呼吸器腫瘍科
呼吸器内視鏡科
1.呼吸器内視鏡科について
2.診療について
一方CTなどの画像診断の進歩で、肺の末梢(奥の方)にある極めて小さな異常までも発見されるようになりました。これらは気管支鏡で直接観察することはできないので、通常はX線の透視下に検査を行いますが、当院ではCTを撮影しながら気管支鏡検査を行うシステムも世界で最初に開発し、これは「高度先進医療」としても認められ、最近は他の施設でも取り入れるところが増えてきています。
さらに最近では、検査室内で採取した組織を、その場ですぐに顕微鏡で迅速診断を行うことで、その後の無駄な検査を省くこともできるようになりました。また麻酔の進歩でほとんど眠っている間に検査もできるようになり、できるだけ患者さんに負担をかけず、しかも精度の高い検査を行う工夫が重ねられています。
一方、気管支鏡を使用した治療面では、消化器に比べると数は少ないのですが、極めて早期の肺門部がんに対してはレーザー治療や、気管支の中から放射線を照射する治療なども行なわれています。また、進行がんによる気管支の狭窄に対しては、ステントというバネのような金属の網のような道具を挿入したり、レーザーによる拡張なども行われております。これはがんの根本的な治療ではありませんが、一時的ではあっても楽に呼吸ができるようになり、自宅でご家族と過ごせる時間を長くすることに役立っています。
当科では、気管支鏡そのもの、およびそれに関連する機器の開発、気管支鏡検査の精度向上に関する検査方法の改良などの研究を精力的に行って、全国でも最も高い診断精度を保っています。
検査は月曜から金曜日まで毎日行っていますが、気管支鏡で太い気管支の内腔を観察したり治療したりする日と、X線やCTを使って肺の末梢の病巣から組織を採取する検査を行う曜日を定めています。
気管や気管支は、普段は空気しか通らない非常に敏感な場所なので、そこに異物である気管支鏡を通すためには充分な麻酔が必要です。麻酔を行うには、霧吹きのような道具で麻酔薬をのどから吹き込み、これを胸一杯に吸い込むようにしていただきます。麻酔薬も異物ですので最初は少し咳が出ますが、気にせず吸い込み続けると咳が出なくなりますので、検査が楽にできるようになります。
充分に麻酔がかかったところで検査を始めますが、検査が長引きそうな場合や患者さんの状態によっては安定剤も使用します。細かい作業の時に短時間息を止めていただくこともあるので、完全な全身麻酔にはなりませんが、ウトウトしているうちに検査は終了します。
検査後は1時間ほど休んでからお帰りいただきますが、場合によってはその後胸のレントゲン写真などを撮影し、合併症が出ていないかどうかを確認することもあります。
検査後、安定剤の作用が残っていると、お酒に酔ったような感じになることもありますので、当日は車の運転はできません。また安全にご自宅までお帰りできるように、付き添いの方とお出でいただくようにお願いしています。ご高齢の方や病状によっては入院して検査も行いますが、原則としては外来ですべての検査を行うことが可能です。
検査件数は年間500例程度であり、内訳はX線やCTガイドでの末梢の病巣に対する検査が300例程度、気管支の太い部分の観察や診断を行なう検査が200例程度で、いずれも全国的にみてもかなり多い数の検査数になっています。気管支鏡を用いた治療はすべてを合わせて年間20例程度で、それほど多いとはいえませんが、今後の増加が見込まれています。
したがって、確実な診断がつかない場合には、皮膚から直接病巣に針を刺す「針生検」、あるいは全身麻酔下での手術による「開胸生検」または「胸腔鏡生検」などを行わなくてはならない場合もあります。またCTなどの画像診断でほぼ確実に肺がんと思われる場合には、気管支鏡や針生検の結果の如何に関わらず手術が必要になりますので、これらの検査は省略し直接に開胸生検から手術の方針とすることもあります。
呼吸器内視鏡科としては単独での外来は行っておりませんので、肺がんが心配で検査を希望される場合や、気管支鏡的な治療を希望される場合には、呼吸器外来の中の「呼吸器内視鏡」の外来をまず受診し、その外来の担当者に診断方法や治療方法についてご相談ください。
気管支鏡検査、治療実績
以前は、気管支鏡検査は苦しい検査の代表のようにいわれていましたが、最近の検査機器の改良や新しい麻酔方法の導入などで、消化管の検査と同等あるいはそれ以下の苦痛でも行える検査になりつつあります。
医師や看護師の説明をよくお聞きになり、リラックスして検査を受けていただくことが最も大切です。どうぞ安心して検査をお受けになってください。
2.診療について
1.呼吸器内視鏡科について
| 医師名(ふりがな) | 役職・専門分野 | 専門医・認定医資格 | メッセージ |
| 笹田 真滋 (ささだ しんじ) ![]() |
医長 呼吸器内視鏡・呼吸器インターベンション |
日本内科学会認定医 日本呼吸器学会専門医・指導医 日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医 日本がん治療認定機構がん治療認定医 日本結核病学会結核・抗酸菌症認定医 |
呼吸器内視鏡(気管支鏡、局所麻酔下胸腔鏡)での胸部疾患の診断を専門としています。気道狭窄に対するステント留置やレーザー焼灼などの呼吸器インターベンションにも積極的に取り組んでいます。 |
| 土田 敬明 (つちだ たかあき) ![]() |
医長 肺がん画像診断 気管支鏡検査・治療 |
日本外科学会専門医 日本呼吸器内視鏡学会専門医 日本臨床細胞学会専門医 日本レーザー医学会レーザー認定医2種 |
肺がんのX線写真での画像診断と、気管支鏡による確定診断および治療を行なっています。 |
| 中村 有希子 (なかむら ゆきこ) ![]() |
医員 呼吸器内視鏡・トランスレーショナルリサーチ |
日本内科学会認定医 日本呼吸器学会専門医 日本呼吸器内視鏡学会専門医 |
肺がんの個別化医療につながる気管支鏡診断を目指します。 |
| 出雲 雄大 (いづも たけひろ) ![]() |
がん予防・検診研究センター医員(中央病院併任) 呼吸器内視鏡・超音波気管支鏡 |
日本内科学会認定医・指導医 日本呼吸器学会専門医 日本呼吸器内視鏡学会専門医 日本がん治療認定機構がん治療認定医 日本アレルギー学会専門医 ICD(インフェクションコントロールドクター) 日本医師会認定産業医 |
呼吸器内視鏡の中でも特に超音波気管支鏡(EBUS)を専門としています.患者さん一人一人に世界で最高レベルの気管支鏡診断と治療を提供できるよう努めています.新しい診断および治療技術の開発にも力をいれています。 |
| 三森 友靖 (みもり ともやす) ![]() |
がん専門修練医 呼吸器内視鏡・呼吸器疾患全般 |
日本内科学会認定医 日本呼吸器内視鏡学会専門医 日本がん治療認定機構がん治療認定医 |
気管支鏡を用いた診断、治療の質の向上を目指します。 |
| 岡藤 浩平 (おかふじ こうへい) ![]() |
短期レジデント 呼吸器内視鏡・呼吸器疾患全般 |
日本内科学会認定医 日本結核病学会結核・抗酸菌症認定医 日本化学療法学会認定医 ICD(インフェクションコントロールドクター) 日本禁煙学会認定指導医 |
苦痛の少ない、丁寧且つ精度の高い内視鏡検査・治療を心掛けています。 |
活動の歴史と成果
国立がん研究センター発足当時の気管支鏡は、1本の金属のパイプで、これを口からのどを通って気管から肺の中まで入れるという、患者さんにとっても医師にとっても非常に大変な検査で、しかも観察できる範囲は狭く、適応も非常に限られたものでした。何とか楽に検査を行っていただきたいという願いのもとに、当院の池田茂人医長(当時)が中心になって研究が進められ、1966年に世界で最初に、現在のものの原型となる柔らかい気管支ファイバースコープを完成させることができました。その後も改良を重ねることにより、たちまち全世界に広まり、観察できる範囲は飛躍的に広がり、長時間の検査も可能になり診断の精度も著しく向上し、さらに今では気管支電子スコープと進化し画質も向上しています。一方CTなどの画像診断の進歩で、肺の末梢(奥の方)にある極めて小さな異常までも発見されるようになりました。これらは気管支鏡で直接観察することはできないので、通常はX線の透視下に検査を行いますが、当院ではCTを撮影しながら気管支鏡検査を行うシステムも世界で最初に開発し、これは「高度先進医療」としても認められ、最近は他の施設でも取り入れるところが増えてきています。
さらに最近では、検査室内で採取した組織を、その場ですぐに顕微鏡で迅速診断を行うことで、その後の無駄な検査を省くこともできるようになりました。また麻酔の進歩でほとんど眠っている間に検査もできるようになり、できるだけ患者さんに負担をかけず、しかも精度の高い検査を行う工夫が重ねられています。
一方、気管支鏡を使用した治療面では、消化器に比べると数は少ないのですが、極めて早期の肺門部がんに対してはレーザー治療や、気管支の中から放射線を照射する治療なども行なわれています。また、進行がんによる気管支の狭窄に対しては、ステントというバネのような金属の網のような道具を挿入したり、レーザーによる拡張なども行われております。これはがんの根本的な治療ではありませんが、一時的ではあっても楽に呼吸ができるようになり、自宅でご家族と過ごせる時間を長くすることに役立っています。
当科では、気管支鏡そのもの、およびそれに関連する機器の開発、気管支鏡検査の精度向上に関する検査方法の改良などの研究を精力的に行って、全国でも最も高い診断精度を保っています。
2.診療について
日常的に気管支鏡検査を行っているスタッフは、一昨年までは3名、現在は2名のみで行っていますが、呼吸器の内科、外科および他の部門からのレジデントや他施設からの研修医も受け入れて、気管支鏡の技術のみならず、その適応や検査の組み立て方の指導も行っています。検査は月曜から金曜日まで毎日行っていますが、気管支鏡で太い気管支の内腔を観察したり治療したりする日と、X線やCTを使って肺の末梢の病巣から組織を採取する検査を行う曜日を定めています。
気管や気管支は、普段は空気しか通らない非常に敏感な場所なので、そこに異物である気管支鏡を通すためには充分な麻酔が必要です。麻酔を行うには、霧吹きのような道具で麻酔薬をのどから吹き込み、これを胸一杯に吸い込むようにしていただきます。麻酔薬も異物ですので最初は少し咳が出ますが、気にせず吸い込み続けると咳が出なくなりますので、検査が楽にできるようになります。
充分に麻酔がかかったところで検査を始めますが、検査が長引きそうな場合や患者さんの状態によっては安定剤も使用します。細かい作業の時に短時間息を止めていただくこともあるので、完全な全身麻酔にはなりませんが、ウトウトしているうちに検査は終了します。
検査後は1時間ほど休んでからお帰りいただきますが、場合によってはその後胸のレントゲン写真などを撮影し、合併症が出ていないかどうかを確認することもあります。
検査後、安定剤の作用が残っていると、お酒に酔ったような感じになることもありますので、当日は車の運転はできません。また安全にご自宅までお帰りできるように、付き添いの方とお出でいただくようにお願いしています。ご高齢の方や病状によっては入院して検査も行いますが、原則としては外来ですべての検査を行うことが可能です。
検査件数は年間500例程度であり、内訳はX線やCTガイドでの末梢の病巣に対する検査が300例程度、気管支の太い部分の観察や診断を行なう検査が200例程度で、いずれも全国的にみてもかなり多い数の検査数になっています。気管支鏡を用いた治療はすべてを合わせて年間20例程度で、それほど多いとはいえませんが、今後の増加が見込まれています。
1)その他の注意点
空気の通り道である気道は、気管から左右の主気管支を経て次々に枝分かれし、最後は目にも見えないような太さの細気管支から実際にガス交換を行う肺胞へとつながっていきます。気管支鏡はこれらの枝に沿って進み、さらに先端からは1〜2mmの細い針金状の器具を出して、その先にある病巣から細胞や組織を取ります。したがって、場所によってはどうしてもそれらの器具が届かない部位もありますので、気管支鏡を行えば必ず診断がつくわけではありません。したがって、確実な診断がつかない場合には、皮膚から直接病巣に針を刺す「針生検」、あるいは全身麻酔下での手術による「開胸生検」または「胸腔鏡生検」などを行わなくてはならない場合もあります。またCTなどの画像診断でほぼ確実に肺がんと思われる場合には、気管支鏡や針生検の結果の如何に関わらず手術が必要になりますので、これらの検査は省略し直接に開胸生検から手術の方針とすることもあります。
呼吸器内視鏡科としては単独での外来は行っておりませんので、肺がんが心配で検査を希望される場合や、気管支鏡的な治療を希望される場合には、呼吸器外来の中の「呼吸器内視鏡」の外来をまず受診し、その外来の担当者に診断方法や治療方法についてご相談ください。
気管支鏡検査、治療実績
| 2007年 | 2008年 | 2009年 | |
| 直視下気管支鏡検査 | 177 | 194 | 225 |
| X線透視下気管支鏡 | 374 | 336 | 283 |
| CTガイド気管支鏡 | 25 | 15 | 6 |
| 超音波気管支鏡 | 0 | 0 | 22 |
| 気道ステント | 11 | 7 | 6 |
| レーザーなど腔内治療 | 3 | 7 | 4 |
| 合計 | 551 | 530 | 508 |
2)まとめ
肺がんの治療は、いずれの方法においても体に対する負担が大きいので、治療開始前に本当にがんなのかどうか、またがんの中でもどのような種類なのかを正確に把握する必要があり、そのために気管支鏡は欠かすことのできない検査です。以前は、気管支鏡検査は苦しい検査の代表のようにいわれていましたが、最近の検査機器の改良や新しい麻酔方法の導入などで、消化管の検査と同等あるいはそれ以下の苦痛でも行える検査になりつつあります。
医師や看護師の説明をよくお聞きになり、リラックスして検査を受けていただくことが最も大切です。どうぞ安心して検査をお受けになってください。





