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たばこ規制戦略に対する医療従事者組織の役割

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国際的組織のレベル

国際的な組織(協会などのこと)は、国のたばこ規制に関連する組織に、たばこ規制が国の最重要課題であることを明確に示す大きな可能性を持った組織です。多くの組織は、いくつかの優先度の高い問題や関心を抱えています。しかし、大切なことは、たばこは世界で二番目に重要な、しかも、予防可能な死因、病因であることです。ただし、その際、国家が、国際的機関がたばこ規制を優先度の高いものと認識していることに気づかない限り、このメッセージは効果的に広がることはありません。医療施設のたばこ規制に関する倫理綱領を承認し、その原則を遵守することに加えて、国際機関は国家的機関の努力をサポートすることができます。国際機関は、会員組織の仕組みを利用して、たばこ関連の問題と、組織内のどのグループにその問題が関係するかを浮き彫りにし、たばこ問題を会議での正式な議題とし、その組織の会員間で関心がある既存資源とリンクさせ、WHO FCTCの実現を目に見える形でサポートするのに、組織力を利用できます。前述のように、倫理綱領は、2004年1月に医療従事者組織とたばこ規制のためのWHOによる非公式会議の際、国際医療従事者組織のグループにより作成されました。以下の14点(BOX4)は、たばこ依存症の治療、禁煙治療、組織変革のためのガイダンス、および、たばこのない専門家集団の推奨活動について、医療従事者組織の潜在的役割を概説しています。


BOX 4 医療施設のたばこ規制に関する倫理綱領

序文: たばこ消費減少のために積極的に貢献し、国、地域、そして、国際的なレベルで公衆衛生上の最重要課題としてたばこ規制を推進するために、医療施設はここに以下のことに同意します:

1. たばこを吸わない、たばこのない社会の手本になるように会員をサポート、奨励すること。
2. 調査と適切な方針を導入することで、会員のたばこ消費パターンとたばこコントロールに対する取り組みを評価し、報告すること。
3. 関連する組織の建物と関連する行事では、たばこ煙にさらされることが無い(たばこフリー)にし、会員に対しても同じように行動することを奨励すること。
4. 組織に関連した学会や会議では、全て、たばこ規制を最重要課題として含めること。
5. 常に、患者やクライアントに、喫煙の有無、たばこ煙への曝露について尋ねるように組織の会員に対して助言すること。さらに、証拠に基づくアプローチと最良の方法で、どうすれば患者が禁煙できるかについて助言し、彼らが禁煙に成功したかどうか適切なフォローアップを確実に行うこと。
6. 保健団体や教育センターが、継続教育とその他トレーニングプログラムを通して、その機関に属する医療従事者のカリキュラムにたばこ規制を含めることに影響を及ぼすこと。
7. 5月31日の世界禁煙デーに積極的に参加すること。
8. どのたばこ産業の財政的援助も受けないようにすること、また、たばこ産業に投資しないこと。そして、会員にも同様のことを推奨すること。
9. その組織は、商業的、または、その他のたばこ業界に利害関係をもっているパートナーとの方針を、利害関係に関する宣言を通して、明確にすること。
10. 組織の関連する建物内でのたばこ製品の販売を禁止し、会員にも同様にするよう推奨すること。
11. この倫理綱領の実現の批准、署名へと政府を導くよう、積極的にサポートすること。
12. 政的資源、および/または、その他の資源をたばこ規制にささげること。それには、この行動規範(code of practice)を実現するための寄付も含むこと。
13. 医療従事者のネットワークによるたばこ規制のための活動に参加すること。
14. たばこのない公共の場所実現のためのキャンペーンをサポートすること。

WHOによる、医療従事者とたばこ規制に関する非公式会議における参加者による署名、採用; 2004年1月28-30日、スイス、ジェノバにて。

情報源:http://www.who.int/tobacco/communications/events/codeofpractice/en/




たばこ規制に特に焦点をあてた国際的医療従事者協会の例

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薬剤師

2003年8月にヘルシンキで、たばこに対する薬剤師の国際的ネットワークが発足して以来、国際薬学連合(International Pharmaceutical Federation (FIP))は、たくさんの新しい禁煙主導にかかわってきました。2003年のオーストラリア、シドニーにおけるFIP会期の間、FIPはRole of the Pharmacist in Promoting Tobacco Free Future (たばこのない未来の実現における薬剤師の役割)における政策声明を採択しました。その声明は、医薬品関連機関と薬剤師個人の両者に対して、たばこを止めることを希望している人を助け、その他の人に対してもたばこを止めるよう奨励するように、推奨しています。その声明の実現に向けたステップとして、FIP の協議会は、禁煙しようとしている薬剤師を動かすために、FIP会員組織同士が相互に協力をすることで同意しました。この取り組みは、2004年5月31日世界禁煙デーにおける薬剤師のための世界キャンペーンを通じてスタートしました。FIPは以下のようなキャンペーン資料を作成しました:

FIP理事からの手紙
FIPのたばこのない未来の推進における薬剤師の役割を示した政策声明
禁煙における薬剤師の役割に関する報道発表の草稿 
FIPの活動例
ニューオリンズで行われる次回FIP会議の際の発表
FIP会員組織のたばこ規制活動例
WHO FCTCの署名、批准、および実行に関して厚生大臣に対する手紙のモデル
WHO FCTCに関する小冊子
WHO FCTCの最新情報

2004年の世界禁煙デーの際、15の会員組織が、活動状況を報告しました。2004年1月に、FIPはWHOの医療従事者組織とたばこ規制会議に参加しました(BOX4)。FIPは正式にこの倫理綱領を採用し、これを個々の会員組織に推奨しました。FIPたばこに対する薬剤師の国際ネットワーク(FIP Global Network Pharmacists Against Tobacco)会議が、2004年9月7日にニューオリンズ(米国)における第64回FIP学会中に開かれ、世界20カ国から70人以上の薬剤師が出席しました。その会議では、国や地域の主導的役割を果たす薬剤師が、薬剤師の教育や訓練だけでなく禁煙教育を提供することについて協議しました。また、第64回FIP学会中、FIPは'FIP薬局でのたばこ販売と喫煙の禁止'と題した報道発表を発行しました。記者会見の間、委員会は、薬剤師が顧客の健康を促進することに貢献する医療従事者グループであることを指摘しました。薬局からのたばこ製品の排除はその現われであり、国民の健康に利益をもたらす、達成可能なたばこ規制戦略です。これまで、322人がたばこに反対する薬剤師(Pharmacists Against Tobacco)のメーリングリストに加わり、禁煙に関する薬剤ガイドライン、禁煙指導の資料、禁煙に関するイベント、ニコチン代替療法(NRT)の使用、薬局におけるたばこ製品販売の禁止、WHO FCTCに関する地域キャンペーンやその認識向上について、様々なメッセージが発信されています。メーリングリストの参加者は、薬剤師、他の医療従事者、保健ジャーナリスト、研究者、学生、およびWHOの職員も含まれます。




歯科医師

国際歯科連盟(FDI World Dental Federation)は国際歯科協会(National Dental Associations)の連盟です。その主な役割は、全ての人々に対する最適な口腔保健の普及を目的として、世界の歯科界が互いに集まり、国際的な歯科専門集団として、国を超えて情報交換を活発、容易にすることです。(http://www.fdiworldental.org/home/home.html)

たばこ規制の領域では、国際歯科連盟(FDI World Dental Federation)は、WHOのTFIと米国の疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)が主導したサーベイランスである、世界医療従事者調査(Global Health Professional Survey)に、歯科医師を含めることを積極的に推奨しました。この調査の目的は、医学部や看護学校の生徒だけでなく、歯科、薬学部から情報を得ることにより、様々な医療従事者グループにおけるたばこに関する問題を検討することである。現在、パイロットスタディが、WHOの6地域全てで実行されており、その最初の結果が、2005年5月の終わりまでに出る予定です。2004年1月に、FDIはWHOの医療施設とたばこ規制会議に参加しました(BOX4)。FDI総会は公式のFDI行動戦略声明として倫理綱領を採択しました。2004年9月に、ニューデリー(インド)での世界歯科政策会議中、口腔がんと前がん病変に関する全日のセッションが開催されました。インドおよび国際的な専門家が、口腔がんとたばことの関連を検討しました。




看護師

国際看護協会(International Council of Nurses (ICN))は、'看護の問題'、と題した、現在の健康と社会問題における看護の専門的立場にたった情報や国際的な見解について、迅速に参照できるデータ集をシリーズで提供しています。'たばこのない人生のための看護師'と題するデータ集では、次のことを強調しています:
i) 看護婦は、予防の最先端に位置する;
ii) 看護師は、他の看護師を助けることができる;
iii) 看護師は公衆衛生政策に貢献することができる。
看護師は、様々な状態、状況にある何百万という人々を毎日見ているため、予防と禁煙戦略を一緒に広めて行くという独特の立場に立っています。看護師は、喫煙状況について尋ねることができる機会と権限を持ち、喫煙が病気や健康に及ぼす影響について助言し、禁煙をサポートします。看護師にとって、ニコチンの身体的、心理的中毒と、多くの人々の生活の中での社会的役割を理解することは重要なことです。医療従事者は、たばこが罪であることについて説き伏せたり、患者を非難するのでなく、禁煙をサポートする過程で肯定的なアプローチを行うという、批判的でない環境を提供しなければなりません。ICNは、世界中の看護師に、彼らがたばこ規制の最先端にいること熱心に説いています。看護師や看護協会は、たばことの戦いにおいて、相互に助け合うことができます。現在行われているICNの調査によって、大部分の国の看護協会が、喫煙をしている医療従事者に対して、禁煙方法に関するトレーニングを提供していないことが判明しました。看護師は、たばこのない生活に貢献する他の専門家グループや、女性、若者の協会や、メディア、学校、政府、その他たばこのない生活に寄与している団体と広範囲なパートナーシップを組むべきです。2004年3月に、ICNは、医療施設のたばこ規制に関する倫理綱領を承認し、その規範を世界の全ての国の看護協会に通知し、それを実行するように促しました。

情報源:http://www.icn.ch/publications/primary-health-care/primary-health-care.html




医師

最高水準の医学倫理を推進する組織として、世界医師会(World Medical Association (WMA))は、組織の宣言、決議、声明を通して倫理的指導を医師に提供しています。また、これら文書は、世界中で、国の医師会、政府、および、国際機関を指導するのに役に立ちます。1988年9月に、第40回世界医師会議(WMA、ウィーン(オーストリア))は、たばこ製品の健康被害に対する世界医師会議(WMA)声明を採択しました。この声明は、1997年11月にハンブルク(ドイツ)における第49回世界医師会議(WMA)総会によって修正されました。適切な行動を取っていない場合、世界医師会(WMA)は、喫煙、および、その他のたばこ製品の使用による健康被害の減少を促すために、医師会と全ての医師に、以下の行動をとるように促します:
i) 喫煙とたばこ製品の使用に対して、反対の方針を採用すること。そして、その方針を社会にアピールすること
ii) 世界医師会が主催する会議は全て禁煙とするとの決定に従い、その国における医師会の全てのビジネスの場、公共の会議あるいは式典での喫煙を禁止すること。
iii) たばこ製品による健康被害について、専門家と社会への教育プログラムを開発し、支持し、それに参加する。特に子供と若年の成人におけるたばこ製品の使用を避けるように導く教育プログラムは非常に重要である。非喫煙者と無煙たばこ非使用者が、それらを使用しないようにするためのプログラムは、たばこ製品の使用をやめるように喫煙者を説得するための教育と同様に必要です。
iv) 医師個人が、(たばこ製品を使用しないという)手本になるとともに、たばこ製品の使用の結果おこる健康への悪影響に対し、社会を教育するキャンペーンのスポークスマンとなることを奨励する。全ての病院と保健医療施設に対して、施設内での禁煙を推奨すること。
v) いかなる信用をも、たばこ産業に与えるのを回避するために、たばこ産業から基金を受けるのを控えること。また、医学部や、研究所や、個々の研究者に対しても同様に促すことである。以下の法の制定と施行を推奨する。a) 販売されている全てのたばこ製品のパッケージ上、および、全ての広告と販売促進のための素材上に、たばこによる健康被害について警告を載せるよう要求すること; b) 公共建築、飛行機の機内、学校、病院、診療所、および他の保健医療施設における喫煙を制限すること; c) たばこ製品に関連する全ての広告と販売促進に対して制限を課すこと; d) たばこが販売されている場所以外のたばこ製品に関する全ての広告と販売促進を禁止すること; e) 子供と未成年者に対する紙巻たばこと他のたばこ製品の販売を禁止すること; f) 国内線の全ての飛行中の機内と、全ての国際線の飛行中の機内での喫煙を禁止すること、そして、空港でのたばこ製品の免税での販売を禁止すること; g) たばことたばこ製品のための国庫補助を全て禁止すること; h) たばこ製品の使用頻度と、その集団におけるたばこ製品による健康状態への影響についての調査を提供し、たばこ使用の健康被害について社会のための教育プログラムを開発すること; i) 現在利用可能でない新しい形式のたばこ製品の販売促進、流布、および販売を禁止すること; j) たばこ製品の増税をし、健康管理政策のための歳入をあげるために使用すること。世界医師会(WMA)は定期的にたばこコントロールの重要性に関する報道発表を発行している。

情報源:http://www.wma.net/e/




その他の医療従事者集団の協力組織

1999年の発足以来、世界医療従事者協会(World Health Professional Alliance(WHPA))は、反たばこ主導における積極的な役割を含め、既に多くの重要な成果をあげています。国際歯科連盟(FDI)と世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy(WCPT))の相互協力により、世界医療従事者協会(WHPA)は、積極的にたばこのない世界の実現を目指して、たばこの使用に対する戦いのため相互協力します。世界医療従事者協会(WHPA)は、以下のことを政府に奨励します: たばこの広告と販売促進を禁止する政策の進展; 全てのたばこ製品に対して、すぐれた、かつ、意味のある、警告表示を行うこと; 公共の場所や民間の飛行機の機内での禁煙、たばこの使用に対する公共の教育キャンペーンの提供、そして、たばこ栽培農家が代替作物を栽培することへの奨励。1999年の世界禁煙デー(WNTD)の時に、世界医療従事者協会(WHPA)は国の医療従事者協会を促す以下の共同声明を発行しました: i) 積極的にたばこのない世界の実現を目指して、たばこ使用への戦いに対して、努力を集結させること; ii) たばこの健康への害について、政府に対して注意を促し、それを減少させるために努力をさせ、たばこの使用を根絶するために、国のその他の反喫煙グループとともに活動を調整すること; iii) たばこの広告と販売促進を禁止する政策を進展させるよう政府を促すこと; 全てのたばこ製品に対して、すぐれた、かつ、意味のある、警告表示行うこと、たばこの使用に対する公共の教育キャンペーンの提供、公共の場所や民間の飛行機の機内での禁煙、そして、たばこ栽培農家が代替作物を栽培することへの奨励すること。さらに、この声明は、以下のことを医療従事者個人に対して促しました: i) 施設内、および、国の協会の全ての会議と学会における禁煙; ii) 病院とその他の保健医療施設をたばこのない施設とすることの推奨; iii) たばこ使用による健康被害に関する医療従事者と社会への教育プログラムの開発; iv) 医療従事者がたばこのないライフスタイルに関する実際の手本となること、およびこの運動の擁護者となることの奨励; v) たばこ製品に対する増税、およびその歳入を健康管理のために使用すること; そして、彼ら自身と専門家協会がたばこ業界から遠ざかること。

情報源:http://www.whpa.org/
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更新日:2007/05/01