FUTUREプロジェクトについて FUTURE Project

満たされない患者さんの
ニーズを解決するために

がんの新しいお薬があるのにも関わらず、「日本で実用化されない」、「承認されるまでに時間がかかる」、「限られた患者さんにしか使えない」、日本が現在このようなドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスと言われる状況にあるのはご存じでしょうか。
特に、希少がん (人口10万人あたり6例未満の「まれ」ながん)、難治性がん (治りにくいがんのことで、診断や治療が特に難しいがん)、小児がんは、治療開発への患者さんのニーズや社会的な意義は大きくても、他の疾患と比較して対象となる患者数が少なく、市場規模が小さいため、製薬企業による開発が積極的に進まない現状があります。
国立がん研究センター中央病院ではこのような治療開発が進みづらい領域に光をあて、新しいお薬をより早く・より多くの患者さんに届け、誰も取り残さない医療の未来を目指したいという切実な思いから、今回FUTUREプロジェクトを開始いたしました。
これまで、患者さんが新たな治療を必死に探している場合でも、市場規模が小さく開発が進まないケースがありました。新規性が高すぎて、既存の公的資金の募集要項に合致せず研究費の獲得が遅れたケースもありました。
患者さんが研究の継続を求めているにもかかわらず、研究費が打ち切りとなり終了せざるを得ないケースもありました。FUTUREプロジェクトでは、こうしたことが繰り返されないよう、研究を安定的に進めるための研究基盤を構築し、真に患者さんのためとなり、社会の発展に寄与するような研究を行ってまいります。
皆さまからのあたたかいご支援が、多くの患者さんの「FUTURE(未来)」につながります。
患者さんとそのご家族の皆さまにとって、よりよいがん治療が速やかに届くよう、研究者一同尽力してまいりますので、何卒FUTUREプロジェクトの趣旨にご賛同いただき、格別のご支援を賜りますようお願いいたします。

2024年4月吉日
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
病院長 瀬戸 泰之
MASTER KEY プロジェクト研究代表者
山本 昇

FUTUREプロジェクトの仕組み

寄付

寄付

FUTUREプロジェクト

FUTUREプロジェクト
  • 希少がん、難治性がん、小児がんの研究
    基盤を強化
  • 製薬企業が取り組みにくい領域への研究
    を支援
  • 患者や市民が参画できる活動を支援
  • 公的資金で賄いきれない重要な研究や活
    動に投資

がん患者さん

がん患者さん

FUTUREプロジェクトの概要

概要
  • 事務局は国立がん研究センター中央病院に設置します。
  • 中央病院における複数の「満たされない患者ニーズを解決するための内科系研究プロジェクト」を支援し、効率的かつ円滑的に研究を進めるための基盤を構築・整備してまいります。
内科系
プロジェクト例
募集目標金額 5,000万円
募集期間 2024年1月から
資金使途
  • 1. 希少がん・難治性がん・小児がん等を対象とした研究を進めるための「仕組み」の基盤を整備します。
  • 2. 製薬企業が開発に積極的ではない領域に対する研究へ投資します。
  • 3. 若手研究者の新規研究プロジェクトのスタートアップ資金を補助します。
  • 4. より良い研究を行うための患者・市民参画に関する活動を強化します。
  • 5. 公的な研究資金を獲得していない研究や活動、基盤整備に対して優先して資金サポートを行います。既に公的な研究資金を獲得している研究プロジェクトの場合、公的研究資金によってカバーされない範囲に限定して資金を利用することがあります。

内科系研究プロジェクト例のご紹介

MASTER KEYプロジェクト

希少がんの研究開発およびゲノム医療 を推進する産学共同プロジェクトです。1つ1つの希少がんの患者さんの数は少ないですが、希少がん患者さん全体を合計した数は大きく、全がん種の約2割を占めています。このように割合が高いにもかかわらず、正確な診断と治療ができる施設は少なく、臨床試験を行うことが難しいのが現状です。
MASTER KEYプロジェクトでは、これまでまとまった情報が蓄積されてこなかった希少がん患者さんの大規模なデータベースを蓄積し、さらに希少がんに対する医師主導治験・企業治験を実施することで、希少がんに対する効率的な薬剤開発を行うことを目的としています。既に数千人の希少がん患者さんの臨床情報・ゲノム情報のデータベースが構築され、数十の治験が実施され、希少がんの患者さんへより多くの治療選択肢を提供すると同時に、新たな治療法を次々に生み出しています。

BELIEVE試験

(遺伝子パネル検査結果に基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養)
がん細胞に出現しうる数百の遺伝子異常の有無を一度に調べられる遺伝子パネル検査が、昨今保険診療として使えるようになりました。その結果、検査で遺伝子異常が見つかり、それに合致した薬剤があることがわかっても、その薬剤が日本では承認されておらず、保険診療で使えない場合があります(「適応外薬」といいます)。その薬剤を用いた治験があっても、実施している病院まで通えないなどの理由で参加できないこともあります。そのような場合に、患者さんの希望に応じて適応外薬を保険診療と組み合わせて使用できるのが「患者申出療養制度」です。BELIEVE試験は、より多くの患者さんに遺伝子パネル検査後の治療選択肢を提供するために計画された臨床研究で、既に数百人の患者さんがこの研究を通じて適応外薬を用いて治療を行っています。固形がんの患者さんが対象で、年齢制限はありません。

ATLAS プロジェクト

正式名称は「アジアがん臨床試験ネットワーク事業(Asia Clinical Trials Network for Cancers Project: ATLAS project) 」といい、日本だけでは開発が進まない薬剤の治験をアジア全体で実施することを目的とした研究・教育活動を行っていくプロジェクトです。日本では患者数が少なくて迅速に治験を完遂できない場合でも、韓国・台湾・フィリピン・ベトナム・タイ・マレーシア・シンガポールといったアジア諸国と共に治験を行うことで、迅速に薬剤の承認を目指すことができます。

JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ) による多施設共同試験

JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)は、日本全国の約190の医療機関が参加しオールジャパンの研究者主導試験を行っています。常時100前後の臨床試験を実施し、これまでに400以上の論文が各種ジャーナルに公表されています。また、100以上の臨床試験の結果が様々ながんの診療ガイドラインに掲載され、より良い標準治療の確立に寄与しています。近年では患者会との意見交換会を積極的に開催しており、患者さんのニーズに基づいた臨床試験の立案に努めています。

ご支援のお願い

皆様の温かいご支援を
お待ちしております

私たちは、研究基盤の整備や、若手研究者の支援、患者・市民参画の強化を通じて、より良い医療を目指しています。お寄せいただいたご寄付は、これらの活動に大切に活用され、多くの患者さんの未来に繋がります。ご支援を心よりお待ちしております。

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