国立がん研究センター
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大学の文学部を卒業し、医療とは無縁の社会人経験を経て看護師になりました。入職してから長く病棟を経験しながら、何か得意分野がほしいと感じ始めた頃、遺伝看護専門看護師という新しい資格があることを知りました。当院の研究休職制度を利用して大学院に通い、資格を取りました。看護師として遺伝の領域にどのように介入できるのか、院内の研究班に所属しながら模索中です。遺伝の情報を生かし、個人個人の体質的な特性に合わせた治療が進んできていますが、看護師として関わる私は、患者さんの価値観も含め、個性を尊重した看護ができればと思っています。人の言葉には真意があり、それを理解することが大切…私には元来そんな信条がありました。でも、その奥深さに気づいたのは学生時代の実習でです。終末期の患者さんに「お前は来なくていい」と言われたのです。自分の意識が相手ではなく、得たい知識に向いていたからでしょう。ICUでの当初も自分と人を比較してしまい、焦った時期もありました。ある時「あなたのペースでいい」と師長さんに言われ、救われました。以降、全ては患者さんのためにと心底思え、ICUでは小さな変化でも逃すまいと集中力が上がりました。今後も患者さんにフォーカスし、ベストを尽くしたいと思います。212004年度入職学習院大学卒、東京都立板橋看護専門学校卒慶應義塾大学大学院修了ICU(集中治療室)2018年度入職純真学園大学卒(消化管内科、消化管内視鏡科、胃外科、乳腺外科)がん化学療法看護認定看護師13A病棟2010年度入職筑波大学卒仕事のやりがい①つらい治療を専門性で支えたい新人時代の私は、看護への熱い思いを抱くこともなくドライなタイプでした。5年目を過ぎ、考え直し始めたのは、あるプロフェッショナルとの出会いがきっかけです。私が1年かけて関わり、心を開いてくれた患者さんがいたのですが、異動してきた副師長が着任早々にその方から絶対の信頼を寄せられたのです。悔しかった。友だちのように接する私とは違い、がん化学療法看護認定看護師である副師長は、豊富な知識を基に適切な支援や助言ができたのです。ちょうど認定看護師を目指そうと決めた頃のことで、つらい治療に向き合う方を専門性で支えたいと強く願うようになりました。髙橋 佳子患者サポートセンターⅠ遺伝看護専門看護師看護の新領域を切り開く大坪 裕太渡辺 智美いかに患者さんに集中するか

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