No How To Book
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たとえば仕事での自分は、論理的に考え、できるかぎりミスもムダもないように物事を進めていく。たとえば家族といるときの自分は、クルマの運転がうまくて、休日にはみんなと出かけて、よく笑って、家族の安心の中心。それぞれで、いろんな自分がいる。長い時間かけてつくってきた「自分らしさ」がある。もし、がんのことを相談すればみんなが思っている自分が変わってしまいそう。そして、みんなに心配をかけ、迷惑をかけてしまう。そんな自分を受け入れられない。誰にも不安を告げられず、インターネットの情報を見たりしながら、気持ちを押さえつけている。どうしたらいいかわからない。でも、やっぱり誰かに相談したい。今までの自分の人生のことや性格のことを知らない人なら、大丈夫かもしれない。たとえば、医師。あるいは、少し勇気をだして、もっとも信用する人に打ち明けてみる。「実は、俺の妹も同じ病気なんだ」自分が考えてもみなかった答えが返ってくるかもしれない。同じ病気の人の話を聞くと、なぜかほっとする。話せないのは、自分だけじゃないんだ。15

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