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国立がん研究センター 中央病院

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リキッドバイオプシーによる国際共同前向き研究を開始

卵巣明細胞がんと子宮体がんに対する治療開発を目指し
リキッドバイオプシーによる国際共同前向き研究を開始


2021年12月23日
国立研究開発法人国立がん研究センター

発表のポイント

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)中央病院(病院長:島田和明)は、卵巣明細胞がんと子宮体がんの病態解明を目指し、日本、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポール、台湾、ベトナムのアジア7か国で国際共同研究を開始します。本研究は、サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループとの共同研究で行います。

サーモフィッシャーのカスタマイズ可能な遺伝子パネル「Ion AmpliSeq HD」を用い、病態解明に最適な遺伝子パネル検査を構築し、リキッドバイオプシーの遺伝子解析を行います。本研究により、治療標的となりうる遺伝子異常を特定することで、新規治療開発につなげることを目指します。

本研究は、アジア地域における臨床研究・治験の実施と早期薬剤開発の加速を目指す「アジアがん臨床試験ネットワーク構築に関する事業(Asian clinical TriaLs network for cAncerS project:ATLAS project:アトラス プロジェクト*2」で行われる国際共同研究で、転移性および/または再発の病変を有するがん患者さんを対象に血液中の遺伝子異常を網羅的に調べるアジア多施設共同前向き研究「Asian multicenter prospective study of circulating TumoR DNA SequencINg:A-TRAIN,エー・トレイン」として実施されます。

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研究方法

本研究は、転移性および/または再発の病変を有する卵巣明細胞がん患者さん50名、子宮体がん患者さん60名を対象に血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA)*1を網羅的に解析します。血液の遺伝子解析は、サーモフィッシャーの次世代シーケンサー「Ion GeneStudio S5」と、カスタマイズ可能な遺伝子パネル「Ion AmpliSeq HD」を用います。 遺伝子解析の結果と、患者さんの臨床情報を統合解析し、治療標的となりうる遺伝子異常の特定や治験の実施を目指します。

研究プロジェクトメンバー

国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 米盛 勧(研究代表者)、小島 勇貴、須藤 一起、山本 香澄、矢崎 秀、都倉 桃子

国立がん研究センター中央病院 病理診断科 谷田部 恭、吉田 裕

国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 加藤 友康

国立がん研究センター研究所 ゲノム生物学研究分野 河野 隆志

国立がん研究センター研究所 細胞情報学分野 高阪 真路

臨床研究支援部門 研究企画推進部 国際研究支援室 中村 健一、秦 友美

共同研究機関

サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループ

参考

*1 循環腫瘍DNA

ヒトの血液中には、からだの細胞が放出する遺伝情報(cell free DNA)が循環しており、さらにがん患者の血液中には、がん細胞由来の遺伝情報である、循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA)が循環していることが知られています。この循環腫瘍DNAを解析することにより、がんゲノム医療に役立てる研究が注目されています。今後、この技術を用いて治療薬を決定するコンパニオン診断、スクリーニング、治療効果のモニタリング、手術や放射線治療などの根治的治療後の残存病変の評価といった様々な目的に幅広く活用されることが期待されています。

特記事項

本研究は、研究費として、「公益財団法人小林財団 第8回(令和元年度)研究助成金 研究代表者:中央病院 乳腺・腫瘍内科 科長 米盛 勧」のほか、「日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究・治験推進研究事業「アジア地域における臨床研究・治験ネットワークの構築事業」補助事業代表者:中央病院 院長 島田和明」の一部を研究運営に使用しています。

問い合わせ先

研究に関する問い合わせ

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
臨床研究支援部門 研究企画推進部 国際研究支援室
秦 友美
電話番号:03-3547-5201
Eメール:NCCH1905_office@ml.res.ncc.go.jp

広報窓口

国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室
電話番号:03-3542-2511(代表) FAX:03-3542-2545
Eメール:ncc-admin@ncc.go.jp