病理科・臨床検査科
病理科
1.病理科について
2.診療について
3.研究について

当部門の業務は、病理医と臨床検査技師との共同作業による組織診断、細胞診断、病理解剖、ならびに各診療グループとのカンファレンスです。これらの業務を通じて臨床医へ精度の高い診断情報の提供を行っています。2011年は生検診断13,430件、術中迅速診断1,858件、手術標本診断3,642件、細胞診断15,380件(うち術中迅速診断402件)、剖検は28件でした。病理診断については通常のヘマトキシリン-エオジン染色標本の検鏡の他、免疫組織化学や特殊染色による検索も積極的に行っています。また乳がん、肺がん、悪性リンパ腫、軟部腫瘍(肉腫)では組織や細胞診標本を用いた遺伝子検索も活用しています。診断にあたっては病理科スタッフとともに研究所分子病理分野、がんゲノミクス研究分野からの支援を得ています。病理解剖件数はここ数年横ばいの傾向にありますが、剖検による死因、病態ならびに治療効果とその副作用の評価は今後の診療レベル向上に不可欠なものであることから、重要な業務として取り組んでいます。

剖検ならびに外科病理診断に関する病理部門内のカンファレンスは毎週開催され、さらに臨床各科との頻繁なカンファレンスを通じて、治療方針あるいは治療結果の総合的な検討を行っています。またがんネットワークを通じて他病院(15施設)の病理医とテレビ会議方式によるカンファレンスを定期的に(昨年度は3回)開催し、種々の病理情報の交換や組織診断基準の標準化、精度向上などを目指しています。
このほか、2010年から開始された病理相談外来(セカンドオピニオン外来)での病理診断、がん対策情報センター病理診断コンサルテーション仲介業務(兼任)、築地バイオバンクの手術検体保存なども行っており、病理診断の標準化、がん研究の基盤構築にも力を注いでいます。
表1 病理科で行われた診断件数(延べ患者数)
表2 病理科で行われた細胞診断件数(延べ患者数)
表3 病理科で行われた病理解剖(剖検)件数
1)消化管腫瘍部門
胃がんにおけるHER2蛋白の発現および遺伝子増幅に関する研究、胃がんにおけるリンパ節転移のOSNA法による検出に関する研究に着手しました。
2)肺・縦隔・胸膜腫瘍部門
2cm以下の肺腺癌において脈管侵襲陽性、10mm以上の浸潤性成分、30%以上の充実性/篩状/乳頭状成分の3因子をスコアリングすることにより、予後予測に有用であることを報告しました。また、今回多数例において微小浸潤腺癌では再発がないことを確認しました。肺切除検体の2%において5個以上の異型腺腫様過形成(AAH)がみられ、多くのAAHは2mm未満であり5mmを超えるものはほとんど見られないことを見出しました。多発AAHを背景に有する腺癌症例では、多くは組織学的にはAAH由来に見えるが、AAH-腺癌シークエンスの頻度は低く、腺癌の予後は決して良好でないことを報告しました。
3)乳腺・婦人科腫瘍部門
同一の乳癌症例において、その針生検検体と手術検体におけるHER2蛋白の過剰発現と遺伝子増幅を比較しました。泌尿生殖器奇形を有する患者に発生した腟原発明細胞癌の1例を報告しました。臨床病期IV期の内膜癌患者の臨床像および予後について報告しました。
4)骨軟部腫瘍部門
免疫組織学的にMDM2およびCDK4が、低悪性度骨肉腫と良性類似疾患との鑑別に有用であることを明らかにしました。低悪性度骨肉腫様成分を伴う高分化脂肪肉腫の臨床病理学的特徴を報告しました。さらに軟部発生血管芽腫の1例を報告しました。
5)皮膚腫瘍部門
悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節転移に関する臨床病理学的研究を行いました。
6)臨床研究における中央病理診断および精度評価
小型肺腺癌、高悪性度神経内分泌肺癌、悪性中皮腫の中央病理診断および病理学的治療効果判定の標準化に寄与しました。日本病理学会、日本乳癌学会と合同で、乳癌におけるHER2蛋白およびホルモン受容体の発現検索に関する全国的な精度管理システムの樹立に先立ち、各施設における現況についてアンケート調査を実施しました。
7) がん取扱い規約の改訂
「胃癌取り扱い規約第14版」、「肺癌取り扱い規約第7版」、「子宮頚癌取り扱い規約第3版」の改訂に寄与しました。

2.診療について
3.研究について
1.病理科について
| 医師名(ふりがな) | 役職・専門分野 | 専門医・認定医資格 | メッセージ |
| 津田 均 (つだ ひとし) ![]() |
病理科・臨床検査科 科長 病理学 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 日本臨床細胞学会専門医 |
医師と技師の協力の下、病理・臨床検査の実践、研究を通じてがん治療成績向上に貢献できればと考えています。 |
| 九嶋 亮治 (くしま りょうじ) ![]() |
医長 病理科 病理学 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 日本臨床細胞学会専門医 |
病理診断学、特に消化管病理を専門とし、細胞診と骨軟部腫瘍にも取り組んでいます。 |
| 蔦 幸治 (つた こうじ) ![]() |
医長 病理科 呼吸器病理 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 日本臨床細胞学会専門医 |
呼吸器病理・細胞診を専門としております。 |
| 前島 亜希子 (まえしま あきこ) ![]() |
医員 病理科 外科病理 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 日本臨床細胞学会専門医 |
血液・乳腺・脳・頭頸・細胞診を担当しています。 |
| 谷口 浩和 (たにぐち ひろかず) ![]() |
医員 病理科 外科病理 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 臨床検査管理医 |
消化管・血液病理を担当しています。 |
| 吉田 正行 (よしだ まさゆき) ![]() |
医員 病理科 外科病理 |
日本病理学会専門医 日本臨床細胞学会専門医 |
婦人科、乳腺を主に担当しています。 |
| 吉田 朗彦 (よしだ あきひこ) ![]() |
医員 病理科 外科病理 |
日本病理学会専門医 アメリカ合衆国病理認定医 |
骨軟部腫瘍、肺腫瘍、脳腫瘍担当 |
| 笹島 ゆう子 (ささじま ゆうこ) ![]() |
医員(非常勤) 病理科 婦人科病理 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 日本臨床細胞学会専門医 |
婦人科腫瘍の診断を担当しています。(火曜日) |
| 大友 梨恵 (おおとも りえ) ![]() |
がん専門修練医 外科病理 |
日本病理学会専門医 日本臨床細胞学会専門医 |
的確な診断を目指します。 |
| 松原 亜季子 (まつばら あきこ) ![]() |
がん専門修練医 外科病理 |
日本病理学会専門医 日本臨床細胞学会専門医 |
限られた時間の中で一歩でも先に進めるよう努力します。 |
| 服部 行紀 (はっとり ゆきのり) ![]() |
レジデント 外科病理 |
早く正確な情報をお届けできるよう努力しています。 | |
| 助田 葵 (すけだ あおい)
|
レジデント 外科病理 |
必要な情報を的確にお伝えできるよう努力しています。 | |
| 萬 昂士 (よろず たかし) ![]() |
レジデント 外科病理 |
正確な診断を目指して日々精進しています。 | |
| 伊藤 絢子 (いとう じゅんこ) ![]() |
レジデント 外科病理 |
正確な診断ができるように努力します。 | |
| 永友 真佐代 (ながとも まさよ) ![]() |
レジデント 外科病理 |
早く的確な診断ができるよう、日々努力しています。 | |
| 福島 慎太郎 (ふくしま しんたろう) ![]() |
リサーチレジデント 外科病理 |
日本脳神経外科学会専門医 | お役にたてるよう頑張っています。 |
| 金井 弥栄 (かない やえ) ![]() |
研究所分子病理分野分野長 (中央病院併任) 腫瘍病理学 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 日本臨床細胞学会専門医 |
泌尿器腫瘍担当 |
| 平岡 伸介 (ひらおか のぶよし) ![]() |
研究所分子病理分野ユニット長 (中央病院併任) 病理学 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 |
膵・胆道系腫瘍病理を専門としています。 |
| 関根 茂樹 (せきね しげき) ![]() |
研究所分子病理分野ユニット長 (中央病院併任) 消化管病理 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 |
消化管腫瘍担当 |
| 尾島 英知 (おじま ひでのり) ![]() |
研究所分子病理分野研究員 (中央病院併任) 腫瘍病理学 |
日本病理学会専門医 病理専門医研修指導医 |
肝臓・胆道系腫瘍を専門としております。 |
| 新井 恵吏 (あらい えり) ![]() |
研究所分子病理分野研究員 (中央病院併任) 腫瘍病理学 |
日本病理学会専門医 | 泌尿器腫瘍担当 |
| 柴田 龍弘 (しばた たつひろ) ![]() |
研究所がんゲノミクス研究分野研究分野長 (中央病院併任) 乳腺病理担当 |
日本病理学会専門医 | 国際がんゲノムプロジェクトの主任研究者として、次世代シークエンサーを用いた種々の解析を行っています。 |
| 森 泰昌 (もり たいすけ) ![]() |
研究所分子病理分野研究員 (中央病院併任) |
日本病理学会口腔病理専門医 | 頭頸部・眼病理を担当しています。 |
2.診療について

当部門の業務は、病理医と臨床検査技師との共同作業による組織診断、細胞診断、病理解剖、ならびに各診療グループとのカンファレンスです。これらの業務を通じて臨床医へ精度の高い診断情報の提供を行っています。2011年は生検診断13,430件、術中迅速診断1,858件、手術標本診断3,642件、細胞診断15,380件(うち術中迅速診断402件)、剖検は28件でした。病理診断については通常のヘマトキシリン-エオジン染色標本の検鏡の他、免疫組織化学や特殊染色による検索も積極的に行っています。また乳がん、肺がん、悪性リンパ腫、軟部腫瘍(肉腫)では組織や細胞診標本を用いた遺伝子検索も活用しています。診断にあたっては病理科スタッフとともに研究所分子病理分野、がんゲノミクス研究分野からの支援を得ています。病理解剖件数はここ数年横ばいの傾向にありますが、剖検による死因、病態ならびに治療効果とその副作用の評価は今後の診療レベル向上に不可欠なものであることから、重要な業務として取り組んでいます。

剖検ならびに外科病理診断に関する病理部門内のカンファレンスは毎週開催され、さらに臨床各科との頻繁なカンファレンスを通じて、治療方針あるいは治療結果の総合的な検討を行っています。またがんネットワークを通じて他病院(15施設)の病理医とテレビ会議方式によるカンファレンスを定期的に(昨年度は3回)開催し、種々の病理情報の交換や組織診断基準の標準化、精度向上などを目指しています。
このほか、2010年から開始された病理相談外来(セカンドオピニオン外来)での病理診断、がん対策情報センター病理診断コンサルテーション仲介業務(兼任)、築地バイオバンクの手術検体保存なども行っており、病理診断の標準化、がん研究の基盤構築にも力を注いでいます。
表1 病理科で行われた診断件数(延べ患者数)
| 受診診療科 | 2009年 | 2010年 | 2011年 |
| 脳脊髄腫瘍科 | 206 | 263 | 234 |
| 眼腫瘍科 | 67 | 90 | 67 |
| 頭頸部腫瘍科 | 636 | 599 | 545 |
| 乳腺外科 | 1,781 | 1,727 | 1,855 |
| 乳腺・腫瘍内科 | 257 | 243 | 346 |
| 呼吸器外科 | 1,030 | 1,088 | 920 |
| 呼吸器内科 | 167 | 147 | 158 |
| 食道外科 | 463 | 525 | 500 |
| 胃外科 | 1,293 | 1,413 | 1,532 |
| 大腸外科 | 970 | 971 | 1,025 |
| 消化管内科 | 844 | 774 | 914 |
| 消化管内視鏡科 | 3,312 | 3,490 | 3,805 |
| 肝胆膵外科 | 471 | 477 | 457 |
| 肝胆膵内科 | 199 | 172 | 152 |
| 泌尿器・後腹膜腫瘍科 | 885 | 850 | 988 |
| 婦人腫瘍科 | 1,180 | 1,131 | 1,123 |
| 骨軟部腫瘍科 | 410 | 459 | 523 |
| 皮膚腫瘍科 | 448 | 464 | 496 |
| 血液腫瘍科 | 951 | 908 | 889 |
| 造血幹細胞移植科 | 409 | 429 | 448 |
| 小児腫瘍科 | 41 | 64 | 77 |
| 放射線診断科、呼吸器内視鏡科 | 342 | 370 | 483 |
| 放射線治療科 | 71 | 78 | 105 |
| その他の診療科 | 42 | 47 | 45 |
| がん予防検診研究センター | 945 | 749 | 726 |
| 総計 | 17,420 | 17,528 | 18,413 |
表2 病理科で行われた細胞診断件数(延べ患者数)
| 部位 | 2009年 | 2010年 | 2011年 |
| 脳神経、皮膚、眼、軟部腫瘍 | 405 | 475 | 511 |
| 頭頸部 | 109 | 98 | 109 |
| 乳腺 | 112 | 118 | 137 |
| 呼吸器 | 684 | 673 | 748 |
| 消化器 | 263 | 221 | 235 |
| 泌尿器 | 3,287 | 3,260 | 3,277 |
| 婦人科 | 7,926 | 7,326 | 6,893 |
| 体腔液 | 1,241 | 1,298 | 1,178 |
| 血液・リンパ腫 | 89 | 67 | 70 |
| その他の部位 | 447 | 382 | 444 |
| がん予防検診研究センター | 2,257 | 2095 | 1,778 |
| 総数 |
16,820 | 16,013 | 15,380 |
表3 病理科で行われた病理解剖(剖検)件数
| 診療科 | 2009年 | 2010年 | 2011年 |
| 脳脊髄腫瘍科 | 2 | 2 | 1 |
| 乳腺・腫瘍内科 | 7 | 4 | 5 |
| 呼吸器内科 | 6 | 10 | 4 |
| 消化管内科、肝胆膵内科 | 5 | 7 | 0 |
| 泌尿器・後腹膜腫瘍科 | 0 | 1 | 5 |
| 骨軟部腫瘍科 | 2 | 0 | 0 |
| 皮膚腫瘍科 | 5 | 3 | 3 |
| 血液腫瘍科 | 8 | 4 | 6 |
| 造血幹細胞移植科 | 3 | 4 | 3 |
| 小児腫瘍科 | 1 | 0 | 0 |
| その他の診療科 | 5 | 8 | 1 |
| 総数 | 44 | 43 | 28 |
3.研究について
病理科では診断に直結する外科病理学的研究も積極的に行っており、研究所、臨床各科および他施設との研究協力も積極的に行われています。2010年における研究活動を以下に要約します。1)消化管腫瘍部門
胃がんにおけるHER2蛋白の発現および遺伝子増幅に関する研究、胃がんにおけるリンパ節転移のOSNA法による検出に関する研究に着手しました。
2)肺・縦隔・胸膜腫瘍部門
2cm以下の肺腺癌において脈管侵襲陽性、10mm以上の浸潤性成分、30%以上の充実性/篩状/乳頭状成分の3因子をスコアリングすることにより、予後予測に有用であることを報告しました。また、今回多数例において微小浸潤腺癌では再発がないことを確認しました。肺切除検体の2%において5個以上の異型腺腫様過形成(AAH)がみられ、多くのAAHは2mm未満であり5mmを超えるものはほとんど見られないことを見出しました。多発AAHを背景に有する腺癌症例では、多くは組織学的にはAAH由来に見えるが、AAH-腺癌シークエンスの頻度は低く、腺癌の予後は決して良好でないことを報告しました。
3)乳腺・婦人科腫瘍部門
同一の乳癌症例において、その針生検検体と手術検体におけるHER2蛋白の過剰発現と遺伝子増幅を比較しました。泌尿生殖器奇形を有する患者に発生した腟原発明細胞癌の1例を報告しました。臨床病期IV期の内膜癌患者の臨床像および予後について報告しました。
4)骨軟部腫瘍部門
免疫組織学的にMDM2およびCDK4が、低悪性度骨肉腫と良性類似疾患との鑑別に有用であることを明らかにしました。低悪性度骨肉腫様成分を伴う高分化脂肪肉腫の臨床病理学的特徴を報告しました。さらに軟部発生血管芽腫の1例を報告しました。
5)皮膚腫瘍部門
悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節転移に関する臨床病理学的研究を行いました。
6)臨床研究における中央病理診断および精度評価
小型肺腺癌、高悪性度神経内分泌肺癌、悪性中皮腫の中央病理診断および病理学的治療効果判定の標準化に寄与しました。日本病理学会、日本乳癌学会と合同で、乳癌におけるHER2蛋白およびホルモン受容体の発現検索に関する全国的な精度管理システムの樹立に先立ち、各施設における現況についてアンケート調査を実施しました。
7) がん取扱い規約の改訂
「胃癌取り扱い規約第14版」、「肺癌取り扱い規約第7版」、「子宮頚癌取り扱い規約第3版」の改訂に寄与しました。






















