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第45回「網膜芽細胞腫」

希少がんを知り・学び・集う「希少がんMeet the Expert」
第45回「網膜芽細胞腫」

更新日 : 2019年7月25日

公開日:2019年7月25日
  • 日時:2019年6月21日(土曜日) 19時~20時30分
  • 場所:国立がん研究センター 中央病院1F 希少がんセンター待合
  • 講師:鈴木茂伸(希少がんセンター/中央病院 眼腫瘍科長)
  • 講師:吉田輝彦(中央病院 遺伝子診療部門長)
  • 講師:田辺記子(中央病院 遺伝子診療部門 認定遺伝カウンセラー)

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      • 開会挨拶
      • 講演
      • ディスカッション

         

希少がんを知り・学び・集う「希少がんMeet the Expert」の第45回セミナーが「網膜芽細胞腫」をテーマに、2019年6月21日に開催されました。会場には、患者さんのご家族や医師や薬剤師など37名が集まるなか、まず、中釜斉(国立がん研究センター理事長)が開会の挨拶をし、司会の加藤陽子(希少がんセンター)が講演の3名を紹介しました。今回は、網膜芽細胞腫の診断と治療に携わる医師2名と、認定遺伝カウンセラー1名による講演です。

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国立がん研究センター理事長 中釜斉

最初の講演では、鈴木茂伸(希少がんセンター/中央病院眼腫瘍科長)が、網膜芽細胞腫の疾患の発見される年齢や予後などの概要、症状や診断、さまざまな治療法について解説しました。網膜芽細胞腫は、5歳までに95%が発見され、初期の小さな病変の場合は赤外線レーザーなどの眼球を温存する治療によって高い確率で治癒します。治療法についてはそのほか、国内では当院のみで行われている放射線の小線源治療、選択的眼動脈注入、小児がんには保険診療ができる陽子線治療などの温存治療、また、進行期の全身化学療法などが画像を用いて示されました。この病気は小児のがんとして、発育や二次がんに配慮した適切な経過観察が大切であり、現在、「長期フォローアップのガイドラインを作成中」です。

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希少がんセンター/中央病院眼腫瘍科 鈴木茂伸 

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会場の様子

 

次の講演では、「網膜芽細胞腫の遺伝」について、吉田輝彦(中央病院 遺伝子診療部門長)が、遺伝子が引き起こす疾患のしくみ、染色体や受精卵、遺伝子、DNAなどの基礎知識から説明しました。そのほか、家族の関心が高い話題として、「家族歴や遺伝確率の考え方」、「染色体検査などの遺伝学的検査はどのような目的で行われるのか」など、網膜芽細胞腫における解釈がまとめられました。

 

3つ目の講演は、認定遺伝カウンセラーとして、中央病院遺伝子診療部の遺伝相談外来で、患者さんや家族からの相談業務に携わる田辺記子です。遺伝相談外来では、病気に関係する遺伝の情報を、患者さんやご家族に適切でわかりやすいように提供したり、心理的・社会的なサポートを行ったりします。「電話をいただけば、院内のどこにでも話を聞きにうかがいます」と、認定遺伝カウンセラーを積極的に活用してほしいと呼びかけました。

 

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中央病院遺伝子診療部門長 吉田輝彦 

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中央病院遺伝子診療部門認定遺伝カウンセラー 田辺記子

 

続いて、ディスカッションは、講演者の3名に、網膜芽細胞腫の家族の会「すくすく」の池田小霧さん、司会の加藤陽子が加わり、がん情報サイト「オンコロ」の川上祥子の進行のもとで進められました。事前に寄せられた会場からの質問を中心に、「眼底検査を受ける子どもの心身の負担をどう考えたらいいか」「二次がんの発症はどのようにチェックしていくのか」などを話題に意見が交わされました。患児と家族でかかわっていく疾患は、経験者による情報が大きく役立つ場面も多いです。25年の活動歴をもつ「すくすく」の池田さんは、「お話し会を毎月第4水曜日に行っているのでぜひ立ち寄ってみてください」と案内し、和やかな雰囲気のなかでセミナーは閉会しました。

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網膜芽細胞腫の家族の会「すくすく」 池田小霧さん

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ディスカッションのメンバーによる集合写真