想起バイアスの可能性に留意する必要がある。また、前回調査は患者と死別後13―25か月が経過したご家族に送付しており、死別後から回答するまでの期間が異なるため、前回調査結果との推移を考察する際には注意が必要である。ビュー調査の結果を踏まえて、2018―2019年度調査で用いたマトリクス形式から、設問ごとの設問形式にするなど、一部修正を加えた。2)死亡場所別の結果を解釈するうえでの留意点施設や自宅で死亡した患者は、病院や緩和ケア病棟で死亡した患者と比べて、症状が比較的落ち着いているため、施設や自宅での療養が可能になることが考えられる。このように、療養場所によって患者の病状や療養場所の希望が異なる可能性がある。動作の低下や認知症を併存していた割合が高かった。外来通院中であったり、急死したり、あるいは回答した遺族が当時の状況を把握していないことなどが考えられる。は異なる可能性がある。患者の死亡時の年齢で80歳以上の割合が高いためと考えられる。の影響を踏まえた考察が必要がある。③ 結果を解釈するうえでの留意点
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