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DNAメチル化異常が起きるメカニズム

我々は、生活する上で絶えず様々な内因性・外因性の発がん要因に暴露されている。発がん要因の中には、放射線や化学物質など突然変異を誘発するもの、組織を傷害して結果的に発がんを促進するものなどがあるが、DNAメチル化異常を誘発するものもある(図)(Ushijima and Okochi-Takada, 2005[PubMed](外部リンク)Hattori and Ushijima, 2016 [PubMed](外部リンク))。

 

DNAメチル化異常を引き起こす要因

図 DNAメチル化異常を引き起こす要因

DNAメチル化異常を誘発する要因として最も古くから知られているものは、加齢である。その他に、大腸の炎症が持続する潰瘍性大腸炎、肝炎ウイルス感染などもDNAメチル化の促進因子であることが分かってきている。我々は、胃がんの原因であるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染によって、胃粘膜に強力にDNAメチル化異常が誘発されることを明らかにした(ピロリ菌感染によるDNAメチル化異常誘発をご覧ください)(Maekita et al., 2006 [PubMed](外部リンク))。また、食道粘膜では、喫煙期間の長さとそのメチル化異常の量とが相関する遺伝子があることを見出した(喫煙とDNAメチル化異常をご覧ください)(Oka et al., 2009 [PubMed](外部リンク))。化学物質の中には、薬剤や金属化合物等、DNAメチル化状態を変えるものが一部報告されているが、これらを鋭敏に検出する方法の開発もおこなっている(DNAメチル化に影響を与える化学物質を探索する方法の開発をご覧ください)。細胞自体の異常として、DNAメチル化異常が増える場合もある(Ushijima et al., 2005 [PubMed](外部リンク))。

DNAメチル化自体は悪いものではなく、生理的にある程度は存在しているものである。そのDNAメチル化を異常に低下させるものとしては、メチル基供与体であるS-adenosyl-L-methionine(SAM)の不足がある。食事成分の中にSAMの合成反応に関わる物質があり、それらの摂取・欠乏によってDNAメチル化状態が影響を受けることが、主に動物を使った実験で報告されている。

DNAメチル化異常を誘発する要因も重要であるが、どのような遺伝子がDNAメチル化異常誘発の標的となるのかも重要な問題である。我々は、DNAメチル化異常誘発には標的遺伝子特異性があることを明らかにし、特異性決定の分子機構も明らかにした(DNAメチル化異常を受けやすい遺伝子をご覧ください)(Takeshima et al., 2009 [PubMed](外部リンク)Takeshima et al.,2011 [PubMed](外部リンク)Takeshima and Ushijima,2010 [PubMed](外部リンク))。