No How To Book
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医師として、命に関わるたくさんのがん患者さんと一緒にいました。自分ががんになった今。きっとそういう経験もあるからでしょう、抗がん剤で髪の毛が抜けていますが、気になりません。患者さんと出会って、患者さんの生き方に接し、自分の状況を冷静にみられる自分は、幸せなんだと思います。ただ、家族、とくに妻のことが心配になります。お見舞いにきてくれる人の言葉で「大丈夫」「頑張って」「必ずよくなる」は絶対に言ってはいけない言葉だと、あらためて感じます。もう、じゅうぶん頑張っているし、よくなるかどうかなんてわからない。医療従事者でも、そういうことばを口にする人がいます。相手が望んでいることを言うのではなく、自分の望みを、つい、言葉にしてしまう。でも、それは変えられない。気持ちの副作用と呼んでいます。言葉を受ける私たちが、そういうことがあるのだと、気持ちの準備をしておくことの方が、解決策の糸口になるのではないかと思っています。50代 男性44

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