脳神経グループ
1.脳神経グループについて
2.診療について
3.研究について
4.展望
国立がんセンター中央病院脳神経グループでは、脳腫瘍、特に悪性脳腫瘍を対象とした治療を行っています。悪性脳腫瘍は脳自体から発生する原発性脳腫瘍と他臓器の悪性腫瘍が原因となる転移性脳腫瘍に分けられます。原発性脳腫瘍の中でも悪性神経膠腫、その中の膠芽腫(Glioblastoma)はあらゆるがんの中で最も治療成績が悪く、5年生存率は全国平均7%(当グループでの治療成績12%)であり、手術・化学療法・放射線治療の進歩にもかかわらず、残念ながらこの40年間大きな変化はありません。膠芽腫は急激に神経症状が悪化するため、初回入院時の一般全身状態(Karnofsky performance status (KPS):正常を100、死亡を0とした全身状態のスケール)が70以下(一人では生活が困難)の患者さんが4割を占め、その平均生存期間は6ヶ月程度です。一方、KPSが90以上(軽い神経症状のみ)の膠芽腫に限ると5年生存率は約30%です。膠芽腫の全症例の5年生存率を30%にすることが我々の当面の目標です。
国民の2人に1人ががんになる時代です。毎年約50万人ががんに罹患し、30万人ががんで亡くなります。がんによる死亡患者のうち10万人程度が転移性脳腫瘍を合併し、約3万人が転移性脳腫瘍により死亡していると推定されています。転移性脳腫瘍をどう治療していくか、今後はますます真剣に考えていく必要があります。転移性脳腫瘍に対するガンマナイフの治療効果は高く、手術かガンマナイフだけで十分と考えがちですが、転移性脳腫瘍に対する世界の標準治療は、全脳照射を組み合わせた治療であることを理解して実践している脳外科医は多くありません。転移性脳腫瘍の平均生存期間は1年程度であり、患者さんのQOLを考えた治療を行うために、エビデンスに基づいた治療法を理解し、脳外科医だけでなく、原発のがんを担当する内科グループ・外科グループそして放射線グループ・緩和ケアチームの医師とも密に連携して治療を行っていく必要があります。
開頭腫瘍摘出術は年間100件あまりで、すべての開頭手術に術中ナビゲーションシステムを使用し、腫瘍の位置および正常構造との関係を確認し、また、誘発電位を用いて電気生理学的に機能局在を調べ、さらに最近では、覚醒下手術により、術中に患者さんと会話をしながら、手術に伴う機能障害出現の予防に努めています。新たな障害を発生させず、最大限腫瘍を摘出する手術を行うことが治療の第一歩ですが、悪性脳腫瘍では、引き続き放射線治療や化学療法が必要です。放射線治療については、放射線治療医とともに全症例について、照射線量、照射範囲を検討しつつ治療を行っています。
国立がんセンター中央病院脳神経グループの入院数・手術数

2.診療について
3.研究について
4.展望
1.脳神経グループについて
| 担当医師名 | 外来診察日 | 診療科 専門分野 |
| 澁井 壯一郎 (しぶい そういちろう) ![]() |
火(隔週)・木 | 脳神経外科 グループ責任者、医長 |
| 成田 善孝 (なりた よしたか) ![]() |
金 | 脳神経外科 医長 |
| 宮北 康二 (みやきた やすじ) ![]() |
火(隔週) | 脳神経外科 医員 |
国立がんセンター中央病院脳神経グループでは、脳腫瘍、特に悪性脳腫瘍を対象とした治療を行っています。悪性脳腫瘍は脳自体から発生する原発性脳腫瘍と他臓器の悪性腫瘍が原因となる転移性脳腫瘍に分けられます。原発性脳腫瘍の中でも悪性神経膠腫、その中の膠芽腫(Glioblastoma)はあらゆるがんの中で最も治療成績が悪く、5年生存率は全国平均7%(当グループでの治療成績12%)であり、手術・化学療法・放射線治療の進歩にもかかわらず、残念ながらこの40年間大きな変化はありません。膠芽腫は急激に神経症状が悪化するため、初回入院時の一般全身状態(Karnofsky performance status (KPS):正常を100、死亡を0とした全身状態のスケール)が70以下(一人では生活が困難)の患者さんが4割を占め、その平均生存期間は6ヶ月程度です。一方、KPSが90以上(軽い神経症状のみ)の膠芽腫に限ると5年生存率は約30%です。膠芽腫の全症例の5年生存率を30%にすることが我々の当面の目標です。
国民の2人に1人ががんになる時代です。毎年約50万人ががんに罹患し、30万人ががんで亡くなります。がんによる死亡患者のうち10万人程度が転移性脳腫瘍を合併し、約3万人が転移性脳腫瘍により死亡していると推定されています。転移性脳腫瘍をどう治療していくか、今後はますます真剣に考えていく必要があります。転移性脳腫瘍に対するガンマナイフの治療効果は高く、手術かガンマナイフだけで十分と考えがちですが、転移性脳腫瘍に対する世界の標準治療は、全脳照射を組み合わせた治療であることを理解して実践している脳外科医は多くありません。転移性脳腫瘍の平均生存期間は1年程度であり、患者さんのQOLを考えた治療を行うために、エビデンスに基づいた治療法を理解し、脳外科医だけでなく、原発のがんを担当する内科グループ・外科グループそして放射線グループ・緩和ケアチームの医師とも密に連携して治療を行っていく必要があります。
2.診療について
国立がんセンター脳神経グループは悪性脳腫瘍の専門診療科で、悪性脳腫瘍の患者さんがいかに元気に有意義な生活を送ることができるかを常に考えながら、診療・研究を行っています。神経膠腫の手術・症例数は全国でも有数で、新規に治療をはじめる神経膠腫症例は年間50人以上です。開頭腫瘍摘出術は年間100件あまりで、すべての開頭手術に術中ナビゲーションシステムを使用し、腫瘍の位置および正常構造との関係を確認し、また、誘発電位を用いて電気生理学的に機能局在を調べ、さらに最近では、覚醒下手術により、術中に患者さんと会話をしながら、手術に伴う機能障害出現の予防に努めています。新たな障害を発生させず、最大限腫瘍を摘出する手術を行うことが治療の第一歩ですが、悪性脳腫瘍では、引き続き放射線治療や化学療法が必要です。放射線治療については、放射線治療医とともに全症例について、照射線量、照射範囲を検討しつつ治療を行っています。
3.研究について
新しい治療の開発も積極的に行っており、神経膠腫や転移性脳腫瘍に対する臨床試験・治験・新規治療開発・基礎研究などさまざまな試みも実施しています。臨床的には、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)脳腫瘍グループの代表者施設として、全国30の大学を中心とする脳神経外科施設をまとめ、大規模な多施設共同試験を行い、新たな標準治療の開発に努めています。通常の治療で再発をした患者さんに対しては、新規の化学療法剤や免疫治療を取り入れています。また、基礎研究としては、脳腫瘍の遺伝子解析を行い、その患者さんにとってより有効な治療の検索も行っています。4.展望
当グループでの治療を希望される患者さんの増加に伴い、入院患者数、手術患者数はグラフに示すように、年々増加しています。現状で、私たちが責任をもって受け入れられる限り、できるだけ多くの患者さんの要望にこたえていきたいと考えて日常の診療を行っています。また、悪性脳腫瘍の治療を行える医師の育成も私たちの責務と考え、レジデントや研修医を積極的に受け入れ、その教育も行っています。当院で教育を受けた医師たちとともに、今後さらに有効で安全な悪性腫瘍の治療の開発に努めて行きたいと考えています。国立がんセンター中央病院脳神経グループの入院数・手術数



