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ごあいさつ

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今日、煙草が世界中で病気や死亡をもたらしている中心的な原因の一つであることと、ニコチンには常用依存性があることが知られています。通常、病気や死亡の中心的な原因に対して強力で一致団結した態勢を展開することは、私たちにとって簡単なことです。天然痘に対しては実際に行ないました。ポリオに対しても行ないました。そして、結核に対しても現在行なっています。さらに、その他の多くの病気に対しても、一致団結した態勢を取り続けています。しかし、煙草に対してだけは、一致団結した態勢を取ることが簡単ではありません。

問題を複雑にしているのは、ニコチンの持つ常用依存性です。もし煙草の流行を抑えることができ、最終的に減らすことができれば、何百万人もの喫煙者がニコチンの常用依存性から解放されることになります。しかし、自由で独立し洗練された人には喫煙が一生付いてまわるものだと子供が考えることを容認するような社会的環境にあっては、これは簡単なことではないと思われます。

現在、世界の喫煙者の3分の1が、西太平洋地域に集まっています。世界的に見ると、この地域での販売は1990年代に急激に増加しており、煙草業界が宣伝にかけている労力の大部分は、この傾向を維持することが狙いとなっています。そして、その結果として、子供のうちから煙草を吸い始めた多くの人々は、一生涯抜け出すことができない習慣に捕らえられているのです。

1999年の世界禁煙デーのデザインは、煙草からの解放のエッセンスを捉えたものです。灰皿の中にある蘭の花。生命のシンボルは死ではありません。灰の代わりに蘭の花。これは、喫煙者に次のように訴えるための簡単ながら力強い手段なのです。「あなたの健康が心配です。どうか、解放されて下さい。どうか、煙草を止めて下さい。」

私からのメッセージは、実に簡単なものです。

誰でも解放されるのです。

人は、禁煙することで解放されます。必要なら、禁煙プログラムの世話になっても構いません。世界保健機構(WHO)は、現在開催されている費用のさほどかからない利用しやすい禁煙プログラムを支援する旨の公約を発表しています。

家族は、親が子供に手本を示すことで解放されます。

地域は、公共の場における喫煙を禁止し、宣伝も禁止する法令を支持することで解放されます。

メディアは、煙草の管理の問題が公共政策の論争の場に属するものであることを主張することで解放されます。

国家は、国民の健康のために、煙草の合法的な使用と販売を規制する法令を支持することで解放されます。

これらが一体となって、常用依存性と病気の蔓延から解放されるのです。

本日、私たちは、灰皿に蘭の花を置いて、また、煙草のない世界のための一致団結した声に支えられて、お話させて頂きます。

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地域理事
オウミ・シゲル教授







更新日:2001/12/27