皮膚腫瘍科 << 国立がん研究センター中央病院

皮膚腫瘍科

1.皮膚腫瘍科について
2.診療について
3.研究について

1.皮膚腫瘍科について

 皮膚腫瘍科長 (希少がんセンター 併任)
山ア 直也 (やまざき なおや)   山ア 直也 (やまざき なおや) 外来診療日:水・金
  専門医・認定医資格など:
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会 認定皮膚悪性腫瘍指導専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
皮膚悪性腫瘍は種類が多く、性質・特徴も多岐にわたりますが、そのすべてを対象に診療を行っています。特に悪性黒色腫をはじめとする悪性度の高い腫瘍の診療実績は国内トップを誇っています。
 医長 (希少がんセンター 併任)
堤田 新 (つつみだ あらた)   堤田 新 (つつみだ あらた) 外来診療日:月・金
  専門医・認定医資格など:
日本形成外科学会 専門医
日本がん治療認定医機構 暫定教育医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本形成外科学会 皮膚腫瘍外科指導専門医
皮膚悪性腫瘍全般の診療を行っています。患者さん・ご家族と共に考え、より良い治療の実現を目指しています。
 医長 (希少がんセンター 併任)
高橋 聡 (たかはし あきら)   高橋 聡 (たかはし あきら) 外来診療日:月・金
  専門医・認定医資格など:
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会 認定皮膚悪性腫瘍指導専門医
日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医 皮膚がんの治療はがんの種類、進行度、患者さんご自身の状態によっても異なります。 常に患者さん、ご家族の立場にたち、最良と思われる治療を行なうよう心がけています。
 医員 (希少がんセンター 併任)
並川 健二郎 (なみかわ けんじろう)   並川 健二郎 (なみかわ けんじろう) 外来診療日:月・水・木
  専門医・認定医資格など:
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会 認定皮膚悪性腫瘍指導専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医

皮膚の固形がんに対する診断や治療(手術、薬物療法)を担当しています。
 短期レジデント
篠田 康夫 (なかむら よしお)   中村 善雄 (なかむら よしお)
  専門医・認定医資格など:
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
皮膚悪性腫瘍の治療はここ数年で劇的に進歩し「ベストな治療」が目まぐるしく変わってきておりますが、常に患者さんに納得して頂く治療を提供できる様努力いたします。不明な点、不安な点はなんでもおっしゃってください。

皮膚腫瘍科ではすべての皮膚がんを対象に診療をしています。
現在医師はスタッフ4人、がん専門修練医1人、レジデント2人という体制で診療にあたっており、入院患者さんに対しては全員で回診を行い、外来診療はスタッフが交代で行っています。

皮膚は表面に近いところから表皮、真皮、皮下組織という3つの部分に大きく分かれます。この中には、皮膚そのものだけでなく、血管、神経、毛包(毛穴)、脂腺、汗腺、立毛筋などが含まれています。これらを構成するどこかの細胞が悪性化したものの総称を皮膚がんといいます。このため、一言で皮膚がんといってもその種類、性質は多岐にわたりますが、私たちは他のどの施設にもない多くの知識と経験を持っています。

2.診療について

疾患別検査・治療待ち時間一覧はこちら

数多い皮膚がんの中でも代表的なものについて診療内容と実績を示します。

1)悪性黒色腫

皮膚がんの中でも悪性黒色腫(メラノーマ、または「ほくろのがん」などとも呼ばれます)は最も代表的なもので、非常に悪性度の高い腫瘍として恐れられています。国立がん研究センターの皮膚科は創立以来、悪性黒色腫診療の中心的施設として、日本人の悪性黒色腫の治療成績向上に大きな役割を果たしてきました。2011年の初診患者数は国内のどの施設よりも圧倒的に多く132名でした。悪性黒色腫は皮膚のメラニン細胞や母斑細胞(ほくろ細胞)から発生し、早い時期から転移する力を持っていますので、完全に治すには早期に発見し、初回治療として十分な手術を行うことが最も重要です。またリンパ節転移の有無を小さな傷でみつけるセンチネルリンパ節(見張りリンパ節)生検という方法は、一定の技術を持った施設だけに認められていますが、当科では300例以上の治療を行っています。悪性黒色腫の薬物治療も進歩しつつあります。当科では海外ですでに使うことができる良い薬剤を早く日本でも投与できるよう新薬の治験に力を入れています。

2)有棘細胞がんと基底細胞がん

悪性黒色腫と並ぶ代表的な皮膚がんです。両者とも顔をはじめ日焼けをする部位に発生しやすく、長年にわたって受ける紫外線の悪影響の結果としてご高齢の患者さんが増えています。治療は手術で十分に切除することですが、合併症のため手術にリスクが伴う場合は別の治療法を選んだり、また手術を行う場合も顔面の変形を最小限にとどめるための工夫などを行っています。

3)乳房外パジェット病

この腫瘍は前がん状態でみつかるとよいのですが、当科には病状の進行した患者さんが数多く受診されます。乳房外パジェット病は、国際的にみても、病気の時期を判断するための病期分類(ステージ)さえつくられておらず、専門病院以外では対応の難しい疾患です。当科ではリンパ節転移のある場合の手術成績、抗がん剤による化学療法の奏効率ともに良好な成績をあげています。

4)血管肉腫

血管肉腫は非常に発生数の少ない腫瘍ですが、その悪性度は悪性黒色腫をしのぐほどです。手術の他、抗がん剤や放射線治療も効果はありますが、1つの方法で治しきることが難しいことが多く、専門知識に基づいて適切な時期に必要な治療をうまく組み合わせて行う集学的治療が必要な腫瘍です。

5)新規患者数と手術件数

皮膚腫瘍科 診療実績(疾患別初診患者数)
  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
悪性黒色腫 132 228 191 206 181
有棘細胞癌 27 34 40 45 42
基底細胞癌 28 33 38 37 42
汗腺癌 9 8 7 16 16
毛器官癌 0 1 0 1 2
乳房外パジェット病 22 18 16 22 22
ボーエン病 9 5 14 11 8
隆起性皮膚線維肉腫 10 7 13 10 2
血管肉腫 9 6 10 11 5
悪性線維性組織球腫 1 0 1 0 2
類上皮肉腫 0 0 0 0 0
皮膚悪性リンパ腫 16 15 6 11 7
メルケル細胞癌 8 1 1 3 7
その他(転移性皮膚癌など) 19 19 14 8 19
290例 375例 351例 381例 355例

主な手術術式と合計手術件数(最近5年間)
  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
悪性腫瘍広汎切除術 125 120 150 148 156
悪性腫瘍切除術 75 78 74 41 47
センチネルリンパ節生検 36 44 42 44 45
所属リンパ節郭清術 35 32 25 36 35
(頚部) 5 6 6 6 5
(腋窩) 10 10 7 11 8
(鼠径) 11 12 4 8 7
(骨盤内) 8 4 8 9 15
植皮術 29 40 23 44 43
局所皮弁術 9 8 6 15 8
遊離皮弁術 5 1 1 1 2
離断・切断術 9 14 8 5 10
357件 369件 354件 368件 346件

6)疾患別治療成績

皮膚腫瘍科 治療成績(疾患別)
  病期 2002〜2007年症例数 5年生存率(%)
悪性黒色腫 ステージIA 25 100
ステージIB 41 100
ステージIIA 21 85
ステージIIB 11 65
ステージIIC 11 76
ステージIIIA 26 61
ステージIIIB 29 49
ステージIIIC 25 60
有棘細胞癌 ステージI 39 100
ステージII 30 96
ステージIII 21 53

7)当科を受診される皆様にお伝えしたいこと

数多くの方ががんにかかり、がんに関する情報がいろいろと手に入る時代になってきましたが、私たちは、いつも自分たちの持っている専門知識を皮膚がんの患者さん、お一人お一人にできるだけ丁寧にわかりやすくお話をして、ご自身の病気や、これから受けていただく検査、治療についてよく知っていただこうと思っています。がんはこわいと思われるのは当然であると思いますし、病院に来られれば緊張なさることも多いと思いますが、どうぞ遠慮なく私たちに声をかけてください。少しでも安心して治療を受けることのできるようにお手伝いをしたいと思っています。

3.研究について

皮膚がんの治療成績向上のため、私たちはさまざまな問題に積極的に取り組んでいます。

現在、当科のスタッフが主任研究者または分担研究者となっている研究を示します。
  1. がん研究開発費「成人固形がんに対する標準治療確立のための基盤研究」JCOG1309:病理病期 II 期および III 期皮膚悪性黒色腫に対するインターフェロンβ局所投与による術後補助療法のランダム化比較第 III I相試験
  2. がん研究開発費「病院設置型加速器ホウ素中性子補足療法(BNCT)システムの開発」
  3. がん研究開発費「希少がんの早期臨床開発およびその研究支援体制確立に関する研究」
  4. がん研究開発費「がん患者の外見支援に関するガイドラインの構築に向けた研究」
  5. 厚生労働科学研究費「がん治療に伴う皮膚変化の評価方法と標準的ケアの確立に関する研究」
  6. 厚生労働科学研究費「癌特異的アポトーシスを誘導する革新的分子標的薬による難治性皮膚癌に対する治療薬の医師主導治験による実用化開発」
  7. 文部科学省 橋渡し研究加速ネットワークプログラム「癌特異的アポトーシスを誘導する革新的分子標的薬による難治性皮膚癌に対する治療薬の医師主導治験による実用化開発」
  8. 経済産業省「実用型表在性皮膚腫瘍非侵襲診断装置(ハイパースペクトラルイメージャー)の臨床評価
  9. 医師主導臨床試験「進行悪性黒色腫に対するニボルマブの有効性評価に関する観察研究」
  10. 厚生労働科学研究費「腫瘍(自己)抗原に対する免疫不応答の解除に基づいた新規がん免疫療法の基盤研究」
  11. AMED「メラノーマ局所の微小免疫環境の本態解明に基づく革新的がん免疫療法の開発」