10-4 肺腺がんの発生と特性の解析に関する研究
 
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10-4 肺腺がんの発生と特性の解析に関する研究

主任研究者 国立がんセンター研究所 横田 淳


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
横田 淳
国立がんセンター 部長
肺腺がんの発生・進展に関与する遺伝子の研究
高橋 隆
愛知県がんセンター 部長
肺腺がんの発生・進展に関与する遺伝子の研究
野口 雅之*1
筑波大学基礎医学系 教授
微小肺腺がんの分子病理学的研究
森下 由紀雄*2
筑波大学基礎医学系 講師
微小肺腺がんの分子病理学的研究
深山 正久
自治医科大学 教授*1
東京大学医学系研究科 教授*2

肺腺がんの病理学的研究

中島 孝
群馬大学医学部 教授
肺腺がんの病理学的研究
北村 均
横浜市立大学医学部 教授
肺腺がんの病理学的研究
仁木 利郎*2
国立がんセンター 主任研究官
肺腺がんの病理学的研究
黒木 由夫
札幌医科大学 教授
肺腺がんに特有な分化マーカーの研究
居石 克夫
九州大学医学部 教授
肺腺がんに特有な分化マーカーの研究
田中 正光
浜松医科大学 助手
肺組織発生に関与する遺伝子の研究
辻内 俊文
奈良県立医科大学 助手

実験動物モデルを用いた肺腺がん発生過程の研究

葛西 宏
産業医科大学 教授
肺腺がんの発生に関与する活性酸素の研究
二木 鋭雄*1
東京大学先端技術科学研究センター 教授
肺腺がんの発生に関与する活性酸素の研究
瀧川 奈義夫*1
国立病院四国がんセンター 医師
肺腺がんの臨床的および病理学的背景因子の検討
細江 重人
国立療養所近畿中央病院 医長
肺腺がんの発生と進展に関与する癌抑制遺伝子の検索
*1:平成10年4月1日―平成12年3月31日
*2:平成12年4月1日―平成13年3月31日


平成12年度研究報告 研究成果の要旨

肺腺がんの一部ではβ-cateninの異常によるWntシグナル経路の異常が起っていることを明らかにした。肺腺がんでしばしば見られるTGFβRII遺伝子の発現消失はメチル化あるいはクロマチン構造異常によることを明らかにした。小型肺腺がんの非浸潤がんから浸潤がんへの進展に伴って複数の染色体領域の欠失が段階的に起っていることを明らかにした。laminin-5のγ2鎖の胞体内発現は肺腺がんの予後不良因子であり、しばしばcox-2と共発現していた。扁平上皮がんではRB/p53径路の両方に異常があることが多く、腺がんではp53径路のみの異常が多かった。末梢血細胞でのSP-A mRNAの発現は肺腺がん病期I期の28%に検出され、診断へ応用できる可能性が示された。BHP投与ラット肺発がん系で、APC:β-cateninの異常は腺腫から腺がんへの進展に、TGFβシグナル伝達経路の異常は腺がん発生に関与していることが示された。ラット肺発生の過程で発現減少してくるTlmがん遺伝子と相同性のある新規遺伝子を単離した。


平成10年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

肺腺がんの一部ではβ-cateninの異常によるWntシグナル経路の異常が起こっていた。肺腺がんではメチル化あるいはクロマチン構造異常によってTGFβRII遺伝子の発現消失が起こっていた。扁平上皮がんではRB/p53径路の両方に異常があることが多く、腺がんではp53径路のみの異常が多かった。laminin-5は非小細胞がんで特異的に発現しており、γ2鎖の胞体内発現は肺腺がんの予後不良因子の可能性が示された。小型肺腺がんの進展に伴って複数の染色体領域の欠失が段階的に起っていることを明らかにした。末梢血細胞でのSP-A mRNAの発現は肺腺がん病期I期の28%に検出され、微小転移の検出へ応用できる可能性が示された。BHP投与ラット肺発がん系で、APC:β-cateninの異常は腺腫から腺がんへの進展に、TGFβ経路の異常は腺がん発生に関与していることが示された。ラット肺発生の過程で発現増加するナトリウム依存性無機リン共輸送蛋白質タイプ IIb 遺伝子と発現減少する新規遺伝子を単離した。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01