患者さまが受けられた医療に関するご遺族の方への調査報告書
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36●全体の結果(主解析) がん患者の遺族全体では、死別後1-2年が経過した時点で強い悲嘆を抱えていた割合は30.9%であった。●全体の考察 今回の調査では、長引く悲嘆症状は2項目のみで評価しているため、がん患者遺族のおおよその割合であると理解することが望ましい。悲嘆の多くは正常な反応で、反応の長さや強さは個人差がある。悲嘆が長引く要因には、配偶者などの故人との関係性の深さ、突然死など死別の状況に加え、遺族自身の健康状態や過去の喪失経験などがある。 死別後遺族の有症率としては類似の調査と比べて低い割合ではなく、死別後に強い悲嘆を抱えている遺族は一定数存在する可能性がある。また、抑うつ症状を伴う場合もあるため、死別後の遺族への配慮とともに、遺族が必要に応じて専門的な支援を利用できる体制の整備が必要である。●死亡場所別の結果(副次解析) 死亡場所別のがん患者遺族では、死別後1-2年が経過した時点で強い悲嘆を抱えていた割合は、病院30.8% 施設16.2% 自宅34.4% PCU32.0%であった。●死亡場所別の考察と留意点 施設で死亡したがん患者の遺族では、他の場所と比べて、死別後1-2年が経過した時点で強い悲嘆を抱えていた割合が低かった。施設で死亡したがん患者が高齢であるため、遺族の続柄に子が多いことが影響したと考えらえる。お亡くなりになられた患者さまに対する、あなたのお気持ちについてお伺いします1.この1カ月間に、亡くなった方を慕い、会いたいと思い焦がれることがどのくらいありましたか2.この1カ月間に、亡くなった方との関係が失われたことにまつわる心の痛みや、悲哀、悲しみが急に設問回答選択肢「1全くなかった」「2少なくとも1回はあった」「3少なくとも週に1回はあった」「4少なくとも1日に1回はあった」「5 1日に数回あった」のうち○は1つ各項目「4少なくとも1日に1回はあった」「5 1日に数回あった」の合計回答割合(%)と、設問1・2のうち、いずれかの回答が4以上で「強い悲嘆」有りとし、その割合について、人口動態死亡数の都道府県比率,死亡場所比率で調節した補正値と、推定される95%信頼区間を示した集計方法こみ上げるなどの強い感情を体験することがどのくらいありましたかG 最近1カ月間の遺族の強い悲嘆

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