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神経内分泌がん

はじめに

神経内分泌細胞に由来する腫瘍は、神経内分泌がん(NEC: Neuroendocrine carcinoma)と神経内分泌腫瘍(NET: Neuroendocrine tumor, NET G1/G2)に分類されます(詳しくは神経内分泌腫瘍の解説をご参照ください)。NECは、増殖速度が速く早期に転移・再発を起こしやすい悪性度の高いがんで、また、非常にまれながんです。

症状

症状は腫瘍の部位や大きさによって異なります。腫瘍がある部分の違和感や疼痛、消化器に発生した場合には食欲不振や体重減少などの症状を認めることがあります。NET G1/G2ではホルモン産生に伴う症状がしばしば認められますが、NECで認められることは稀です。

診断

画像検査と病理検査がNECの診断における重要な二本柱になっています。

画像検査の目的は病変の広がりを調べることです。手術ですべての腫瘍を取り除くことが可能か、化学療法を行うことが望ましいか、などの判断が画像検査を通じて検討されます。最も基本となる検査方法は造影CT検査です。原発臓器や必要に応じてMRI検査・PET検査または内視鏡検査などが実施されることがあります。NECは一般的にソマトスタチン受容体を発現していない場合が多いため、NET G1/G2に有用なソマトスタチン受容体シンチグラフィー(商品名:オクトレオスキャン)は推奨されていません。

NECの病理診断では、核分裂像とKi 67指数が重要です。これらの指標を用いて、2010年WHO分類に基づき、NET G1/G2と区別されています。NECとNET G1/G2は経過や治療方針が大きく異なっており、両者の区別は適切な治療のために重要です。最近ではNECをKi-67指数や病理学的な分化度で更に細かく分類する方法も提唱されており、議論が続けられています。

神経内分泌腫瘍の2010年WHO分類

NET G1

  • 核分裂像:<2個/2平方メートル
  • Ki67指数:≦2%

NET G2

  • 核分裂像:2から20個/2平方メートル
  • Ki67指数:3%から20%

NEC

  • 核分裂像:>20個/2平方メートル
  • Ki67指数:>20%

治療

腫瘍が局所に限局していて手術で完全に腫瘍を取り除くことが可能な場合は切除を検討しますが、増殖速度が速く早期に転移を起こしやすいNECでは、切除が可能なこと自体が稀です。遠隔転移がある場合、切除は推奨されません。手術で取り除くことができない場合や再発した場合には病状制御を目的とした化学療法が行われます。

NECに対する化学療法は、性質が比較的類似している小細胞肺癌の化学療法に準じて、エトポシド+シスプラチン療法(EP療法)またはイリノテカン+シスプラチン療法(IP療法)が国内外で広く用いられています。EP療法とIP療法のどちらが優れている治療かについては現時点で判明していないため、治療前の体調や予測される副作用などを踏まえて総合的に判断し、患者さんと担当医との相談で決定されています。

森実 千種
  • 希少がんセンター 肝胆膵腫瘍担当 森実 千種(もりざね ちぐさ)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 肝胆膵内科
本間 義崇
  • 希少がんセンター 消化管腫瘍担当 本間 義崇(ほんま よしたか)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 消化管内科
平野 秀和
  • 国立がん研究センター中央病院 平野 秀和(ひらの ひでかず)