歯科 << 国立がん研究センター中央病院

歯科

1.歯科について
2.診療について
3.研究、その他について

1.歯科について

 医長
上野 尚雄 (うえの たかお)   上野 尚雄 (うえの たかお) 外来診療日:月・火・水・木・金
  専門医・認定医資格など:
臨床研修指導歯科医

当科では口腔粘膜炎、歯性感染症、顎骨壊死など、がん治療中に起こる口腔合併症に対して、予防・治療・症状緩和といった対応を行なっております。 がん治療中の「お口の困りごと」、なんでもご相談ください。

 医員
八岡 和歌子 (やつおか わかこ)   八岡 和歌子 (やつおか わかこ) 外来診療日:月・火・水・木・金
  専門医・認定医資格など:
日本歯科口腔外科学会 認定医
日本有病者歯科医療学会 認定医
日本抗菌化学療法学会 認定歯科医師
「しっかり食べられること」「楽しく会話ができること」 お口から円滑ながん治療を支えたいと思っています。
 非常勤医師
八岡 和歌子 (やつおか わかこ)   宮本 恭子 (みやもと きょうこ) 外来診療日:火・金





 非常勤医師
金山 健夫 (かなやま たけお)   金山 健夫 (かなやま たけお)
  専門医・認定医資格など:
日本歯科補綴学会 専門医・指導医
口腔がん術後の顎補綴・インプラント治療を担当いたします。 「手術前と同じくらい、よく噛め、おいしく食事がとれること」を一緒に目指しましょう。

 非常勤医師
古川 恵理奈 (ふるかわ えりな)   古川 恵理奈 (ふるかわ えりな)





 歯科レジデント
斎田 百合子 (さいだ ゆりこ)   斎田 百合子 (さいだ ゆりこ)






がん治療中には、治療の影響によってさまざまな口腔内の症状や、口腔内の細菌が原因の合併症が起こることが知られています。このような口腔の副作用は痛みで患者さんを苦しめ、食べられない、しゃべれないなど生活の質に関わる問題に直結します。このような口腔の副作用は対応を怠ると、低栄養や脱水など全身状態に影響を及ぼし、また全身感染症の引き金になるなど、時にがん治療継続の大きな妨げとなることがあります。

我々はがん専門病院の歯科として、さまざまながんの治療中に生じる口腔内の諸問題に対し歯科的なサポートを行うことで、口腔の症状の緩和や副作用の予防や軽減を目指しています。特にがん治療の内容によっては、治療の開始前から歯科が介入して、がん治療に伴う口腔合併症を予防、回避するための取り組みを積極的に行っています 。

歯科受診内容 内訳

2.診療について

歯科では、がん患者さんへの歯科的支持療法のすべてを行っています。
主な診療業務は以下の通りです 。

1) がん治療開始前から介入して行う、大量化学療法や造血幹細胞移植に伴う口腔内合併症の管理
2) 化学療法、頭頸部放射線治療に伴う口腔合併症の予防や治療
3) 口腔、咽頭、食道の外科手術における、周術期感染リスク(誤嚥性肺炎などの呼吸器合併症や創部感染など)管理のための術前口腔ケア介入
4) 口腔がん術後の欠損に対して、審美性や機能の回復補綴のための装具作成
5) がん治療に関わる薬剤(ビスフォスフォネート製剤や抗ランクル抗体、血管新生抑制剤など)の副作用によって生じる顎骨壊死の予防、治療
6) 日本歯科医師会と協同し、地域でがん患者さんの口腔を支えるための医科歯科連携事業(がん患者さんの歯科的な問題を地元医療機関で対応してもらう取り組み)

1)がん治療中の口腔内合併症への対応

がん治療中には、さまざまな口腔内の症状や、口腔内の細菌が原因の合併症が起こることが知られています。  特に造血幹細胞移植や大量化学療法による骨髄抑制期の歯性感染、化学療法や頭頚部への放射線療法による口腔粘膜炎、骨転移に対するビスフォスフォネート製剤による顎骨壊死などは症状も重篤でがん治療に与える悪影響も大きく、積極的な対応が必要です。

口腔内の合併症は、それ自体が苦痛で不快なだけでなく、栄養状態を悪化させ、全身感染症の引き金になるなど、直接的、間接的にがん治療に悪影響を与えます。がん治療が安全、円滑に行われるためには、このような口腔内合併症に対して、予防、症状緩和、二次感染などの防止などを目的とした歯科の介入が重要と我々は考えています。

そのため当科では、医師、看護師と連携し、がん治療の開始前から適切な口腔衛生指導やケア、う蝕や歯周病などの口腔内感染巣の除去などの介入を行い、口腔内合併症の発生リスクをできるだけ軽減し、がん治療が安全・円滑に進めるよう、支持を行っています。

また摂食嚥下障害に伴う歯科的な対応、誤嚥性肺炎のリスク軽減のための口腔ケアや、経口摂取支援のための歯科的援助も積極的に行っています 。

がん治療中に生じる口腔内合併症

口腔ケア 風景

2)歯科補綴処置(特殊な歯科装具を用いた治療)

口腔悪性腫瘍の患者さんに対して、周術期の口腔ケアに加えて、術後の咀嚼、嚥下機能を考慮した介入を行なっています。

がん切除手術の結果生じた顎欠損、顎顔面欠損に対し専門の歯科技工士と協力して顎補綴義歯や嚥下補助装置、また顔面エピテーゼといった特殊な装具を作製し、早期の社会復帰を支援する治療を行っています 。

顎義歯治療

嚥下補助装置

エピテーゼ治療

3.研究、その他について

1)がん治療の支持療法としての口腔ケアに関する研究

がん治療中に生じるさまざまな口腔合併症の治療法や予防法の研究、特に口腔ケアによる合併症リスク軽減のエビデンス構築のための研究を中心に行っています。
山形県鶴岡市にあります、慶應義塾大学先端生命科学研究所とともに、がん患者さんの唾液中のメタボローム(微小代謝産物)を検索し、がん治療中の口腔合併症の予防や緩和に貢献できる、新たな支持療法の開発のための共同研究を行なっています。

2)日本歯科医師会との がん医科歯科連携

口腔ケアをがん治療に導入することで、がん治療中の口腔内合併症を予防・軽減し、またがん患者さんが安心して歯科治療や口腔ケアを受け、口から自然な形でおいしく食事をとることができることを目標に、日本歯科医師会と協働して、がん患者の治療前、治療中の口腔ケアや歯科治療などを地域歯科医療機関と連携して実施しています。これはがん治療前の口腔管理指導、がん治療中の口腔合併症の対応などを、患者さんがお住まいの地域の「連携歯科医師」(がん治療中も安心して地元で歯科を受診できるよう、国立がん研究センターが主催した講習会を受講し、協力歯科医として登録された日本歯科医師会会員です)と情報を共有して行ってゆく取り組みです。

現在、これらの取り組みを全国に展開するため、厚生労働省、日本歯科医師会により、全国のがん診療連携拠点病院と地域連携歯科医療機関を結ぶ「がん医科歯科連携事業」がすすんでおり、当院ではこの事業の推進をさまざまな点から支援しています 。

連携の基本的な流れ 図

定期的な歯科フォローアップ 図

全国共通がん医科歯科連携講習会テキスト・講義動画
http://ganjoho.jp/professional/med_info/koshukai_text.html がん情報サービスへのリンク

全国共通がん医科歯科連携講習会テキストおよび講義の動画は、がん対策推進基本計画(平成24年6月)に掲げられた医科歯科連携による口腔ケアによる患者のさらなる生活の質の向上を推進することを目指して、厚生労働省の委託を受け、国立がん研究センター医科歯科連携推進専門家パネルでの議論により、平成25年3月に作成されたものです。平成25年度からは、日本歯科医師会による全国共通がん医科歯科連携講習会(厚生労働省委託事業)のテキストとして使用されています。