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これまで述べてきたような理由により、たばこ規制は特に西太平洋地域の発展途上国においては公衆衛生上の緊急の優先課題となっている。西太平洋地域の加盟各国はこの地域のたばこ流行の重大性を認識しており、たばこ消費を抑制するための効果的かつ緊急の行動の必要性を確認している。

たばこ消費を低下させるためのエビデンスに基づく方策は存在しており、オーストラリア、ニュージーランドおよびシンガポールのように厳格な国内たばこ規制プログラムを策定・実施しているいくつかの西太平洋地域の加盟国では、そのような方策が有効であることが証明済みである。国レベルでのたばこ規制を開始したこの地域のその他のいくつかの国々では、不十分または一貫性のないたばこ規制政策および法律が諸方策を効果のないものにしていることに気づいている。たばこの貿易、宣伝およびマーケティングのグローバリゼーションによって状況はさらに悪化しており、それらは非常に厳格な国内政策および法律によっても規制の手が届かないことが多い。

たばこの流行のグローバリゼーションによって、各国による協調した対応が必要とされる。WHOの加盟各国は2003年2月スイスのジュネーブでの政府間交渉の第6回会議において、WHOたばこ規制枠組み条約の最終草案について交渉を行い、第56回世界保健総会は2003年5月にその草案を採択した。2004年12月1日時点で、必要とされる加盟国40ヶ国がこの条約を批准しており、2005年2月27日に条約が発効している。たばこの使用およびたばこの使用によって失われる健康生活の年数を各国が低下させるのにこの条約がこれから役立つと思われる。

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この条約はたばこによる害を低減するための指針を提供するが、たばこを規制するための最終的な行動は国レベルで行われなければならない。そこでこの条約の成否は、もっぱらこの条約の条項を実行し施行する各国の能力にかかっている。加盟各国はこの条約が発効した場合には、その施行に向けて準備ができていなければならないことから、条約の批准を確保するための努力と同時に国家能力の強化も行われなければならない。このためには国家能力の醸成および維持、そして包括的なたばこ規制に必要な資源の特定とその獲得に向けての長期的な政治の関与が必要となる。

たばこ規制プログラムの持続性の確保は、多くの国々にとって重要な課題であり優先的に行われなければならない。たばこ産業は多くの対抗策を講じてくる。国および地域のたばこ規制の取組みに反対し、これを回避しようとするたばこ産業の試みは条約の発効が近づくにつれてエスカレートする可能性がある。そこで条約を守り、国内のたばこ規制の取組みを強化するためには、他の健康プログラム、開発および貧困の緩和の構想、そして政府内の様々な部局、関連する国際機関および非政府機関(NGO)との戦略的な協力関係が必要となる。

写真画像 たばこ税、特別の基金の創設またはそれ以外の適当な仕組みなどを介して、国内計画、優先課題およびプログラムに従って、この条約の目的を達成するための国内活動を財政支援する手段の調査が積極的に遂行されるべきである。さらに、たばこ規制活動に利用できる財政的、技術的またはそれ以外の資源、そして官民の資源などすべての関連する潜在的および既存の資源を、すべての条約締約国の中でも特に発展途上国や移行経済国の利益のために動員および利用すべきである。

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加盟各国は国境を越えるたばこの流行の諸側面に対処するための取組みを調整する必要がある。主要な課題としては、たばこ製品に適用される貿易の自由化が含まれる。これ以外の国境を越える問題には、国を越えるたばこ製品の不正貿易、世界的なマーケティングや広告活動が挙げられる。これらの国境を越える問題に対し効果的に対処するための準地域的および地域的な仕組みの構築はこの行動計画の中でも取り上げられる。

たばこの流行を抑制するための追跡の取組みは国および地域レベルの双方で組織的に行われなければならない。加盟各国が現実の測定可能な健康への影響の進展をモニターすることができるように、標準的なサーベイランスの手段および方法が必要となる。最後に政策およびプログラムの策定を支援するための調査およびエビデンスの生成を進めるための地域戦略が、たばこ規制の国家能力構築の全プロセスを通じて必要である。これには評価、アドボカシーおよび関連する受け手に対する情報の普及が伴っているべきであり、それによってすべての加盟国が重要なデータを得ることが可能になり、地域内の情報交換が促進されることになる。





更新日:2007/05/01