頭頸部腫瘍科・形成外科
頭頸部腫瘍科
1.頭頸部腫瘍科について
2.診療について
3.研究について
頭頸部腫瘍科は、脳、眼球、頸椎を除く主に耳、鼻・副鼻腔、口腔、上中下咽頭喉頭、頸部食道など頭頸部の管腔臓器と耳下腺・顎下腺などの大唾液腺、甲状腺、頸部リンパ節に発生する悪性腫瘍を扱います。顔面の整容・音声言語・摂食機能といった社会生活を送るうえで重要な部位であるため、生存率のみならず機能温存を重視した治療を目標としており、保存的手術・放射線などとの複合治療も行っております。再建手術も併用することで、拡大切除が必要な場合も機能損失を最小限にとどめています。
形成外科においては、頭頸部再建領域での音声言語・摂食機能の保持、顔面整容の維持は勿論のこと、乳房再建、患肢温存療法の際の骨軟部移植、骨盤内の死腔充填、重要血管の再建など、がんの外科的治療の際に多領域にわたって形態・機能維持を行っています。特に、当センターの特徴は極力機能温存を図ることであり、必要最小限の切除、機能改善手術の併用、保存的頸部郭清術などを用いることにより、多くの患者さんに音声言語機能や摂食嚥下機能などの社会生活上重要な機能を温存することができています。また、他施設に比較して手術時間や出血量などの手術侵襲が軽度な点も大きな特徴であり、入院期間の短縮や術後の全身状態の維持にも貢献しています。
さらに術後の機能保持に関して、今までも歯科が早期に良好な義歯やプロテーゼを作成することで音声言語や摂食機能の改善を図っていましたが、さらに嚥下訓練ナースを中心として栄養部などとも協力して嚥下チームを結成することで、機能改善や早期退院のサポート体制も充実させつつあります。
放射線治療に関しては、外来通院での根治放射線療法を主体としていますが、歯科ならびに緩和ケアチームの協力も得て口腔ケアや疼痛緩和による経口摂取維持を図り、入院治療に相当するサポート体制を行えるようになったため、入院を必要とする症例が激減していることが背景にあります。今後、消化器内科との協力体制が整い次第、化学療法に関しても施行できるかと考えております。
術式別統計
また、進行がんの局所制御を目標とする際に不可欠な頸部郭清術を、疾患ごとに最適の条件で行うための手術方法を開発するための基礎研究、臨床研究を開始しています。
2.診療について
3.研究について
1.頭頸部腫瘍科について
| 医師名(ふりがな) | 役職・専門分野 | 専門医・認定医資格 | メッセージ |
| 浅井 昌大 (あさい まさお) ![]() |
頭頸部腫瘍科・形成外科 科長 |
耳鼻咽喉科専門医 頭頸部がん暫定指導医 気管食道科専門医 |
|
| 吉本 世一 (よしもと せいいち) ![]() |
外来・病棟医長 | 耳鼻咽喉科専門医 頭頸部がん暫定指導医 |
|
| 野村 務 (のむら つとむ) ![]() |
医員 | ||
| 槇 大輔 (まき だいすけ)
|
がん専門修練医 | ||
| 匂坂 正信 (さきさか まさのぶ)
|
がん専門修練医 形成外科担当 |
頭頸部腫瘍科は、脳、眼球、頸椎を除く主に耳、鼻・副鼻腔、口腔、上中下咽頭喉頭、頸部食道など頭頸部の管腔臓器と耳下腺・顎下腺などの大唾液腺、甲状腺、頸部リンパ節に発生する悪性腫瘍を扱います。顔面の整容・音声言語・摂食機能といった社会生活を送るうえで重要な部位であるため、生存率のみならず機能温存を重視した治療を目標としており、保存的手術・放射線などとの複合治療も行っております。再建手術も併用することで、拡大切除が必要な場合も機能損失を最小限にとどめています。
2.診療について
国立がん研究センター(旧国立がんセンター)としての頭頸科は古くから存在するというよりも、「頭頸科」という名称の発祥の施設でもありますが、当センターにおいて東病院が柏に設立された際に病院間の分業化のため、98年1月に一旦、中央病院での頭頸科の入院診療を中止し、その機能を東病院にすべて移した経緯があります。しかしその後、中央病院での頭頸科診療はすぐに再開されましたが、病床数の減少、手術件数の制約などの問題が残り、現在は頭頸部腫瘍科の診療スタッフは4名、歯科1名と縮小した構成メンバーとなっております。現在も東病院と比較して病床数、手術件数、スタッフ数のいずれも少ないのですが、化学療法に関係した治療が行えないことを除けば同等の治療が可能です。つまり、中央病院での診療の主体は手術となります。放射線治療に関しても、東病院と比較して陽子線設備はありませんが、放射線治療科において強度変調放射線治療などの最先端治療を受けることが可能です。形成外科においては、頭頸部再建領域での音声言語・摂食機能の保持、顔面整容の維持は勿論のこと、乳房再建、患肢温存療法の際の骨軟部移植、骨盤内の死腔充填、重要血管の再建など、がんの外科的治療の際に多領域にわたって形態・機能維持を行っています。特に、当センターの特徴は極力機能温存を図ることであり、必要最小限の切除、機能改善手術の併用、保存的頸部郭清術などを用いることにより、多くの患者さんに音声言語機能や摂食嚥下機能などの社会生活上重要な機能を温存することができています。また、他施設に比較して手術時間や出血量などの手術侵襲が軽度な点も大きな特徴であり、入院期間の短縮や術後の全身状態の維持にも貢献しています。
さらに術後の機能保持に関して、今までも歯科が早期に良好な義歯やプロテーゼを作成することで音声言語や摂食機能の改善を図っていましたが、さらに嚥下訓練ナースを中心として栄養部などとも協力して嚥下チームを結成することで、機能改善や早期退院のサポート体制も充実させつつあります。
放射線治療に関しては、外来通院での根治放射線療法を主体としていますが、歯科ならびに緩和ケアチームの協力も得て口腔ケアや疼痛緩和による経口摂取維持を図り、入院治療に相当するサポート体制を行えるようになったため、入院を必要とする症例が激減していることが背景にあります。今後、消化器内科との協力体制が整い次第、化学療法に関しても施行できるかと考えております。
診療実績
外科的治療を施行した症例数| 2007年 | 2008年 | 2009年 | |
| 舌がん | 38 | 31 | 46 |
| 舌以外の口腔悪性腫瘍 | 27 | 20 | 24 |
| 中咽頭がん | 15 | 22 | 20 |
| 下咽頭がん | 27 | 20 | 30 |
| 喉頭がん | 16 | 11 | 9 |
| 大唾液腺がん | 15 | 11 | 16 |
| 鼻副鼻腔がん | 5 | 5 | 12 |
| 甲状腺がん | 21 | 7 | 17 |
| 頸部転移がん | 37 | 39 | 25 |
| その他 | 0 | 1 | 0 |
| 計 | 191 | 167 | 199 |
術式別統計
| 2007年 | 2008年 | 2009年 | |
| 舌切除(再建例) | 38(6) | 31(6) | 46(8) |
| 舌以外の口腔腫瘍切除(再建) | 27(6) | 20(10) | 24(4) |
| 中咽頭切除(再建例) | 15(6) | 22(7) | 20(11) |
| 咽喉頭頸部食道摘出 | 12 | 15 | 14 |
| 喉頭温存下咽頭部分切除 | 1 | 2 | 11 |
| 内視鏡的下咽頭切除 | 14 | 3 | 5 |
| 喉頭全摘 | 9 | 9 | 6 |
| 喉頭部分切除 | 3 | 2 | 3 |
| 拡大喉頭摘出 | 4 | 0 | 0 |
| 上顎切除(再建) | 5(4) | 5(3) | 12(3) |
| 甲状腺切除 | 21 | 7 | 17 |
| 耳下腺切除 | 15 | 10 | 16 |
| 頸部郭清単独 | 37 | 40 | 25 |
| その他 | 87 | 88 | 110 |
| 計 | 287 | 253 | 309 |
3.研究について
以上の診療活動に加えて、口腔ケアなどの支持療法を活用することで放射線治療の完遂率を向上させるための研究を当センターを中心とした多施設共同研究を遂行しています。また緩和ケアを早期より導入することで治療の疼痛を軽減し、結果的に副作用、合併症を軽減して治療完遂率を向上させるような検討を開始しています。当センター独自の試みとしては、前述の嚥下チームによる肺炎防止のための口腔ケアと嚥下訓練を行う組織作りを行うことで、従来と比較して治療効果が向上するかどうかを検討する試験も計画しています。また、進行がんの局所制御を目標とする際に不可欠な頸部郭清術を、疾患ごとに最適の条件で行うための手術方法を開発するための基礎研究、臨床研究を開始しています。


